住宅ローンの借換えの際は、借換えにかかる手数料などの諸費用を支払っても、メリットがあるかどうかを確認することが大切です。
借換えのメリットや相談例について、こちらの記事で株式会社住宅相談センターの吉田貴彦社長にご説明いただきましたが、今回は借換えにかかる手数料などの諸費用にスポットを当て、同じく吉田社長に解説いただきます。
諸費用にはどのような項目があり、それぞれどのようなタイミングで支払うのか、ひとつずつ見ていきましょう。
まずは、一般的な住宅ローンの借換えの諸費用の項目を確認しましょう。
融資手数料は、住宅ローンを契約する金融機関に支払う、融資に伴う事務手続きなどの手数料です。金融機関によっては、融資事務手数料や事務取扱手数料と呼ぶこともあります。また、融資手数料の支払方法には定額型と定率型の2種類があります。
定額型 | 借入金額に関わらず一定額を支払う方法で、目安は2万円から30万円程度です。金額は金融機関や商品によって異なります。 |
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定率型 | 借入金額に対する一定割合を支払う方法で、目安は1.0%から2.0%超程度です。割合は金融機関や商品によって異なります。 |
>>あわせて読みたい(融資手数料型の住宅ローンのメリット・デメリット│保証料型との違い)
保証料は、住宅ローンの債務者の保証人となる保証会社に支払う、保証を受けるための費用です。何かしらの理由で債務者が住宅ローンを返済できなくなったときに、保証契約に基づき保証会社は債務者に代わって返済を肩代わりします。ただし、債務者の返済先が金融機関から保証会社に変更され、債務者の債務がなくなるわけではありません。
保証料の支払い方法には、次の2種類があります。
外枠方式 | 住宅ローンの契約時に一括で支払う方法です。(利用中の住宅ローンがこの方式なら、借換時に返金される場合があります。) |
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内枠方式 | 住宅ローンの金利に上乗せして、毎月返済額に含めて支払う方法です。 |
金融機関や商品によっては、保証料が不要な場合がありますが、その場合は貸倒れのリスクを金融機関が負うことになりますので、その他の条件が厳しくなる可能性があります。
>>あわせて読みたい(「住宅ローンの保証料とは?」支払方法の種類とメリット・デメリット)
印紙税は、金融機関と住宅ローンの契約書を取り交わす際に課税される税金です。印紙税は借入額に応じた金額の収入印紙を購入して、契約書に貼付して割印することで納税します。
【印紙税の税額の一例】
借入金額 | 印紙税額 |
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1,0000万円超~5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 6万円 |
(2020年9月時点)
期限前完済手数料は、借換えにともなって利用中の住宅ローンを完済するために必要な手数料で、返済先の金融機関に対して支払います。
手数料の金額は、金融機関や商品によって異なり、また同じ金融機関でも窓口かインターネットかなど、手続きするチャネルによっても異なる場合があります。目安としては、無料から数万円程度と考えておくとよいでしょう。
借換えにともなって、住宅ローンの担保となる物件の抵当権を変更する必要があります。利用中の金融機関の抵当権を抹消し、新たな借入先の金融機関の抵当権を設定するために、それぞれ手続きで費用が必要となります。
抵当権抹消登記の登録免許税 | 不動産1個につき1,000円 |
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抵当権設定登記の登録免許税 | 借入額の0.1% (「住宅家屋証明書」が発行され軽減税率の特例を受けた場合) |
(2020年9月時点)
抵当権の抹消登記や設定登記の申請手続きを司法書士に依頼する場合、司法書士報酬が必要になります。司法書士報酬の目安は数万円~十数万円ですが、対象の住宅や借入額、司法書士よっても異なります。
借換時に、契約中の火災保険を解約することとなった際など、新たに火災保険に加入し直す場合は、火災保険料が必要となります。
契約中の火災保険を解約する場合、未経過分の火災保険料が返金されるので、返金額で賄えない分の火災保険料が負担分となります。
ここまでで説明した諸費用について、それぞれの支払うタイミングについて確認しておきましょう。
借換えのための諸費用を支払うタイミングについて、一般的な借換手続きの段階に沿って見ていきましょう。金融機関や商品によって異なるので、必ずご自身でもご確認ください。
借換手続きの段階 | 諸費用の項目 |
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① 借換えの申込み・審査・承認 | なし |
② 利用中の住宅ローンの一括完済の申込み | なし |
③ 借換えの契約手続き | ・印紙税 ・抵当権抹消・設定費用 ・司法書士への報酬 |
④ 融資実行・一括完済 | ・融資手数料 ・保証料(外枠方式の場合) ・期限前完済手数料 ・火災保険料(加入し直す場合) |
⑤ 返済中 | ・保証料(内枠方式の場合) ・火災保険料(更新がある場合) |
それぞれの諸費用について、いつ・いくら必要なのか確認し、準備できるようにしましょう。あるいは、次で説明する諸費用を借入金額に含めることのできる住宅ローンも、選択肢となります。
金融機関や商品によっては、借換えのための諸費用を借入金額に含めることができます。借換時の金銭的な負担をおさえることができるので、自己資金を用意できない場合などは、検討するとよいでしょう。
ただし、含める諸費用に対しても利息が発生しますし、全ての諸費用を含められるわけではありませんので、注意が必要です。
続いて、住宅ローンの借換えにかかる諸費用について、ポイントと注意点を見ていきましょう。
前章の通り、借換えにかかる諸費用は借入金額に含められる場合がありますが、これによって借換えによる利息軽減効果が失われないか、事前に確認するようにしましょう。せっかく利用中の住宅ローンよりも低金利で借換えることができても、諸費用を含めることでかえって負担が大きくなると本末転倒です。
あらかじめご自身でシミュレーションするか、金融機関などに相談して確かめておきましょう。
現在利用している住宅ローンの保証料を外枠方式で支払っている場合は、未経過分の保証料が返金されることがあります。一般的には、期限前完済手数料が差し引かれますので、その差額分が返金の対象です。
なお、保証料を内枠方式で支払っている場合は、差額の発生が無いですので返金はありません。
返済中の債務者の死亡などのリスクに備える団体信用生命保険(以下、「団信」)の保険料は、追加の自己負担なしとされている金融機関が多いようです。その場合は借換時に必要となる諸費用とはなりません。
ただし、通常、団信の保険料は実質的に住宅ローンの金利などに含まれているということをおさえておきましょう。そのうえで、借換時にご自身に合った保障内容の団信に見直しできるとベターと言えます。ただし、健康状態によっては見直しができず、これによって借換え自体も認められない場合があることには注意が必要です。
住宅ローンの借換えにかかる諸費用は、借換える金額によっては数十万円から100万円を超えることがありますから、なるべく低価格でおさえておきたいところです。金額の比較であれば「高い・安い」が判断軸となりますが、諸費用を含めた負担額全体を考慮することが望ましいと考えられますので、各種WEB サイトやシミュレーションツールなどで、確認するとよいでしょう。
諸費用以外では、団信の保障はどのような内容か、相談できる店舗はあるのか、繰上返済はしやすいのか、などが比較のポイントになります。このようなポイントについては、金額が判断軸ではありませんので、人それぞれの価値観によるでしょう。各項目を、ご自身がどの程度重要と考えるかが判断軸となります。
金融機関を選ぶ際には、このようなポイントを比較して検討することをおすすめします。
こんなかたには店舗相談がおすすめです
SBI マネープラザの店舗では、住宅ローンに詳しいスタッフがわかりやすく説明します。 ご予約することで待ち時間もなくご相談いただけます。
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