退職金の平均はいくら? 勤続年数で変わる退職金相場

退職後のセカンドライフを支える資金として、大きな役割を担う「退職金」。
退職金だけでセカンドライフの資金として十分なのか? または別途資金の準備が必要なのか?老後資金対策を考える上で押さえておきたいポイントの一つと言えます。今回は退職金の平均金額をはじめ、退職金に関する各種のデータを見ながら、退職金と老後資金対策について考えてみましょう。

1.退職金制度の導入率


中央労働委員会が企業を対象に行った調査(※)によると、今回調査の対象となった比較的大きな企業(資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上の企業)においては、退職金制度を導入している企業が約97.0%と、ほとんどの企業でなんらかの退職金制度が準備されているという結果でした。

退職年金制度の有無及び採用している年金の種類

退職年金制度の有無及び採用している年金の種類

(出所:中央労働員会「令和3年退職金、年金及び定年制事情調査」を基にSBIマネープラザが作成)

データによると「確定給付企業年金(企業が給付内容を約束し、企業が運用・給付を担う)」に加えて、「企業型確定拠出年金(企業が基本的に拠出するが、運用指示などは従業員が行う)」が導入される企業も増えており、退職金制度がある企業のうち、約72.0%の企業で導入されています。

(※)中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」
調査対象は資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上の企業226社(ただし介護事業所の場合は運営主体が社会福祉法人である施設かつ労働者100人以上)。調査の実施期間は令和3年8月2日から9月13日。

2.退職金の学歴別平均金額

退職金の平均金額は、学歴別に見ると以下の通りです。

勤続年数、学歴別の平均退職金額

勤続年数、学歴別の平均退職金額

(出所:中央労働員会「令和3年退職金、年金及び定年制事情調査」を基にSBIマネープラザが作成)

大学卒の場合、勤続35年の場合で約1,903万円、満勤勤続(学校を卒業後、直ちに(大学卒は22歳、高校卒は18歳)入社して同一企業で定年退職するまで勤務すること)の場合、約2,230万円が平均退職金額です。
高校卒の場合は、大学卒に比べると1割ほど金額が少なくなり、勤続35年で約1,746万円、満勤勤続の場合約2,018万円という結果でした。
よく老後資金に関する話題で「老後資金として必要なのは2,000万円」と言われまることがありますが、夫婦が老後を過ごすのに必要な資金として一般的な金額は退職金でカバーできる計算になります。ただしこの「2,000万円」には生活費のみが考慮され、介護費用などは含まれない計算になっていることが多いため、ご自身の場合は2,000万円で十分なのかは検討する必要がありそうです。

また、ここでご紹介している調査結果は「資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上」と比較的規模の大きい企業が対象で、これよりも規模が小さい、いわゆる中小企業の場合は金額が異なります。

東京都産業労働局が公表した「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」によると、大学卒の場合満勤勤続で1,119万円、高校卒の場合満勤勤続で1,031万円が平均退職金額です。先ほどのデータと比べると1,000万円程の差があり、企業の規模によっても金額が大きく変わります。

モデル退職金
モデル退職金

3.退職金受け取りに必要な勤続年数

退職金は、入社してすぐ退社した場合も確実に受け取れるとは限りません。会社によって必要な最低勤続期間を設定しているケースが一般的で、かつ退職理由によって定めている場合もあります。

退職一時金受給資格付与に要する所要年数

退職一時金受給資格付与に要する所要年数

例えば勤続年数が1年未満の場合、会社都合での退職ですと全体の約55.5%と、半数以上の企業で退職金を受け取ることができますが、自己都合の場合は全体の約7.5%と、ほとんどの企業で退職金を受け取ることができません。
一般的に勤続年数が長くなるほど、退職金の金額は大きくなりますが、退職時の賃金を参照するケースや、別途勤続年数や職能等級などから算出するケースなど、その算出方法は企業によって異なります。改めて退職金制度を確認しておくと安心です。

4.退職金制度を踏まえた老後資金対策

今回は、退職金に関するデータをご紹介しました。企業の規模や勤続年数などによって、数百万・数千万円単位で退職金の金額が異なることがお分かりいただけたかと思います。また働き方の多様化が進み、新卒で入社して定年まで同じ会社で働き続けるケースが以前ほどは多くないため、退職金に一般論を当てはめるのは難しくなりつつあります。
今一度ご自身のキャリアプランと合わせて、ご自身が退職する場合にはいくらくらい退職金が受け取れるのか? セカンドライフを迎えるまでにどれくらいの資金を準備できそうか? シミュレーションしてみるのをお勧めします。

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