住宅ローンの平均はいくら?適切な借入金額や返済額の目安を解説

住宅ローンを利用して住宅を購入する場合、住宅ローン借入金額は予算だけでなく物件探しにも影響します。そこで、まずは収入に対して住宅ローンの負担が大きくなりすぎない借入金額を把握する必要があります。

金融機関による住宅ローン審査を受けることで、いくらまで借りられるかを知ることはできますが、金融機関の審査基準で算出された借入可能額だけでなく、無理のない借入金額も知っておくことが大切です。

この記事では、実際の住宅購入者の住宅ローン借入金額や返済額の平均を住宅種別ごとに紹介するとともに、適切な借入金額と返済額を知る方法についても解説します。
具体的な借入金額を知るためのシミュレーションの仕方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

1.住宅ローンの平均借入金額はいくら?


首都圏を中心に不動産価格の上昇傾向が続くなか、住宅を購入している人の購入資金はどのくらいで、住宅ローンはどのくらい借入しているのでしょうか。令和4年度住宅市場動向調査から、住宅種別ごとに「借入金額」「購入資金ならびに購入資金に対する借入金額の割合」を紹介します。

1-1.住宅購入における借入金額の目安

下表は、住宅種別ごとの住宅ローン借入金額(平均)をまとめたものです。

住宅の種類 借入金額の平均
注文住宅(土地付き) 3,772万円
注文住宅(建て替え) 2,394万円
分譲戸建住宅 3,054万円
分譲集合住宅 3,020万円
中古戸建住宅 1,908万円
中古集合住宅 1,492万円

出典:国土交通省 住宅局「令和4年度住宅市場動向調査報告書」

新築住宅(建て替えを除く)と中古住宅では、借入金額に1,000万円以上の違いがあることがわかります。新築住宅と中古住宅の価格の違いが影響していると考えられますが、購入者の属性の違いも要因として挙げられます。

同調査における住宅購入時の世帯主の平均年齢は、中古住宅の購入者が46歳前後に対し、注文住宅(建て替えを除く)が41.1歳、分譲戸建が39.5歳、分譲集合住宅が44.8歳と、中古住宅購入者のほうが新築住宅購入者より高い傾向です。

また、住宅ローンの返済期間をみても、分譲集合住宅を除き、中古住宅購入者の返済期間は、新築住宅購入者より4~6年短くなっています。
中古住宅購入者は平均して年齢が高い分、残りの現役期間も短くなるため、住宅ローンの借入金額・返済期間を抑えていると考えられます。

新築住宅においては、土地付きの注文住宅の借入金額が3,772万円と最も多く、分譲戸建ならびに分譲集合住宅の借入金額はおよそ3,000万円です。
のちほど紹介しますが、注文住宅は購入金額が大きい分、住宅ローンの借入金額も大きくなりやすいといえます。
なお、表中の借入金額には、住宅ローンによる借入以外に、父母や身内からの借入金額なども含まれています。

1-2.住宅購入における借入金額の占める割合

下表は、住宅種別ごとに、購入金額ならびに購入金額に対する借入金額が占める割合をまとめたものです。

住宅の種類 購入金額の平均 自己資金の平均 借入金額の割合
注文住宅(新築) 5,436万円 1,665万円 69.4%
注文住宅(建て替え) 4,487万円 2,093万円 53.3%
分譲戸建住宅 4,214万円 1,160万円 72.5%
分譲集合住宅 5,279万円 2,259万円 57.2%
中古戸建住宅 3,340万円 1,432万円 57.1%
中古集合住宅 2,941万円 1,450万円 50.7%

出典:国土交通省 住宅局「令和4年度住宅市場動向調査報告書」

借入金額が購入金額に占める割合は、およそ50%~70%であることがわかります。傾向としては、住宅ローンの借入金額と同様に、新築住宅のほうが中古住宅より借入金額の割合が高くなっています。
新築住宅と比べて中古住宅の購入金額は低く、同時に、中古住宅購入者の平均年齢が新築住宅購入者より高い分、自己資金を一定程度準備できている場合が多いことから、借入金額の割合が低くなっていると考えられます。

また、住宅ローンの審査にあたり、多くの金融機関では融資率を考慮します。
融資率とは、住宅ローン借入金額が住宅の建設費・購入費に占める割合です。当然、融資率が低いほど住宅ローンの審査上有利に働きやすく、住宅金融支援機構のフラット35など、融資率によって適用される住宅ローン金利が変わる商品もあります。
購入金額に対する借入金額の割合は、住宅ローン審査や適用金利にも影響する可能性がある点をおさえておきましょう。

2.住宅ローンの平均返済額は?


購入資金や住宅ローン借入金額の平均を紹介しましたが、ここでは年間や月当たりで実際にどれくらいの住宅ローン返済をしているか紹介します。

2-1.【住宅の種類別】住宅ローンの平均返済額

住宅の種類 返済額の平均(年間) 返済額の平均(月)
注文住宅(新築) 174.0万円 14.5万円
分譲戸建住宅 126.6万円 10.55万円
分譲集合住宅 148.1万円 約12.34万円
中古戸建住宅 106.7万円 約8.89万円
中古集合住宅 101.3万円 約8.44万円
リフォーム住宅 75.6万円 6.3万円

住宅ローン返済額の平均は、中古住宅であれば、月約9万円、新築住宅は住宅種別によって約10万円~15万円となっています。
新築住宅の借入金額が中古住宅よりも高いという事実が、住宅ローン返済額にも表れているといえるでしょう。

また、同じ新築の戸建て住宅でも、注文住宅と分譲住宅では、借入金額の平均に約700万円の差がありましたが、返済額においても毎月約4万円(年間48万円)の大きな差が出ています。
一般的に、同じ新築戸建て住宅でも、分譲戸建のほうが注文住宅より価格を抑えやすいといわれますが、住宅ローン返済額についても大きな違いが見てとれます。

ただし、住宅ローンの返済額は、借入金額だけでなく、住宅ローンの適用金利や借入期間によっても変わります。

現在約7割の人が変動金利タイプを選んでいますが、変動金利タイプは固定金利タイプと比べて金利水準が低く、返済額を抑えやすい一方、金利動向によって返済額が変わる可能性がある点には注意が必要です。

また、借入期間を短くするほど、年間、月当たりの返済額は多くなるため、長期間の返済を前提とする住宅ローン返済では、返済負担が重くなり過ぎないよう、生活費や必要な貯蓄、趣味やレジャーにかかる費用などを含めて考える必要があります。

出典:国土交通省 住宅局「令和4年度住宅市場動向調査報告書」

3.住宅ローンの適切な借入金額と返済金額の目安


ここまで、実際に住宅ローンをどの程度借入れし、毎月どれくらいの金額を返済しながら住宅を購入しているのかを紹介しました。
ここからは、住宅ローンの適切な借入金額と返済額の目安を、年収を基に知る方法について解説します。

3-1.住宅ローン借入限度額と無理なく返済できる金額は違う

住宅ローンの借入限度額は、年収のおよそ5~7倍といわれています。ただし、借入限度額と無理なく返済できる金額は必ずしも同じではありません。
借入限度額は、各金融機関の審査基準から算出された融資可能な金額の上限であるのに対し、無理なく返済できる金額は、長期的な視点で、家計への住宅ローン返済負担を考慮して決めるものです。

3-2.返済比率から住宅ローンの借入金額を考える

一人ひとりの適正な返済金額を知るための指標の1つが、返済比率です。
返済比率とは「年間返済額が年収に占める割合」を示し、25%以下が理想とされています。

返済比率=年間返済額÷年収×100(%)

例えば、年収600万円で毎月の返済が10万円(年間返済額120万円)の場合の返済比率は次のようになります。

返済比率=120万円÷600万円×100=20%

3-3.年収600万円・返済比率25%の借入金額のシミュレーション

それでは、年収600万円の場合の適正な借入金額の目安はいくらになるのでしょうか。無理のない返済比率といわれる25%を基に試算してみます。
前提条件として、金利1.0%、借入期間35年、元利均等返済、他の借入はないものとします。

年間の住宅ローン返済額:600万円×25%=150万円(毎月12.5万円)
ここから前提条件を基に住宅ローン借入金額を算出すると、約4,428万円となります。

なお、金融機関の住宅ローン審査において、返済比率(返済負担率)は審査項目の1つとなっており、住宅ローン以外に車や教育ローンなどの返済があれば、それらを含めて返済比率を計算します。

家計の状況は家庭ごとに異なりますので、同じ返済比率でも住宅ローンの負担感は異なる可能性があります。そのため、実際に住宅ローン返済について検討する際は、住宅ローン以外の借入や生活費、必要な貯蓄なども含めて判断するようにしましょう。

自分の年収における無理のない借入金額や毎月の返済額の目安を知りたい方は、以下の住宅ローンシミュレーターで算出できますので、活用してみてください。

参考:住宅ローンシミュレーション

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4.住宅ローンの平均返済額を参考にシミュレーションしてみよう


住宅購入時の資金計画を考えるのに役立つ、住宅ローン借入金額や毎月の返済額の平均値について紹介しました。
住宅種別で見ると、新築住宅のほうが中古住宅よりも借入金額や住宅ローン返済額が大きく、新築住宅のなかでは注文住宅(土地付き)が最も高いことがわかりました。

こういった調査結果がある一方、長期間にわたる住宅ローン返済を無理なく継続していくためには、住宅ローンの返済負担が家計に対して適正である必要があります。
住宅ローンの返済負担を判断する指標である返済比率は、住宅ローンの返済計画や選ぶ商品によって計算結果が変わります。

返済期間が短いほど返済負担率は高くなるものの、住宅ローン商品や団体信用生命保険(特約)の選び方によって適用金利が異なり、結果として返済負担率にも影響を及ぼします。
借入を検討している住宅ローンは、無理のない借入額、返済額となっているか、シミュレーションしてみましょう。

タイトル

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  • 吉満 博

    株式会社あつみ事務所 代表

    建設会社・ハウスメーカーで建築設計、不動産売買仲介を経て、不動産・住宅専業ライターとしても活動。これまで不動産・金融メディアを中心に300本以上の記事執筆を手掛ける。現在、不動産売買や住み替えを中立的な立場でサポートするサービスを提供しながら情報発信を行う。

    【保有資格】宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー2級技能士・住宅ローンアドバイザー


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