「資産運用が大事と聞くけど、何から始めればいいかわからない」
「初心者でも無理なくできる資産運用方法を知りたい」
昨今の物価上昇や老後への備えのために、こう考えるかたもいるでしょう。
本記事では資産運用の基本と主な金融商品、年代別のおすすめ運用方法などについて、初心者のかたにもわかりやすく解説します。資産運用に不安があるかたは、ぜひ参考にしてください。
資産運用は自分と家族の未来を豊かにするための手段です。2026年現在、インフレの定着や長寿化が進む中で、預金だけで資産を守り抜くことは難しくなっています。だからこそ、正しい知識を持って投資を家計に組み込むことが、これまで以上に求められています。
投資の成功は「予測」を的中させることだけではありません。相場の行方を当てることは困難ですが、NISAやiDeCoなどの制度を活用し、低コストで少額から投資を始めることはできます。
生活防衛資金を確保し、少額から経験を積むことで、初心者のかたでも投資に対する不安は自信へと変わっていくでしょう。
資産運用とは、手持ちの資金を貯蓄や投資といった方法で運用・管理し、効率的にお金を増やしたり守ったりすることです。
ここでは貯蓄と投資との違いや利回り別のシミュレーション、資産運用が必要とされる理由を解説します。
2026年現在、私たちは「お金の置き場所」を真剣に考えるべき局面にいます。資産運用はただ「増やす」ためだけではなく、物価上昇から「資産の価値を守る」ための生存戦略です。利回りシミュレーションは複利の力を示しますが、現実は直線ではなく波。短期的な変動に一喜一憂しない覚悟が重要です。
投資や貯蓄は、資産運用という枠組みにおける資金の運用・管理の手段の一つです。
投資は元本以上に資産を増やせる可能性がありますが、その一方で元本を割り込む場合があります。貯蓄は元本保全性が高い半面、低金利下では元本以上の利益を得にくいのが特徴です。
資産運用を行う際は、目標とする金額や資金の必要時期に合わせて、これらをバランスよく組み合わせることが重要です。
利回りとは、運用した元本(投資した金額)に対する年間収益の割合のことです。
たとえば、100万円を10~30年運用した場合、利回りによって最終的な資産額は次のようになります(※)。
| 年間の運用利回り | 10年後 | 20年後 | 30年後 |
|---|---|---|---|
| 0.2%(普通預金で貯蓄) | 約102万円 | 約104万円 | 約106万円 |
| 3%(堅実的な運用) | 約134万円 | 約181万円 | 約243万円 |
| 5%(積極的な運用) | 約163万円 | 約265万円 | 約432万円 |
このように、利回りが違えば将来の資産額にも数十万・数百万円の差が生まれます。
とはいえ、利回りが高いことが必ずしも有利になるわけではありません。利回りが高い運用方法は値動きが大きく、運用の過程で元本割れする可能性もある点に留意が必要です。
>>あわせて読みたい(投資の複利効果とは?資産が雪だるま式に増える仕組みを解説)
資産運用が求められる背景には、物価上昇(インフレ)と寿命の延伸などがあると考えられます。
物価上昇が続けば、現在持っている現金の価値は相対的に目減りします。銀行にお金を預けておくだけでは、将来の物価上昇にうまく対処できない可能性があるでしょう。
また、日本は平均寿命の伸びが顕著です。仮に「60歳定年・寿命100歳」と考えると老後の生活は40年もあることになります。より豊かな老後を過ごすためには早めの備えが必要となるため、従来の貯蓄に投資を組み合わせる資産運用が注目されているのではないでしょうか。
資産運用が初めてのかたにおすすめの金融商品を紹介します。
| 種類 | リスク | 期待リターン |
|---|---|---|
| 円預金 | 低 | 低 |
| 外貨預金 | 中 | 中 |
| 債券 | 低〜中 | 低〜中 |
| 投資信託 | 中 | 中 |
| 株式 | 高 | 高 |
| 積立型保険 | 低~中 | 低 |
なお、ここでの「リスク」とは資産価値が変動する「値動きの大きさ(振れ幅)」を表しています。
一方で、「リターン」は「資産運用を行うことで得られる収益」を指します。
値動きが大きい商品ほど高いリターンを期待できますが、その分大きな損失が出ることもあり、元本割れの可能性もあります。
初心者にとって最も重要なのは「一ヵ所に資金を集中させないこと」です。個別株は企業の業績不振などの影響を直接受けますが、投資信託であれば1本で多くの銘柄に分散投資が可能です。リスクを統計的に分散し、市場全体の成長を取り込める点こそ、初心者に適した選択といえます。
円預金は銀行にお金を預ける、もっとも身近な資産運用方法です。
元本1,000万円とその利息までが保証されており、いつでも資金を引き出せるため、安全性・流動性が高いのが特徴です。日常的な生活費の支払いや、近い将来に必要となる資金の備えに適しています。
ただし、2026年2月現在は低金利であり、利息によって資産を大きく増やす力はありません。長期でリターンを期待できる投資性商品と組み合わせて活用するのがよいでしょう。
| 円預金の特徴 | |
|---|---|
| 元本保証 | あり |
| リスク | 低 |
| 期待リターン | 低 |
| 流動性 | 高 |
| メリット | 元本が減る心配がなく、いつでも引き出せる |
| デメリット | 金利が低いためインフレに弱い |
日本円を米ドルやユーロといった外国通貨に換えて預ける方法です。日本円よりも高い金利が設定されていることが多く、外貨に替えるだけで高利息を享受できるのが特徴です。
ただし、為替相場の変動によっては、換金した外国通貨を日本円に戻す際に元本を下回る可能性があります。また、円預金にはない為替手数料もかかるため、為替相場の変動や手数料を理解したうえで活用する必要があります。
| 外貨預金の特徴 | |
|---|---|
| 元本保証 | なし |
| リスク | 中 |
| 期待リターン | 中 |
| 流動性 | 高 |
| メリット | 円安時に為替差益が得られ、基本的に円より金利が高い |
| デメリット | 為替変動リスクがあり、為替手数料がかかる |
国や地方公共団体、企業などが発行する債券を購入することで、間接的にお金を貸し出して利子を受け取る仕組みです。原則として、満期まで待てば元本と利子が返ってくるため、株式や投資信託と比べると値動きがゆるやかな点が特徴です。
一般に広く知られている「個人向け国債」は元本と最低金利を国が保証していて、1万円から購入できます。1年経過すれば中途換金もできるため、初心者でも比較的運用しやすい商品といえるでしょう。
| 債券の特徴 | |
|---|---|
| 元本保証 | なし(※) |
| リスク | 低~中 |
| 期待リターン | 低~中 |
| 流動性 | 中 |
| メリット | 定期的な利息収入があり、株式より価格が安定 |
| デメリット | 発行体の破綻リスクがあり、満期前の売却は損をする可能性がある |
投資家から集めたお金を一つの資金としてまとめ、運用会社が株式や債券など複数の資産で運用するリスク性金融商品です。一つの投資信託に複数の資産が組み込まれているため分散効果が高く、リスクを抑えて投資のリターンを享受できるのが特徴です。
| 投資信託の特徴 | |
|---|---|
| 元本保証 | なし |
| リスク | 中~高 |
| 期待リターン | 中~高 |
| 流動性 | 高 |
| メリット | 少額から分散投資が可能で、運用をプロに任せられる |
| デメリット | 運用コスト(信託報酬)がかかり、元本割れリスクがある |
>>あわせて読みたい(資産運用を始める前に押さえておきたい!「投資信託」の基礎知識(前編))
>>あわせて読みたい(資産運用を始める前に押さえておきたい!「投資信託」の基礎知識(後編))
証券取引所に上場する企業の株式を購入し、株価の値上がり益や配当金、優待商品(日本株のみ)といったリターンを得るリスク性金融商品です。株価は企業動向や経済情勢などさまざまな要素で動くため、リスクが高い一方、成長性がある銘柄であれば大きなリターンを期待できます。
| 株の特徴 | |
|---|---|
| 元本保証 | なし |
| リスク | 高 |
| 期待リターン | 高 |
| 流動性 | 高 |
| メリット | 大きな値上がり益や配当、株主優待が期待できる |
| デメリット | 価格変動が激しく、会社倒産時は価値がゼロになる |
保険の機能に貯蓄が一体化した、解約返戻金がある保険商品を指します。終身保険や養老保険、学資保険、個人年金保険などが代表的な積立型保険です。
基本的に「保険」であるため、万一の保障を得られると同時に、満期時に払込保険料を上回るお金が戻ってくるのが特徴です。
保障に加えて、保険料を支払うことで強制的に貯蓄ができ、所得控除(生命保険料控除)の仕組みがある点がメリットです。ただし、預金のようにいつでも引き出せるわけではなく、満期前に解約した場合、元本割れしやすい点には留意が必要です。
| 積立型の保険の特徴 | |
|---|---|
| 元本保証 | なし |
| リスク | 低 |
| 期待リターン | 低~中 |
| 流動性 | 低 |
| メリット | 万一の保障と貯蓄を両立でき、税制優遇がある |
| デメリット | 満期前の解約は元本割れしやすく、資金が長期間固定される |
資産運用を始める際は、税制優遇制度の活用を検討しましょう。
通常、投資や預金で得た利益(利息)には約20%の税金がかかりますが、NISAやiDeCoといった制度を使えば非課税になります。各制度の特徴と違いを解説します。
NISAとiDeCoは、投資で得られる「手元に残る利益」を最大化するための必須制度です。通常、利益の約20%が税金として差し引かれますが、これが非課税になることで、再投資の効率は向上します。また、iDeCoの所得控除は非常に強力な税制メリットです。
NISAは、投資信託や株式の運用益に対する税金が非課税になる制度です。
| NISAとは | |
|---|---|
| 特徴 | NISA口座で運用する株式や投資信託の運用益が非課税になる。生涯で1,800万円までの非課税投資が可能。 |
| メリット | 投資・売却(換金)タイミングが自由で、いつでも気軽に投資できる。 |
| デメリット | 運用による元本割れのリスクがある。 買付できる金融商品や年間投資できる金額に制限がある。 損失が出ても他の口座と損益通算ができない。 |
| 始め方 | 証券会社・銀行でNISA口座を開設し、購入したい商品(株式・投資信託)を選んで投資する。 |
NISAのメリットは自由度の高さです。いつでも資金を引き出せるため、目的に合わせた柔軟な資産運用ができるでしょう。
iDeCoは老後資金の積立を前提とした私的年金制度です。
| iDeCoとは | |
|---|---|
| 特徴 | 掛金を毎月あるいは毎年積み立て、投資信託・預金・保険商品で運用できる。運用で得た利益が非課税になるほか、投資に回したお金は全額所得控除の対象になる。 |
| メリット | 掛金が全額所得控除の対象で、所得税・住民税の節税効果が高い。預金や保険などリスクを抑えた金融商品も選べる。 |
| デメリット | 運用商品によっては元本割れのリスクがある。 買付できる金融商品や掛金上限に制限がある。 原則60歳まで引き出しができず、口座の開設・維持に必ず手数料がかかる。 |
| 始め方 | 証券会社・銀行など金融機関で専用口座を開設し、掛金額と運用商品を決めて運用を開始する。 |
iDeCoは原則として60歳以降まで資金を引き出せないため、強制的に老後資金を作ることに特化した制度です。所得控除による節税効果も高く、所得税負担が重いかたや老後資金を充実させたいかたに適した制度といえるでしょう。
年代別におすすめする資産運用方法や割合について解説します。
| 【年代別】おすすめの金融商品と運用割合 | |
|---|---|
| 20・30代におすすめの資産運用 |
|
| 40・50代におすすめの資産運用 |
|
| 60代におすすめの資産運用 |
|
20~30代は、老後まで30~40年という長い運用期間を確保できるのが特徴です。時間的な余裕があるため、短期では値動きが大きい投資にもチャレンジしやすい年代といえます。
【おすすめの金融商品と運用割合】
記載の運用割合はあくまで目安です。個々のリスク許容度や運用目的にあわせて、最適な運用プランを選ぶようにしてください。
一般的に40~50代は、子どもの教育資金の負担が重くなる時期です。また、老後を見据えた資金準備も始める必要があるため、リスク性金融商品と安全資産をバランスよく活用するのがよいでしょう。
【おすすめの金融商品と運用割合】
実際には、子どもの教育資金より住宅ローンが重いかたもいるでしょう。各家庭の状況によって適した金融商品・運用割合は異なるため、FPなどの専門家に相談したうえで、各家庭に合った運用方法を選んでください。
通常、60代以降は資産を守るフェーズに移行します。資産運用は続けながらも、リスクは極力抑えて「守りながら使う」スタイルに変えていくのがよいでしょう。
【おすすめの金融商品と運用割合】
実際には、定年以降も継続雇用制度で働いたり、自営業を始めたりするケースも考えられます。60代で現役世代並みの収入があるかたもいるため、老後の収入や働き方にあわせた運用計画を立てるようにしましょう。
資産運用にはリスクがつきものですが、正しい知識を持って取り組めば、致命的な損失は避けやすくなります。できる限り損失を回避し、着実に資産を増やすために押さえておきたいポイントを紹介します。
大きな損失を避ける最大のポイントは、「投資は余裕資金で行うこと」です。そのためには、生活防衛資金の確保が不可欠。最低限の生活資金を確保できているという心の余裕が、長期投資を支えます。また、ライフプランニングは闇雲な不安を具体的な数字に変える作業です。いつ、いくら必要なのかを可視化することで、多少相場が悪くなった時でも長期的な目線で冷静に歩み続けることができるでしょう。
資産運用を行う際は、NISAやiDeCoを活用して「手取り利益」を増やしましょう。
通常、投資や預金で得た利益(利息)には約20%の税金がかかります。しかし、NISAやiDeCoを利用して投資信託や株式を運用すれば、この税金がかかりません。
たとえば、投資信託を購入・売却して10万円の値上がり益が出た場合、通常であれば約2万円の税金が差し引かれるため、手取り利益は8万円です。NISAやiDeCoを利用して投資信託を運用すれば、手取り利益は10万円となります。
こうした課税の有無は、長期で運用するほど大きな差になるでしょう。
投資は余裕資金で始めるようにしましょう。
手持ち資金のすべてを投資に回してしまうと、突発的な支出への対処が難しくなります。また、株式や投資信託といった投資商品の価値は常に動いていて、お金が必要な時に資産価値が値下がりしている可能性があります。やむを得ず売却すると損失が確定してしまうため、手持ち資金のすべてを投資に回すのはおすすめしません。
投資を行う際は、6ヵ月分の生活費を生活防衛資金の目安として預金で確保しておき、今後数年は使う予定がない余裕資金で始めるようにしましょう。
投資にはリスクがつきものです。ただし、「長期・積立・分散」を心がけておけば、極力リスクを抑えることができます。
NISAであれば、つみたて投資枠でバランス型の投資信託(※)を積立購入し、10年以上かけて運用することで「長期・積立・分散」投資が可能です。
※バランス型の投資信託とは、株式や債券、REITといった複数の資産がバランスよく包括されたファンドを指します。
資産運用の前にライフプランニングを実行し、この先のお金の動きを把握します。
ライフプランニングでは、結婚・出産、マイホームの購入、子どもの大学進学など、この先のライフイベントにかかる必要額とタイミングを算出します。将来必要な資金をあらかじめ予測することで、逆算して「今必要な投資額」も把握できます。

目標を設定せずに運用を始めると、大きな支出があるたびに運用を中止したり、将来資金が足りなくなったりする可能性があります。家計全体を破綻させないためにも、ライフプランニングでお金の動きを可視化しましょう。
資産運用の目的によって適した資産の置き場所(金融商品)を使い分けるようにしてください。
目的に応じて出口戦略を立てておけば、大切な資産を適切に守りながら育てることが可能です。
ここでは、初めて資産運用を行うかたによくある質問をQ&A形式で解説します。
A. 損失を被った場合、元本割れになる可能性があるのはデメリットといえます。
特にリスク性金融商品に投資する際は、各商品の理解や安全資産とのバランス(資産割合)が重要です。初心者向きの商品でも、適切な運用をするためには市場の知識や最新情報など、ある程度勉強や情報収集をする必要があることは覚えておきましょう。
A. まずは、家計の収支を把握することから始めましょう。生活防衛資金(生活費の6ヵ月分が目安)を確保したうえで、投資は余剰資金で行うようにします。
次にライフプランニングでこの先の人生に必要な支出を計算し、資産運用の目標額と必要な時期を算出してください。そのうえで、目的や年代にあわせた資産運用方法を選びます。
ライフプランニングの詳細を知りたいなら、身近な金融機関やFPなど、専門家に相談するとよいでしょう。
A. NISAの「つみたて投資枠」で投資信託を積み立てる方法がよいでしょう。
NISAであれば非課税投資枠を使えるので、税金がかからずに投資ができます。
また、ネット証券には100円から積立購入できる投資信託もあります。少額であれば、投資に抵抗があるかたでも気軽に始められるのではないでしょうか。
資産運用は人生のあらゆる目標を叶えるために、資金を運用・管理する方法全般を指します。貯蓄で資産を守り、投資で利益を獲得して資産全体を成長させることが資産運用の基本といえます。
NISAやiDeCoを活用すれば、所得税・住民税を抑えながら運用ができ、少額から取引が可能です。まずは無理のない範囲で、自分にあった資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。