住宅ローンの手続きの流れと必要書類│よくある質問と回答

「住宅ローンの手続きって難しい」とお考えではないでしょうか?そう思われるのは、住宅の購入は金額が大きく、人生の中で経験することが少ない手続きをすることもあるからかもしれません。そのため、事前に住宅ローンの手続きの流れや注意点などをあらかじめ知っておけば、住宅を購入する際のご不安も少なからず解消されるのではないでしょうか。

このように話されたのは、銀行員として20年勤務した後、現在は住宅ローンアドバイザーとして活躍される、愛媛住宅ローン相談プラザ 代表の片上さんです。今回は、住宅ローンの手続きの流れ、申込時に必要な一般的な必要書類や注意点等について、片上さんにご説明いただきました。

1.住宅ローンの手続きの流れ


まずは、住宅ローンの検討から融資実行までの手続きについて、一連の流れを知っておきましょう。下記の各段階でどのようなことをするのか、理解しておくことが大切です。

【住宅ローン手続きの流れの一例】

1-1.情報収集・相談

住宅を購入する際、購入予定の物件を取り扱う不動産会社やハウスメーカーから、提携している金融機関の紹介を受けるケースがあります。そこで紹介された金融機関の住宅ローンを他と比較などされずに決定されるかたもいらっしゃるかもしれませんが、ご自身でインターネット検索やセミナーへの参加などで様々な金融機関・商品の金利、条件諸費用などの情報を集め、幅広い選択肢の中から検討し、ご自身に合った住宅ローンを選択できるとより良いのではないでしょうか。

また、場合によっては金融機関に直接相談することも選択肢のひとつです。住宅ローンの手続きの流れやスケジュールは、金融機関によって異なることがありますので、初めのうちに確認しておくとよいでしょう。

1-2.審査申込み

次に、住宅ローンの利用を検討している金融機関に、必要書類を用意して審査の申込みをします。住宅ローンの審査は、一般的に以下の通り、事前審査(仮審査)と本審査(正式審査)の2段階で実施されます。

第1段階 事前審査(仮審査)

事前審査は、本審査の申込みをする前に、申込者本人の返済能力や借入状況などを確認する簡易的な審査です。購入したい物件が決まった段階で行われることが一般的です。事前審査が承認された後に売買契約等を結ぶことが多く、住宅購入の流れもスムーズになるようです(※)。
また、金融機関にもよりますが、事前審査の結果は申込みをしてから即日から1週間程度で通知されます。そして、事前審査の承認後に、詳細な資料を用意して本審査の申込みをします。

※ 事前審査承認であっても、本審査で謝絶となる場合がありますのでご注意ください。

第2段階 本審査(正式審査)

本審査のために必要な書類を提出することで、各金融機関が定める基準による審査が行われます。本審査では事前審査より詳細な審査が行われ、申込者本人の返済能力だけでなく、購入物件の担保価値や団体信用生命保険に加入できる健康状態かどうかなどが審査されることが一般的です。そのため審査期間も仮審査よりやや長く、1週間~10日程度かかるケースが多いようです。
この本審査が承認となると、住宅ローン契約締結の手続きに進むことができます。

また、注文住宅を建てる場合などでは、住宅ローンの融資を受ける(建物引渡し)前にハウスメーカーなどに支払う資金が必要になることがあり、そういった場合には、つなぎ融資が利用されることがあります。このつなぎ融資についても、契約手続きに移行するのは、本審査の承認後となることを注意しておきましょう。

つなぎ融資についての詳細は、こちらの記事(つなぎ融資とは?利用の流れと金利・手数料に関する注意点)もご覧ください。

1-3.契約

本審査が承認されると、金融機関との間で金銭消費貸借契約を結ぶことになります。同時に、担保となる物件の土地・建物に金融機関の抵当権を設定するための抵当権設定契約や、債務を保証会社が金融機関に対して保証することを委託する保証委託契約(※)を締結します。

※保証会社の利用が不要な場合は、保証委託契約はありません。

1-4.融資実行

契約書類に不備がなければ、あらかじめ指定した日時に融資実行され、金銭消費貸借契約を結んだ金融機関から申込者本人の口座に資金が振り込まれます。この資金を、不動産会社や工事請負業者などへの支払いに充てます。そして、支払いが完了すると、住宅の引渡しが行われることになります。

そのため、万一、契約書類の不備によって融資実行が遅れると大きな問題になります。そのためにも、事前に契約書類について学んでおき、適切に書類の準備ができるようにしておくことが大切でしょう。

2.住宅ローンの手続きに必要な書類


ここでは、一般的な住宅ローンの新規借入手続きにおける必要書類について、プロセスに沿って説明します。

2-1.事前審査時の必要書類

事前審査時の必要な書類は、金融機関やお申込みの内容によって異なります。夫婦の収入を合算して住宅ローンを組む場合や、配偶者が連帯保証人になる場合などは、両者についての書類が必要になります。必ず各金融機関に確認しながら手続きを進めていきましょう。

それでは、事前審査時に必要な書類の例を挙げます。

種類 必要な書類の例
本人確認書類  ・運転免許証
 ・パスポート
 ・個人番号カードなどの顔写真入りで住所、氏名、生年月日等の記載があるもの
 ・健康保険証 など
収入確認書類  ・給与所得者のかたは、前年の源泉徴収票(※1)や住民税決定通知書(※2)、
 課税証明書(※3)など
 ・個人事業主のかたは、確定申告書や納税証明書(※4)など
 ・法人代表者の場合は決算報告書など
物件確認書類  ・購入予定物件の販売チラシ
 ・資金計画表
 ・間取図 など

※1 源泉徴収票は、毎年年末年始に勤務先から発行されるものです。紛失された場合は、勤務先での再発行には時間がかかることがありますので事前にチェックされるとよいでしょう。
※2 住民税決定通知書は、毎年5~6月頃に勤務先から発行、または各市区町村から送付されてくるものです。
※3 課税証明書は、各市区町村で発行されるものです。
※4 納税証明書は、管轄税務署で発行されるものです。

2-2.本審査時の必要書類

本審査では、事前審査時に提出された書類に加えて、新たな書類の提出が求められます。事前審査時に提出した書類については、再提出が不要な場合があります。

種類 必要な書類の例
本人確認書類  ・運転免許証
 ・健康保険証
 ・住民票・・・世帯全員のもので、続柄の記載があり、本籍地やマイナンバーの
 記載がないもの
 ・パスポート など
収入確認書類  ・源泉徴収票
 ・住民税決定通知書
 ・納税証明書その1、その2
 ・確定申告書 など
物件確認書類
(購入する物件の種類によって必要書類は異なります)
 ・売買契約書
 ・重要事項説明書
 ・工事請負契約書
 ・建築確認申請書
 ・建築確認済証
 ・検査済証
 ・登記事項証明書
 ・公図
 ・地積測量図
 ・間取図 など

2-3.契約締結時の必要書類

種類 必要な書類の例
本人確認書類  ・運転免許証
 ・健康保険証
 ・住民票・・・世帯全員のもので、続柄の記載があり、本籍地やマイナンバーの
 記載がないもの
 ・印鑑登録証明書
融資金の入金口座を
確認するための書類
 ・入金口座の通帳
 ・口座の内容のわかるもの(金融機関webサイトの入出金履歴) など

ご覧の通り、住宅ローンの手続きには様々な書類が必要であり、書類が多くて大変だと感じるかたも少なくないかもしれません。わからないことがあれば、金融機関に相談してみるとよいでしょう。

3.住宅ローンの手続きの流れに関するよくある質問


ここまでは住宅ローンの手続きの流れ、また必要な書類等について説明しました。ここからは、手続きの流れに関するよくある質問をQ&A形式でいくつかご紹介していきます。

3-1.Q:購入する住宅の種類によって住宅ローンの手続きの流れは変わりますか?

A:原則、購入物件の種類によって手続きの流れ自体が変わることはありませんが、注文住宅を建てる場合は資金の支払先が複数に分かれるケースがあります。注文住宅は建売や分譲マンション購入とは違って、土地の所有者と建物の施工業者が異なることがありますので、この場合は支払先が分かれることになります。

また、土地代金、着工金、上棟金など、建物の引渡前に支払いが必要な場合に、つなぎ融資が利用されることがあります。

つなぎ融資の利用の流れについての詳細は、こちらの記事(「つなぎ融資とは?利用の流れと金利・手数料に関する注意点」)もご覧ください。

3-2.Q:借換えと新規借入れで必要な手続きは異なりますか?

A:異なります。住宅ローンの借換えでは、新たな金融機関で住宅ローンを借入れ、その資金で現在の借入先に全額繰上返済をし、抵当権の抹消登記などの手続きをします。そのため新規借入れの実行日と現在の借入先金融機関の全額繰上返済日を同じ日に設定する必要があり、日程調整が非常に重要になります。

3-3.Q:住宅ローンの手続きはどのくらいの期間がかかりますか?

A:金融機関によって異なりますが、事前審査の申込みから融資の実行まで1ヵ月半程度を見込んでおくとよいでしょう。ただし、審査に申込む時期や書類不備などで審査期間が長くなるケースもあるため、早めに準備しておくことが大切です。書類の書き方や、提出する資料に不安がある場合には、取扱金融機関に確認して、不備のないようご注意ください。

4.住宅ローンの一連の流れを事前に知っておこう


大切なことは、事前に住宅ローンの手続きの流れや必要な書類がなにかを知っておくことでしょう。一連の流れを知って事前に準備をしておくことで、住宅ローンの手続きに関するご不安の解消に役立てられると考えられます。

今後のライフプランに大きな影響を与える住宅ローンですから、よりスムーズに適切な手続きができるようご参考にしていただければ幸いです。

タイトル

タイトル
  • 片上 佳明

    愛媛住宅ローン相談プラザ 代表

    高知大学人文学部経済学科を卒業。銀行員として約20年勤務し、現在はファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザーとして活動。銀行員時代には、住宅ローンの借入手続、実行、管理、回収のすべての業務に携わった、住宅ローンのプロフェッショナル。住宅ローン実務の経験を活かし、年間約120件の住宅ローン相談を受ける。
    【保有資格】住宅ローンアドバイザー/2級ファイナンシャル・プランニング技能士


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