将来に大きく差がつく!資産運用に欠かせない「複利効果」を押さえよう!

皆さんは「複利」という言葉を聞いたことがありますか?アインシュタインが「人類最大の発明」「宇宙で最も偉大な力」と呼んだことでも有名な「複利効果」は、資産運用を効果的に行う上で欠かせない考え方で、運用期間が長くなるほど効果が大きくなります。

今回は考え方の基本となる単利と複利の違いや、複利運用による運用シミュレーションをご紹介します。将来の運用成果に大きな差が出る「複利効果」について理解を深めていきましょう。

1.基礎からおさらい!「単利」と「複利」の違いは?


皆さんが銀行にお金を預けたり、金融商品を購入したりする際に耳にする「金利」には、大きく「単利」と「複利」の2種類があります。ここでは投資元本100万円、年利3%、運用期間5年間の場合の投資成果を例に、2つの違いを見ていきましょう。

【単利】

「投資元本」に対して利息が付く

投資元本100万円を単利で運用した場合(年利3%、運用期間5年)

投資による利益:合計150,000円

【複利】

「投資元本と受け取った利息」に対して利息がつく

投資元本100万円を複利で運用した場合(年利3%、運用期間5年)

投資による利益:合計159,274円

注目したいのが毎年の利息金額です。単利はあくまで元本に対して利息が発生するため、元本が変わらない以上、毎年の利息の金額も変わりません。一方複利は元本+受け取った利息(元利合計)に対して利息が発生するため、毎回受け取る利息金額は年々増えていくことになります。

複利はよく「雪だるま」に例えられますが、まさに小さな雪の玉を転がして大きくするようなイメージで、元本+利息にさらに利息がつくことで資産が増えていくのが分かります。結果として同じ5年間の運用であっても、複利の方が多くお金を増やすことができています。

では、ここで運用期間を20年に伸ばして比較しましょう。

単利の場合 投資による利益:合計600,000円

複利の場合 投資による利益:合計806,111円

グラフを見ると、単利と複利の差は5年目時点ではまだそこまで大きくありませんが、20年で見ると差が広がっているのが分かります。このように、複利の効果は投資期間が長くなればなるほど、より大きな力を発揮するためiDeCoやつみたてNISAなど、長期での運用を前提とする制度において、ぜひ押さえておきたい知識であると言えます。

資産運用において、金利は重視していても時間はそこまで意識していないというかたは少なくないのではないでしょうか。「なるべく早く運用を始める=時間を長く確保する」のが、結果として資産運用の効果を高めるという点も押さえておくと良いでしょう。

2.資産を2倍にするには何年かかる?「72の法則」で複利の効果を知る


複利の効果を知る上で押さえておきたいのが「72の法則」です。これは資産を2倍にするには何年かかるかを簡易的に計算するもので、計算式は以下の通りです。

72 ÷金利 =お金が2倍になる年数(概算)

例えば、年利1%で運用する場合、資産を2倍にするには72÷1%=72年かかると計算できます。3%、5%、10%と金利が高くなるに従って、資産が2倍になるために必要な年数が短くなっているのが分かります。

一般的な普通預金の金利に近い0.001%で運用する場合はどうでしょうか?必要な年数は約7万2,000年と大変長い時間を要するのが分かります。普通預金よりもなるべく金利が高いものをと定期預金を選んだとしても、金利が0.02%であれば資産が2倍になるのは3,600年後です。

いくら時間をかけたとしても、金利が低い場合には投資の成果が見込めません。資産を効率よく増やしていくには、「金利」と「時間」の相乗効果を得られるようにするのが鍵となります。

3.複利の力を使った積立のシミュレーション


それでは「金利」と「時間」の相乗効果を知るために、複利で積み立てた場合のシミュレーションも見ていきましょう。金融庁の「資産運用シミュレーション」では、毎月の積立金額と想定利回り(年率)、積立期間を入力すると複利運用でのシミュレーションが可能です。

例えば毎月3万円を20年間積み立てると、元本は720万円(3万円×12か月×20年)です。 金利1%、3%、5%で運用しながら積み立てた場合、運用の結果は以下のようになります。

※小数点第2位以下切捨て

金利1%で運用できた場合、720万円の元本に対して、10.6%増え、76.6万円の利益が得られることになります。金利5%で運用できた場合、71.2%増え、利益は513.1万円にもなり、426.4万円の違いが生まれる計算になります。金利の違いで結果が大きく変わるのが見て取れます。また前述の通り、運用期間が長くなればなるほど、金利による結果の差が大きくなっているのも分かります。積み立てしながら運用する場合であっても「金利と時間の相乗効果」を意識できると良いでしょう。

さらにもう一つ意識したいのが、「税制メリットが受けられる制度を活用する」という点です。例えば先ほどの例が株式型の投資信託の積み立てによる成果の場合、通常であれば利益の20.315%が税金(譲渡益)となります。

【年利5%で運用した場合】
利益513.1万円 × 20.315% = 税金104.2万円

手元に入る金額
 利益513.1万円 - 税金104.2万円 = 408.9万円

せっかく500万円以上の利益が出ても、そのうちの104.2万円が税金として徴収され、手元に残るのは408.9万円です。

しかし、つみたてNISAや確定拠出年金を使って同じ成果が得られた場合、税金は0円(非課税)となるため、利益がそのまま手元に入ることになります。

【つみたてNISA・確定拠出年金の場合】

手元に入る金額
 利益513.1万円 - 税金0円 =513.1万円

制度の違いだけで100万円以上の差が出る計算になりますから、税金メリットがある制度は積極的に活用できると良いでしょう。

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以上、資産運用における単利・複利の違い、および金利と時間の相乗効果についてご紹介しました。資産運用に取り組む前の前提知識として、資産運用の計画を立てる上で参考にしてみてください。

(※手数料等の諸経費につきましては考慮しておりません。)

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