住宅ローンの借入可能額と年収の関係│無理せず返済できる金額は?

住宅ローンを検討する際、「自分の年収でどのくらいの金額を借りられるのか」「無理なく返済していけるのか」、と心配になるかたも多いのではないでしょうか。住宅ローンを初めて借入れるかたも、借換えをするかたも、借入額が適切かわからなかったり、不安になったりすることががあってもおかしくないでしょう。

この記事では、年収に応じて借入額をどのように考えたらよいのか、また実際に借入額を決める際の注意点について、ファイナンシャルプランナーとして活躍されるラポール・コンサルティング・オフィス 代表 竹国さんに解説していただきます。

1.年収は住宅ローン借入額に影響する?


まず、住宅ローンの借入れを検討しているかたの年収と、借入額の関係について、基本的なところから説明します。

1-1.年収とは?

住宅ローンの審査における年収とは、いわゆる「手取り」収入ではなく、税金や社会保険料が引かれる前の「額面」収入を指すことが一般的です。給与収入以外に収入のない会社員であれば、源泉徴収票の「支払金額」欄に記載された金額のことです。自営業の場合は、売上ではなく売上から経費を差し引いた「所得」のことを指します。

1-2.年収によって住宅ローンの借入可能額が変わる場合がある

住宅ローンの借入可能額は、収入に対して返済負担が過大とならないよう基準が設けられていることがあります。この基準となるのが、総返済負担率(返済比率)です。

総返済負担率(総返済比率)とは、すべての借入れ(住宅ローン以外の自動車ローンなども含む)に関して、年収に占める年間合計返済額の割合のことです。具体的には下記の計算式の通り、総返済負担率は年間返済額(毎月の返済額12 カ月分+ボーナス加算額)を年収で割って計算します。ここでの「返済額」とは、返済された元本のみではなく、実際に支払う元本と利息の合計になります。

例えば年収600 万円、毎月の返済額が10 万円、年2 回のボーナス返済が各30 万円であれば、総返済負担率は30%となります。

このとき、住宅ローン以外に自動車ローンやカードローン、奨学金などの返済があれば、その返済額も年間返済額に合算されます。

例えば、フラット35では年収によって総返済負担率の上限が定められており、年収400 万円未満の方は総返済負担率が30%以下、400 万円以上の人は35%以下であることが申込要件のひとつです。

1-3.借入額は手取りを考慮して決めるのが望ましい

借入可能額は、税金や社会保険料が引かれる前の年収を基準のひとつとして判断されますが、実際の返済は、年収から税金や社会保険料を差し引いた手取り収入から行うものです。住宅ローンの返済以外にも生活費はかかりますし、老後資金や教育費、将来に備えるための貯蓄も考えなければならないでしょう。

手取り収入から日々の生活費と貯蓄に充てる資金を確保し、残った金額から逆算して借入額を決めるのもひとつの方法ではないでしょうか。住宅金融支援機構のシミュレーションツールなどを使えば、毎月の返済額から借入可能額を計算することができます。

また、住宅購入の際に自己資金(頭金)をどのくらい用意できるかも検討しておくべきでしょう。自己資金を多くすることで借入額を減らすことはできますが、将来のための貯蓄がそれだけ減ることになります。

このように計算した借入可能額と自己資金(頭金)の合計額が、諸費用を含む住宅購入予算の目安となります。予算が希望する物件の価格に満たない場合には、金利の低い他の住宅ローンを探す、可能であれば年収を増やす方法を考える、あるいは購入する物件を見直すなどの対応が必要となるでしょう。

2.【年収別】住宅ローン借入可能額と毎月返済額の目安


全期間固定金利の住宅ローン、フラット35の場合、年収によって借入可能額と毎月の返済額がどのように変わるのか、年収別に説明します。

2-1.年収別の計算

金利が年率1.2%、1.4%、1.6%の場合で、それぞれ試算してみましょう。金利以外の条件を下記の通りに統一します。
借入条件:借入期間35 年、元利均等返済、ボーナス返済なし、借入れは住宅ローンのみ

【金利(年率)1.2%の場合】

年収400 万円500 万円600 万円700 万円800 万円
借入可能額
(概算)
3,999 万円4,999 万円5,999 万円6,999 万円7,999 万円
毎月の返済額11.7 万円14.6 万円17.5 万円20.5 万円23.4 万円

住宅金融支援機構のシミュレーションツールを使用してSBI マネープラザが作成)

【金利(年率)1.4%の場合】

年収400 万円500 万円600 万円700 万円800 万円
借入可能額
(概算)
3,871 万円4,839 万円5,807 万円6,775 万円7,743 万円
毎月の返済額11.7 万円14.6 万円17.5 万円20.5 万円23.4 万円

住宅金融支援機構のシミュレーションツールを使用してSBI マネープラザが作成)

【金利(年率)1.6%の場合】

年収400 万円500 万円600 万円700 万円800 万円
借入可能額
(概算)
3,750 万円4,687 万円5,625 万円6,562 万円7,500 万円
毎月の返済額11.7 万円14.6 万円17.5 万円20.5 万円23.4 万円

住宅金融支援機構のシミュレーションツールを使用してSBI マネープラザが作成)

2-2.金利が変われば借入可能額が変化する

上記の表をご覧の通り、金利が変わるとその他の条件が変わらなくても、借入可能額が変化していることがわかります。年収600 万円のかたでも、金利が年率1.2%のときと年率1.6%のときでは、借入可能額に約370 万円の差が生じる可能性があります。合計金額では大きな差に見えないかもしれませんが、差額を見てみると、決して小さくはないでしょう。

3.住宅ローンの借入額を決めるときの注意点


ここまで借入可能額について説明しましたが、実際に上限ぎりぎりまで借入れを希望されるべきかは、一度立ち止まって以下のような長期的な視点でよく考えてみましょう。

3-1.返済シミュレーションを作成する

住宅ローンの借入額を決めるうえでは、希望する生活水準を実現するために、毎月どのくらいの返済が妥当なのか、他の支出とのバランスを考えることがポイントです。

住宅ローンの返済は長期にわたって続き、その間にはさまざまなライフイベントがあります。子どもの人数や年齢、進学プラン、まとまったお金のかかる車の購入や旅行の計画、購入する家にずっと住み続けるのか将来買い替えを行うのか、老後はどのように暮らしていきたいのかなど、これらのライフイベントに優先順位をつけながら考えてみましょう。

そして、そのための費用がいつ、どのくらい必要になるのか。具体的な金額を想定してみましょう。日々の生活費と住宅ローンの返済、ライフイベント実現に必要な費用から毎年の収入と支出をシミュレーションしてみたうえで、無理のない返済額となっていることを確認することが大切です。

シミュレーションの作り方に迷ったり、ご自身での作成が難しい場合には、金融機関などが開催している無料相談会に参加してみるのもひとつの方法です。しっかり計画を立ててから、融資を受けるようにしましょう。

3-2.自己資金(頭金)は貯蓄額と将来の支出を考慮して決める

自己資金(頭金)を増やせば、住宅ローンの借入額を減らせますし、商品によっては借入金利が下がる場合があります。しかし、頭金を増やし過ぎて手元資金が少なくなると、急な出費や収入減少などに対応できなくなる恐れもあります。また、「このためのお金が欲しい!」という何かに出会ったときに、それをあきらめざるを得なくなるかもしれません。

このような事態を避けるためにも、もしもの場合の資金は手元に残しておきたいところです。特に個人事業主などの収入が変動しやすいかたは、手元資金を多めに残しておくほうが安心でしょう。

3-3.自動車ローン、教育ローンをご検討する場合の注意点

手元にある資金を住宅購入の頭金にするか、将来の自動車購入費用や教育費用に充てるかについて、検討している場合には注意が必要かもしれません。

一般的に住宅ローンに比べ自動車ローンや教育ローンの金利は高く設定されていること、自動車ローンや教育ローンには住宅ローン控除(※)のような税制優遇制度がないことを考えると、手元資金を住宅購入の頭金とするよりも将来の自動車購入費や教育費に充てたほうが有利というケースも考えられるでしょう。

※住宅ローン控除についてはこちらの記事(「住宅ローン控除とは︖所得税・住民税の負担を抑える減税制度」)

4.あなたにとって無理のない借入額であることが大切


住まいは生活を豊かにするためのひとつの要素でしょう。そのため、住宅の購入が日々の生活やライフプランの実現にとって重荷となるのは望ましくありません。

住宅ローンの返済が生活を過度に圧迫しないか、優先順位の高いライフイベントの実現を妨げないか、長期にわたる返済期間を通して余裕をもって返済できるように計画しましょう。これらの点を意識しながら、あなたにとって無理がない借入額・返済額とすることが大切です。

タイトル

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  • 竹国 弘城

    ラポール・コンサルティング・オフィス代表

    証券会社、生損保総合代理店での勤務を経てファイナンシャルプランナー(FP)として独立。相談者の利益を第一に考え、自分のお金の問題に自分自身で対処できるようになるためのコンサルティングや執筆活動などを行う。
    【保有資格】1級FP技能士/CFP®


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