住宅ローンの借換えとは、現在契約している金融機関とは別の金融機関で住宅ローンを契約し、その新しい住宅ローンで借りた資金を使って現在の借入金を一括完済する仕組みです。借換え後は新しいローンを返済していきます。
借換えることで、利息額が抑えられるなどのメリットが得られる可能性があります。
一方で、事務手数料や登記費用といった諸費用がかかるため、総合的にメリットがあるかどうかは「借換え前後の金利差」「残りの返済期間」「借入残高」を目安に判断するのがよいとされています。
この記事では、住宅ローンの借換えを検討する際の目安や条件、適切な借換えタイミングやメリットを確認する手順・チェックポイントについて分かりやすく解説します。
住宅ローンの借換えは、家計の固定費を削減できるチャンスです。2026年現在は、かつての利息の節約という側面に加え、「将来の金利上昇リスクから家計をどう守るか」という戦略的な視点がより重要になっています。借換えには数十万円単位の諸費用が伴うため、目先の返済額だけでなく、完済までの総支払額で確実にメリットが出るかを確認することが鉄則です。
また、借換えは最新の団体信用生命保険(団信)に入り直す機会でもあります。数字上の損得はもちろん、ご自身の健康状態や将来の安心感まで含め、ご家族にとって最も持続可能なプランを、この記事をガイドにして検討してみてください。
現在の住宅ローンより低い金利の住宅ローンに借換えることで、借換え後に支払う利息が少なく済み、毎月の返済額や返済総額を軽減する効果が期待できます。
借換えで利息を軽減するには、大前提として「現在より金利が低くなること(金利差があること)」が必須です。
また、借換えの際には事務手数料や印紙税(住宅ローンの契約書に課税される国税)、登記費用などの諸費用が発生します。
借換えにかかる諸費用を差し引いても十分な金銭的メリットが出やすくなる目安として、「金利差」に加えて以下の「期間」「残高」の条件を同時に満たしていることが一般的といわれています。
それぞれの目安について詳しくみていきましょう。
金利が上昇傾向にある今、借換えの判断はより慎重さが求められます。一般に「金利差1%」と言われますが、借入残高が4,000万円〜5,000万円と多く残っているご家庭では、わずか0.3%の差でも総返済額を100万円単位で減らせる可能性があります。諸費用という確実なコストを、将来の利息軽減分でしっかり回収できるか、冷静に試算しましょう。
借換え前後の金利差が年1.0%以上あれば、利息軽減効果が出やすいといわれています。金利差が開くほど借換え後に支払う利息は減り、諸費用を上回りやすくなるためです。
一方で「借入残高が3,000万円、残りの返済期間が25年」など他の検討項目が目安とされる基準を大きく上回っていると、金利差が0.3〜0.5%ほどであってもメリットが生じるケースもあります。
借換えを検討する際は、適用金利を比較するようにしましょう。
借換え前後の金利差が年1.0%以上あり、かつ残りの返済期間が10年以上ある場合も、借換えのメリットが生じる可能性があるといわれています。
返済期間が長く残っているほど、借換え後の低い金利が適用される期間も長くなり、金利差による利息軽減額が積み上がりやすくなるためです。
反対に、残りの返済期間が10年を切っていると、低金利の恩恵を受けられる期間も短くなるため、借換えをしても利息軽減効果を得にくくなります。
借換えを検討する際は「返済を開始してから何年が経ったか」ではなく「残りの返済期間が何年あるか」を確認しましょう。
借換え前後の金利差が年1.0%以上あり、かつ借入残高が1,000万円以上あることも、借換えメリットが期待できる目安の一つです。
住宅ローンの利息額は、直前のローン残高に金利をかけて計算します。残高が多く残っているときに、より金利が低い住宅ローンに借換えると、軽減される利息額が増えやすくなります。
借換えに「万人に共通するベストな時期・タイミング」はありませんが、ご自身の目的に合ったメリットが得られるのであれば、いつでも検討の余地があります。
借換えを検討するきっかけとして適していると考えられるタイミングは以下の通りです。
固定期間選択型(3年・5年・10年など一定期間の金利を固定する金利タイプ)の住宅ローンを利用している場合、固定期間が終了したときが借換えタイミングです。
固定期間の終了後は自動的に変動金利に移行しますが、金融機関が取り扱う範囲内で再度一定期間の金利を固定させることも可能です。
商品によっては、金利の固定期間が終了すると金利の優遇幅が縮小する場合があります。そのような商品は、期間終了後に再び同じ期間の金利を固定する際に優遇幅が縮小していることで適用金利が上昇し、返済負担が増える可能性があります。
そのため、優遇幅が縮小するタイミングでより金利が低い住宅ローンへの借換えを検討するとよいでしょう。
現在返済中の住宅ローンよりも低金利の商品を見つけたときも、借換えを検討するのに適したタイミングです。
住宅ローンの金利は、市場の金利水準などをもとに定期的に見直されています。
新規借入れ金利よりも借換え向けの金利を低く設定する金融機関や、期間限定で一定の条件を満たすと金利が引き下げられるキャンペーンを実施する金融機関もあります。
金融機関の公式サイトや住宅ローンの比較サイトなどで最新の情報を確認し、より低金利の商品を見つけたときは、借換えによる利息の軽減額を試算してみましょう。
家族が増えたり、子どもの進学のタイミングだったり、ご自身の転職や独立などのライフイベントを控えている時期は、借換えを検討するきっかけになります。
生活背景が変わったことによる収入や支出の変動に応じて、現在の住宅ローンの返済が家計の負担に感じられる場合、より低金利の住宅ローンに借換えることで毎月の返済額を抑え、家計負担を軽減しやすくなる可能性があります。
なお、住宅ローンの審査では申込者の年収や勤続状況などが確認されるため、転職や退職を予定している場合は、実行する前に借換えを済ませておくと安心です。
住宅購入時に「転職して間もない」「年収が少なかった」などの理由で、希望する金融機関の審査に通らず、やむを得ず金利が高めの住宅ローンを組んだというかたもいるでしょう。
その後、勤続年数が長くなったり年収が上がったりして状況が改善したタイミングは、より低金利な住宅ローンへ借換えるチャンスになります。
また、配偶者が働き始めて収入合算できる条件が整ったタイミングなども、より有利な条件で借換えるきっかけになります。
住宅ローンの借換えを検討する際は、ご自身の目的に合ったメリットが本当に得られるのか、必ず以下の手順で確認を行いましょう。
③現状のご自身の状況や銀行の審査基準を踏まえ、審査通過の確度を確認する
利息軽減効果を含む、借換えによるメリットを正確に試算するための第一歩は、現在の借入状況を正確に把握することです。
まずは、借入先の金融機関から届いている「借入しているすべての住宅ローン」および「住宅に付随するローン(諸費用ローンなど)」の返済予定表を手元に準備しましょう。
用意した返済予定表をもとに、現在の「適用金利」「ローン残高」「残りの返済期間」の3つの数字を正確に把握します。
ご自身の記憶や大まかな数字ではなく、書面で正確な情報を確認しておくことが、次のステップで行うシミュレーションの精度を高め、正しい判断につながります。
準備した返済予定表をもとに、金融機関がWebサイトなどで公開している「借換えシミュレーション」を活用して、具体的なメリットを確認しましょう。
現在の借入状況と、新しい借入れ条件を入力することで、金額の変化を概算で把握できます。このとき重要なのは、ご自身の「借換えの目的」に合致した効果が出ているかをチェックすることです。
借換えには、事務手数料や保証料、登記費用などの諸費用が発生します。借換えの目的が「トータルの支払いを減らしたい」という場合は、毎月の返済額だけでなく、これらの諸費用を含めた「総支払額」がトータルで軽減できているかを確認する必要があります。
借換え時に発生する主な諸費用は、以下のとおりです。
シミュレーション結果はあくまで概算ですが、毎月の負担額とトータルの支払額がどう変化するかを見ることで、借換えが自分にとって適切な手段かを見極めることができます 。
もし、ご自身での判断が難しい場合は、金融機関の担当者やファイナンシャルプランナーなどの専門家と相談しながら決めるのがよいでしょう。
>>あわせて読みたい(住宅ローンの借換にかかる手数料の目安は?用意できないときの対処法)
金融機関によっては、住宅ローンの利用者を対象に「ATMや他行振込などの手数料免除」や「グループ店舗のお買い物での割引やポイント還元」「レジャーや宿泊施設の優待」といった優遇サービスを提供している場合があります。
他の金融機関に借換えることで、これらの優遇サービスを受けられなくなる場合がありますので、シミュレーションで確認できる金銭的なメリットと合わせて、こうしたサービスの変化もチェックしておくと良いでしょう。
シミュレーションでメリットが確認できたら、実際に借換えの審査に通る見込みがあるかを確認しましょう。借換えの場合も、新規借入時と同様に金融機関による厳格な審査が行われます。
まずは、現在の年収や勤続年数、その他の借入れ状況といった「ご自身の状況」を整理し、検討している銀行の審査基準と照らし合わせることが大切です。
例えば、転職直後で勤続年数が短い場合や、収入が大きく減少している場合等は、希望する条件での審査通過が厳しくなる可能性があります。
また、健康状態も重要な審査条件のひとつです。借換えの場合、これまでの団体信用生命保険(団信)は引き継げず、新しく住宅ローンを契約する金融機関で再加入が必要です。持病があるなど健康状態に不安がある場合は、団信に加入できる見込みがあるかを事前に確認しましょう。
借換えによって総支払額が増えてしまう場合や、審査に通過できる見込みが薄い場合などは、借換えは見送ったほうがよいでしょう。具体的に借換えができない、またはしないほうがよいケースとして、以下が挙げられます。
「住宅ローン借換えの3つの目安・条件」でも解説した、以下の3つの目安をほとんど満たしていない場合は、諸費用が利息の軽減額を上回りやすくなります。
「変動金利から固定金利に切り替えたい」「団信の保障を充実させたい」など、金銭的なメリット以外に明確な理由がある場合を除いて、借換えは見送ったほうがよいでしょう。
先述の通り、借換えをする際も、金融機関による審査を改めて受けることになります。そのため、現在の住宅ローンの返済実績が1〜3年未満など極端に短い場合や、直近の返済で滞納履歴がある場合は、審査に通りにくくなる可能性が高いです。
また、住宅購入時と比べてご自身の状況が低下している場合も注意が必要です。例として、転職直後で「同一勤務先での勤続年数」の要件を満たせない場合や、自営業やフリーランスへの独立等で収入の安定性が低いと判断された場合は、審査に通らず借換えができないケースがあります。
現在のご自身の状況が借換え先の審査基準に乗らないと考えられる場合は、勤続年数を重ねる、返済実績を積むなど、条件が整うまで借換えは見送りましょう。
持病があるかたや、過去の一定期間に大きな病気を患った経験があるかたは、引受保険会社による団信の審査に通らない可能性があります。
引受条件が緩和された「ワイド団信」を検討する方法もありますが、一般的に年0.3%程度の金利上乗せが生じるため、返済負担が増えて借換えによる金銭的なメリットが減少するでしょう。
また、団信への加入が任意であるフラット35に借換える方法もあります。しかし、団信に加入しない場合、契約者に万一のことがあったとき、残されたご家族が住宅ローンの残債を引き継ぐことになるため、遺族の生活に大きな影響を及ぼしかねません。
そのため、団信に加入することが難しい場合は、借換えを見送ることも一つの方法です。団信に加入せずフラット35に借換える場合は、自己資金やすでに加入している生命保険などで万一の事態に備えられているか、よく検討することが大切です。
住宅ローンの借換えに関するよくある質問にお答えします。
A.制度上は可能ですが、借入残高が少ないと借換えによる金銭的なメリットは出にくくなります。
借換えには数十万円単位の諸費用がかかるため、残高が少ない状態で金利の低いローンに乗り換えても、利息の軽減額が諸費用を上回らない「諸費用負け」のケースが多くなるからです。
ご自身が借換えるべきかどうかの目安は「住宅ローン借換えの3つの目安・条件」で解説していますので、参考にしてください。
A.引き続き住宅ローン控除を受けることができます。ただし、借換えで返済期間を短縮し、償還期間が10年未満になると、控除の対象外となる点に注意が必要です。
また、借換えをしても控除期間が延長されることはありません。
借換えの諸費用に充てた金額など、住宅ローン控除の対象にならないものもありますので、借換え前によく確認しておきましょう。
A.借換え先の金融機関が取り扱う団信に加入し直すことになり、以前のローンの団信を引き継ぐことはできません。
団信に加入するためには再度審査を受ける必要があるため、持病があるかたや過去に大病を患ったことがあるかたなどは加入できない場合があります。
一方で、健康状態が良好であれば借換えの際により保障が充実した団信に加入し直すことも可能です。
A.金利差が小さくても、借入残高が多い場合や残りの返済期間が長い場合、利息の軽減額が諸費用を上回ることがあります。金銭的なメリットが期待できるのであれば、借換えを検討するとよいでしょう。
また、保障が充実した団信へ乗り換えることが主な目的であれば、金利差が小さく利息の軽減効果がさほど得られなくても借換えをする意義はあるといえます。
団信の保障を手厚くする代わりに、加入している生命保険の保障内容を見直して保険料を削減し、家計の負担を軽減するという考え方もあります。
住宅ローンの借換えは、単に金利の低いローンに乗り換えること自体がゴールではなく、ご自身の家計やライフプランを豊かにするための「手段」です。
借換えで失敗せず、確実なメリットを得るためには、以下のステップで検討を進めましょう。
住宅ローンの借換えで得られる効果や検討するべきタイミングは、一人ひとりの状況やライフステージによって異なります。
借換えがご自身にとって最適な選択か迷った場合は、金融機関の窓口や住宅ローンの専門家に一度相談してみることをおすすめします。
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