FPに教育資金の相談をすると何が聞ける? 実際に多い相談とは

人生の3大資金のひとつとされる「教育資金」に関しては、金額に個人差があるうえに準備方法も世の中に多くの選択肢がありますから、専門家の意見を参考にしたいというかたも少なくないのではないでしょうか。

ただ、お金の専門家とも言われるFP(ファイナンシャルプランナー)には、どのようなことが相談できて、どのようなアドバイスがもらえるのか、イメージしにくいので相談をためらってしまうという意見もあるでしょう。

今回は株式会社家計の総合相談センターのFPとしてご活躍中の尾上 堅視 先生をお迎えし、FPに教育資金のことを相談するとどのようなことが聞けるのか、実際によくある相談などを交えながらお話を聞きました。

◆お話を伺ったかた◆

株式会社 家計の総合相談センター

尾上 堅視 先生

2005年に自分の老後不安から投資をスタート。あわせて資産運用を身近なものにするためのサイト「かえるの気長な生活日記。」を立ち上げ、資産運用を長く続けていくための情報を個人投資家目線で発信中。2009年にはサイトをきっかけに、投資信託・投資にまつわる証券会社・運用会社の取材記事などのライターを務める。2010年より家計の総合相談センターの相談員・ファイナンシャルプランナーとして、個人投資家の金融リテラシー向上のため、お金と仲良くおつきあいする方法を、セミナー・コラムなど通じて活動中。

<著書・監修>

あたりまえだけど誰も教えてくれない お金のルール(アスカビジネス)、 はじめての積立て投資1年生(アスカビジネス)

1.教育資金準備の商品選びの前に! 押さえておきたい「基本」


マネープラザONLINE 担当S(以下担当S))

尾上先生は数多くのFP相談を担当される中で、教育費準備に関するご相談も多く受けられると伺いました。そのご経験を通して「教育資金準備を検討する上での押さえておきたいポイント」を挙げていただくと、どのようになるでしょうか。

尾上先生)

ポイントは大きく以下の3点です。

  1. 金額・時期など「目標を設定する」
  2. 教育資金以外で必要な資金も整理する
  3. 収入・支出・貯蓄を整理してお金の計画(マネープラン)を立てる

一つ目のポイントは「金額・時期など【目標を設定する】」です。教育資金関連のご相談として多いのが「この学資保険が気になっているので、商品比較をしながら内容を教えて欲しい」、「つみたてNISAを活用したいけれど、どんな投資信託を選べばよいか教えて欲しい」など、具体的な商品や制度から検討に入っているケース。この場合には、一度立ち止まっていただくようにお話ししています。

担当S)

その前に考えなければいけない点があるということでしょうか。

尾上先生)

その通りです。これは行き先が決まっていないのに、車で行くべきか、電車で行くべきか、はたまた船や飛行機か…などと検討していることに似ています。行き先がまず決まらないと、どんな手段を使うべきか合理的な判断は難しいはずです。

教育資金準備に限らず何か目的があってお金を貯めるには、「いつまでに(時期)、いくら(金額)」という【目標】を設定することが最初のステップです。目標が決まると、どんな制度や商品が適しているかもある程度判断しやすくなります。その判断軸を持つことが非常に大切ですね。

担当S)

確かに、漠然と「教育資金を貯めなければ」とだけ考えていても、商品や制度選びで苦戦しそうですね。目標設定する上で、目安になる金額はありますか?

尾上先生)

「教育資金は、子供一人当たり1,000万円を目安に」などと耳にすることがあるかもしれませんが、こういった金額は進路などで大きく変わります。1,000万円というと幼稚園から大学まで全て国公立だった場合の目安となる金額で、私立を選択するともっと費用がかかると考えて良いでしょう。

国公立を選択する場合、幼稚園から高校までは毎月の生活費の中でやりくりできることが多く、まとまった資金が必要になるのは「大学」です。そうするとお子さまが18歳までにいくら貯める、と目標が決まってきますね。私立の場合は、幼稚園、小学校、中学校とそれぞれである程度まとまった金額がかかります。

もちろんお子さまが小さいうちから進路を決めることは難しいかもしれませんが、「国立大学の費用分は貯めよう」、「理系の私立大学を選択したとしてもカバーできる金額は貯めよう」などとイメージしておくことが大切です。そして進学プランが見えてくるたびに見直しておくことで、より安心につながることでしょう。

担当S)

具体的な進路によってどれくらい費用がかかるか、平均値を参考にしても良さそうですね。

あわせて読みたい>子供の教育費、どう貯める? 教育費の実態と準備方法(前編)

尾上先生)

2つ目のポイントは「教育資金以外で必要な資金も整理する」です。教育資金についてご相談されるお客様の中には「教育費」のことで頭がいっぱいになっているかたが少なくありません。ただし、人生において必要な資金は教育費だけではないはずです。いくら教育費がパーフェクトに準備できたとしても、ご自身の老後資金や介護資金が不足してしまったとなれば、ご家族にとって良い判断だったとは言えないかもしれません。教育資金準備を考えるときこそ、それ以外の必要資金にぜひ着目してください。

担当S)

具体的にどういった資金が必要になりますか?

尾上先生)

まず、金額的に大きいのが「老後の生活資金」です。何歳で現役を引退するのか、パートやアルバイトなどを継続するのかなどライフスタイルによって必要な金額が大きく変わります。公的年金がいくら受け取れるのかなどと併せて目標設定できると良いでしょう。

教育資金と老後資金の2つを考える上で特に注意したいのが、ある程度お年を重ねてから子育てがスタートするケースです。「お子さまの大学入学のタイミングで、すでに老後を迎えている(=一番教育資金がかかるタイミングで、収入が少なくなっている、もしくは期待できない)」といった状況が想定される場合には、現役中に必要な教育資金をしっかりと貯め切るように計画する必要があります。

また「住居に関する資金」も見逃せません。賃貸でも持ち家でも、家賃や住宅ローンの返済が継続してかかることが想定されることに加え、「どの地域に住むか」は教育環境にも影響することがあります。お子さまが産まれたことをきっかけに持ち家を購入するといったケースも多く見られますので、教育資金を考えるうえで住居に関しても計画を整理しておくことをお勧めします。

担当S)

老後の生活資金や住居に関する資金などは、一見すると教育資金とは関わりがなさそうに感じますが、教育資金以外の部分も総合的に考える必要がありそうですね。

尾上先生)

はい。これは三つ目のポイント「収入・支出・貯蓄を整理してお金の計画(マネープラン)を立てる」に通じる部分です。前述の通り、お子さまの教育資金はあくまでも「必要資金の一部」と捉えて、今一度人生で必要な資金を整理できると良いと思います。この部分がクリアになってくると、どんな商品・制度を選ぶか、リスクをどの程度取るのかなども自ずと判断しやすくなるはずです。

また、具体的な資金準備のプランを検討するためには、足元の状況(収入・支出・貯蓄)の整理も必要でしょう。毎月いくら貯蓄できるのかが曖昧な状態で、10年、15年などと積立期間が長い貯蓄や運用をスタートしてしまうと、途中で解約・売却をせざるを得なくなるかもしれません。注意すべきなのは、中途解約・売却によって損失が生じる可能性があることです。

担当S)

確かにそうですね。目標設定と現状の整理から始めることが大切ですね。

2.「学資保険?」「NISA・つみたてNISA?」教育資金準備の手段


担当S)

教育資金準備の具体的な方法について、その特徴も含めて教えていただけますか?

尾上先生)

さまざまな方法がありますが、一般的には「学資保険・貯蓄型の保険」、「現金貯蓄」、「NISA・つみたてNISA」、の3つが選択肢となるでしょう。

まず「学資保険・貯蓄型の保険」は、「守り」に重点を置いた方法と言えます。教育資金を必要な時期までに積み立てることに加えて、契約者(この場合はご両親のどちらかになるのが一般的)が死亡した場合にも保険金として教育費を遺すことができます。万が一の状況を含めて堅実性を重視したいかたにはメリットがある手段と言えます。

また、堅実性という観点でいうとシンプルに「現金貯蓄」も選択肢の一つです。途中で引き出しやすいという観点でいうと、一番メリットがあるとも言えます。「毎月○万円積み立てる」などと定期積立を設定して、積立を自動化できると良いでしょう。

最後に「NISA・つみたてNISA」について、こちらは「攻め」に重点を置いた方法です。NISA・つみたてNISAは投資信託等を運用する制度で、運用益が出た場合にはその利益が非課税になるメリットがあります。お子様の口座で投資するジュニアNISAもあります(※)。ただし、教育資金は「お子さまの入学のタイミング」など資金が必要となるタイミングがある程度決まっているため、そのタイミングで損失が生じていると、投資した元本を下回る可能性も考えられます。その点を踏まえて、守りと攻めのバランスを考えられると良いと思います。

※ジュニアNISA口座の投資可能期間は2023年末で終了しますが、2023年末で20歳になっていない方は、20歳になるまで引き続き継続管理勘定にて非課税で保有できます。

3.自分に合う「教育資金準備」の選び方


担当S)

一言で教育資金準備と言っても、さまざまの準備方法があるんですね。これらの中から1つを選ぶのではなく、いくつかの方法を組み合わせるのも良さそうです。自分に合う方法を選ぶためにはどうしたら良いでしょうか?

尾上先生)

まずは、最初にポイントとしてもお伝えした通り、お金の計画(マネープラン)を立てることからスタートしましょう。教育資金以外の必要資金を洗い出し、いつまでにいくら準備が必要かを時系列で整理できるといいですね。こういった整理を「マネープランニング(お金の計画)」と呼びます。マネープランが出来上がると、これから先、どんなペースでどのように貯蓄や資産運用をしていけば良いか、方向性が見えてくるはずです。攻めと守りのバランスを考えて、商品・制度選びができると良いと思います。

FP(ファイナンシャル・プランナー)は、その言葉の通りお金に関する計画を立てるプロフェッショナルです。どういった点に注意して計画を立てれば良いかのアドバイスに加えて、税金や社会保障制度など、お金について考える上での大前提となる知識を持っていますから、「自分だけで考えるのは難しそう」と感じる方は相談してみてもよいと思います。ぜひうまく活用してください。

担当S)

FPの先生に相談すると、お金の計画を立てる上で他の方がどんな部分に躓いているかなど、参考になる情報が伺えそうですね。今回は貴重なお話をありがとうございました。

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