マイホーム購入を考える際に、まず自分の年収でいくら借り入れができるかを気にされるかたは多いでしょう。特に、給与所得者の中で最も多い年収400万円のかたで、どれくらいの住宅ローンが組めるのか、また借り入れできるとしても、家計に負担を掛けない適切な借入額はいくらかを知りたいかたも多いはずです。
今回は、年収400万円の場合に借り入れできる住宅ローンの借入額の目安について解説します。
住宅ローンで借りる金額の目安については、年収倍率を基準にして求める方法や、返済比率で求める方法があります。それぞれのかたにあった借入金額は、資金計画や金利、住宅種別によっても異なります。
ここでは、まず年収倍率を基準として、年収400万円のかたが借りる住宅ローンはどのくらいを目安にしたらよいかを検討していきます。
年収倍率とは、借入額が年収の何倍かを示す指標です。物件購入価格を年収で割った数値になります。年収倍率は高ければ高いほど返済の負担が大きくなります。
では、実際に住宅ローンを借りているかたの年収倍率はどのくらいなのでしょうか。ある調査の年収倍率の平均値を参考にしてみましょう。
下記の表は住宅金融支援機構の「2022年度 フラット35利用者調査」をまとめたものです。この調査によると、2022年に住宅ローンを契約されたかた全体の年収倍率の平均は6.7倍、物件の種類ごとの年収倍率の平均はやや異なり、5.7倍〜7.7倍であることが分かります。
実際の住宅ローン返済は、社会保険料などが引かれた手取り金額から支払うことになるため、年収は手取り金額でも同時に見ていきたいと思います。一般的に手取りは、総支給金額の75~85%になるといわれており、年収400万円の場合300~340万円のため間をとって320万円で計算していきます。
【融資区分別の年収倍率】
住宅種別 | 年収倍率 | 年収400万円の借入額 | 手取り320万円の借入額 |
中古戸建て | 5.7倍 | 2,280万円 | 1,824万円 |
中古マンション | 5.9倍 | 2,360万円 | 1,888万円 |
建売住宅 | 6.9倍 | 2,760万円 | 2,208万円 |
注文住宅 | 6.9倍 | 2,760万円 | 2,208万円 |
新築マンション | 7.2倍 | 2,880万円 | 2,304万円 |
土地付き注文住宅 | 7.7倍 | 3,080万円 | 2,464万円 |
平均 | 6.7倍 | 2,680万円 | 2,114万円 |
(※)住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」を基にSBIマネープラザ作成
上記の表より、年収倍率を基に計算した年収400万円の借入額は、1,824万円〜3,080万円となり、こちらを借入額の目安とすることができます。
なお、年収倍率は、あくまで住宅ローンだけで算出した借入額の目安であり、それ以外の借り入れ金額を考慮していない点にはご注意ください。
無理なく返済できる住宅ローンを考える際に、返済比率での検討も必要です。なぜなら、金融機関が融資に際し、年収金額に対して返済可能な額となっているか判断する基準として、返済負担率が重要な項目1つとなっているからです。
返済比率を下げすぎると物件のグレードを下げたり多額の頭金を用意したりする必要がでてくるため、無理ない範囲で借りるのがよいでしょう。
ここでは、返済比率から年収400万円のかたの借入額について考えていきます。
返済比率とは、年収に占める「年間返済額の割合」を指し、返済負担率・総返済負担率ともいいます。返済比率の計算式は下記のとおりです。
【返済比率の計算方法】
返済比率=年間返済額÷年収×100
前述の住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」によると、住宅ローン利用者の総返済負担率25%以上30%未満の利用者が27.5%と、最も多くなっています。
この結果から、住宅ローン利用者の多くは返済比率を25%〜30%に設定していることがわかります。
>>あわせて読みたい 【年収別】住宅ローンの返済比率の目安は?計算方法や借入時の注意点
返済比率を基準に年収400万円の借入金額の目安を導きだすために、先ほどの返済比率25%〜30%で実際の借入金額を計算してみましょう。
下記の表は、年収400万円で計算した、返済比率25%と30%での返済シミュレーションです。こちらでも前章と同じように手取りでの計算も合わせて掲載しておきます。
【ローンシミュレーション条件】
金利:1.8%
借入年数:35年
住宅ローン以外の借入:なし
年収400万円
返済比率25% | 返済比率30% | |
年間返済額 | 1000,000円 | 1200,000円 |
毎月の返済額 | 83,000円 | 100,000円 |
借入金額 | 2,584万円 | 3,114万円 |
年収320万円
返済比率25% | 返済比率30% | |
年間返済額 | 800,000円 | 960,000円 |
毎月の返済額 | 67,000円 | 80,000円 |
借入金額 | 2,086万円 | 2,491万円 |
(SBIマネープラザの住宅ローンシミュレーションを利用し算出。毎月の返済額の一部は四捨五入した値)
シミュレーションの結果から、返済比率を基準にした借入金額の目安は2,086万円~3,114万円となりました。
SBIマネープラザのサイトでは、金利や返済期間、ボーナス返済の設定ができる住宅ローンシミュレーションを利用できます。毎月の返済額から借入金額の目安が算出できる機能があるため、ご自身に適切な返済額がわかります。
>>参考:住宅ローンシミュレーション
毎月返済額、借入年数、金利などで簡単にシミュレーションを使って計算が可能です。様々なパターンで自分にあった無理のない借入金額を導きだしてみるとよいでしょう。
住宅ローンを組む際は、長期にわたって無理なく返済をできることが大切です。無理なく返済するには、返済額と返済期間の把握、適切な金利タイプ、住宅ローン以外の借り入れなども考慮する必要があります。
ここでは、年収400万円の方にかかわらず、住宅ローンを組む際の注意点について詳しく解説します。
住宅ローンを契約する際は、返済期間と総返済額を理解しておくことが必要です。住宅ローンの資金計画を建てる際に、手取りから必要経費を差し引いた金額いっぱいまで借り入れするかたや、返済期間を長くして月々の返済額を極限まで抑えるかたが少なくありません。
住宅ローンに限らず、返済期間が長ければ長いほど、毎月の支払い額は少なくなりますが、利息が発生するために総支払い額が増えます。総支払い額を抑えて返済するのか、毎月の家計に負担がないように返済するのかを考えて、借入額と返済期間を決めることが重要です。
住宅ローンの金利には、固定金利タイプと変動金利タイプがあります。一般的に借入時点では、固定金利は他の金利タイプより高く、変動金利は低くなる傾向があります。
固定金利は毎月の返済額が借入時点で確定しているため、将来設計が立てやすいというメリットがあります。しかし、金利が高い傾向にあるため、返済額も多くなる可能性があります。返済計画を立てる際は、無理のない返済額に設定することが重要です。
一方、変動金利は、借入時に金利が低い傾向にあるため毎月の支払い額を抑えられますが、借入時に契約した金利が適用され続けるとは限りません。変動金利は名前のとおり金利が変動するため、金利が高くなるリスクがあり、金利が上がると返済額が多くなるため、返済比率を高めで住宅ローンを組んでいるときは特に返済が厳しくなります。リスクを把握したうえで、変動金利にするかどうか検討しましょう。
また、固定金利タイプにも種類があります。全期間固定金利となるだけでなく、一定期間のみ固定金利を設けている金融機関もあります。それぞれの金利タイプのメリットとデメリットを考えて選ぶことをおすすめします。
>>あわせて読みたい 住宅ローンの金利タイプ|固定金利型と変動金利型の違いとは?
住宅ローンで家計に負担のかからない返済を行うには、住宅ローン以外の借り入れも考慮する必要があります。
住宅ローン以外の借り入れには、マイカーローンや割賦払いなどがあります。さらに、車のローン以外で割賦払いがある場合、返済できる額であれば残額を一括返済することをおすすめします。
また、ローン返済以外に、固定資産税や修繕費、管理費、火災保険料などを支払う必要があります。そこで、住宅にかかる維持費も含めた返済計画を立てることも重要です。特に、住宅ローンの返済額を家賃と同額にするのはおすすめしません。住宅ローンの返済額に併せて維持費用の貯蓄も確保できるようにしましょう。
ここまで、年収400万円のかたの住宅ローン借入額目安について年収倍率や返済比率から算出してきました。
年収400万円の場合の借入金額の目安は、年収倍率を基準とすると1,824万円〜3,080万円、返済比率を基準とすると2,086万円~3,114万円となりました。合わせるとおおよそ1,800万円~3,100万円となります。これ以上の金額の物件を検討している場合は、頭金を入れる、または収入合算を検討して資金計画を作ることが大切です。
住宅ローンを組むうえで大切なことは、家計の負担にならない返済額にすること、適切な金利タイプを選ぶこと、住宅ローン以外の借り入れを考慮することです。
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