ご自身にあった生命保険を選ぶための前提知識を、3つのポイントに分けて紹介するコンテンツ。保障内容や保険料など、具体的な商品を比較する前に、大切な3つのポイントを押さえるだけで自分に合う生命保険が選びやすくなります。
今回はその第2回として、「いつまで?いくら?を考える」についてお話しします。保障はいつまで続けば良いでしょうか?いくら準備できていれば安心でしょうか?「何のために備えるのか」という目的は同じであっても、必要とされる期間と金額は人それぞれ違うもの。
必要以上に大きい保険に加入してしまうことや、本当に必要な時に金額が足りなくなることを避けるためにも、その保険が「いつまで?いくら?」必要なのかを考えるヒントをお伝えします。
生命保険に加入する「目的」について確認できましたら、次に考えるのが「いつまで?(期間)」と「いくら?(金額)」です。前回お話しした、目的による生命保険の分類にそって見ていきましょう。
1)ご家族の生活費
家族構成と、配偶者の収入の状況、そして日常生活のスタイルが問われるでしょう。お子様がいる場合は、自立するまでの生活費は必要となるでしょうか。それはいつでしょうか。配偶者は、お仕事にこれまで以上に注力できるでしょうか。新たに始めることになるでしょうか。それとも家庭を守ることに専念する必要があるでしょうか。
また、皆様の普段の生活費が毎月いくらくらいか、家計簿などで確認できているでしょうか。そして、万一の際も、その水準は維持されるべきでしょうか。家計がより厳しくなるとの見方もあるでしょう、一方、ある程度の節制すべきとの考え方もあるでしょう。
遺族年金などの福祉制度についても確認しながら、皆様にとって必要な期間に、必要な金額を備えたいところです。ご家族にどのように生活を続けてもらいたいか、を意識できると良いでしょう。
こちらの記事では、死亡時の家族の生活費にフォーカスして必要な保障金額の考え方を解説していますので参考にしてみてください。
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生命保険でいくら備えるべき?死亡保障額を考えるための2つのポイント
2)ご家族の住宅費
現在のお住まいが持家か賃貸かで大きく変わるでしょう。長くご家族でお住まいの持家であれば、そもそも住宅費は必要ないかもしれません。住宅ローンの返済中であれば、万一の際には団体信用生命保険によって完済されることがあります。賃貸であれば、その後も家賃の支払いが継続すると考えられます。
ただ、ご実家に帰ることができる場合は住宅費が必要ないなど、ご家族による違いはやはりあるでしょう。ご家族にとって必要な住宅の大きさも変わっていく可能性がありますし、長い目線での人生設計を意識して検討したい備えです。
3)死亡の際にかかる葬儀費用・墓地費用といった一時金
誰しもいつかは必要となる費用と言えます。ただ、その時々で保険で準備すべきかについては検討すべき点となるでしょう。高齢になっても、ご家族の負担を抑えられるよう一生涯の保険に加入するという考え方もありますし、お子様が自立するまでは保険に加入し、その後は貯蓄で残すという方針などもあるでしょう。
また、葬儀や墓地の考え方そのものも多様化しています。ご家族皆様の納得のいく備えとするためには、意外と注意すべきことがあるかもしれません。
4)お子様の教育費
現在のお子様の人数と年齢、そして子育ての方針が問われるでしょう。お子様への想いの強さはご両親に差はなくとも、あるべき将来像、そのための子育て方針については、普段は気付かない違いがあるかもしれません。
教育費は、方針によって数千万円単位の差が生じ得るとされています。お子様の教育のための保障を考える際には、ぜひまずご両親で語り合われることをお勧めします。私立校に通わせたいか、公立校を想定しているのか、または留学させたいか、など、新たな気付きがあり、お二人の理解が強まるかもしれません。
5)乗用車購入等のまとまった資金
乗用車を必要とされるご家族は、そのためのまとまった出費がある程度定期的に予想されるでしょう。とは言え、保険で備えなくても、ローンを組むことで問題無いご家族もあるでしょうし、備えがあることで助かることもあるでしょう。
その他にも、ご自宅のリフォーム費用など、ご家族やご自身の考えによって、場合によっては保険で計画的に備えるべき一時金があるかもしれません。
6)ご家族の思い出のための資金(旅行など)
ご家族にとって大切な費用は、必ずしも衣食住に関係するものに限定されません。例えば、お子様が自立される前に家族全員で海外旅行に行きたい、それもあの国のあの場所へ、といった計画があるかもしれません。
そのための費用をインターネットなどで確認してみることは、ご家族の楽しい試みになるでしょう。そして、たとえご自身に万一があっても、この計画は必ずご家族でかなえてほしいと感じるかもしれません。その想いを含めて、保険で備えるということが、大切な意味を持つかもしれません。
1)入院・手術にかかる医療費
2)通院治療を受ける際の療養費
3)三大疾病などの重病にかかった際の一時金
4)先進医療による健康保険適用外の医療費
医療の世界は日々進化し、多様化しています。かつては重たい病気にかかれば、手術を受け、長く入院するということが当然と思われていたころもありました。
ですが現代では、例えばガンにかかったとしても、手術以外の様々な治療法も選択できる場合がありますし、入院期間は総じて短くなっています。これは高齢化に伴って、病院のベッドが不足し始めていることなどにもよりますが、やはり大きいのは医療技術の発展です。
ただ、これによって、医療保険の選び方は難しくなったと言えるでしょう。入院日数と手術給付金のみで充分と言えるのか、通院時も保障されるべきか、重い病気の保障は厚くすべきか、所得や貯蓄で賄えるか、検討しておくことは有効でしょう。
また、入院は短くなったとしても、三大疾病のような重い病気にかかった場合は、仕事ができなくなる、生活に支障が生じるといった、さらなる負担が発生する恐れがあります。これについて、一時金を受け取ることができる保険とするか、やはり貯蓄などによってカバーするか、ご家族によって考え方に違いが生じるポイントでしょう。
さらに、医学の発展は先進医療の数々を生み出しています。そして今後も増えていくことでしょう。先進医療は公的医療保険適用外ですので、実費の負担が必要です。治療法によっては数百万円単位を要することがあります。これを保険で備えられると、不安なく先進医療を選択でき、治療の幅が広がるでしょう。先進医療について、詳しくは厚生労働省のHPをご覧下さい。
5)重病や大きなケガで働けなくなった際の生活費
先程、三大疾病の項目でもお話ししましたが、重病や大きなケガによって、その後に影響が残ることは深刻な問題と言えるでしょう。長期にわたって、働けない、または生活に支障が生じる場合、費用面での負担もこれに伴って長期にわたり大きくなります。可能性が高いとは言えないかもしれません。ただ、職業や趣味、遺伝などを考慮され、保険で備える選択肢はあるでしょう。
6)老後に介護が必要となった際の費用
人生百年時代と言われることがありますが、長生きとともに介護が必要となるリスクは高まると言わざるをえないでしょう。また、少子高齢化が進む中で、現在の介護保険制度が維持できるかは難しいとも言われています。
老後まで十分な貯蓄を行い、年金制度も活用し、介護にも対応するという考え方がまずあります。ただ、想定外の状況も考慮し、ご自身、ご家族、そして次の世代、その次の世代の負担を抑えるため、介護のための保険で備えることも選択肢になるでしょう。
ただ、介護にかかる費用は、現在のデータは豊富にありますが、将来どうなるかが分かりにくいということが問題になります。少子高齢化の影響を受けやすい分野ですので、上記のように現在の介護保険制度が維持できるか難しいとされていることがまず挙げられます。一方で、医療やリハビリテーション技術の革新により、大幅に負担が抑えられる時代が来るかもしれません。家電のAI化なども貢献する可能性があると言われています。
1)お子様の教育資金
2)特定の時期に必要と考える一時金
3)ご自身の退職金
4)老後のための年金
これらは、①や②で万一の際や不測の事態の際についての検討を進めておれば、元気で楽しく長生きされる際に必要な資金として自然とイメージされるのではないでしょうか。
理想的な人生を送るためには、相応の費用が生じます。そのために働き、貯蓄をしていくことでしょう。しかしながら、万一の際の備えは万全でも、元気であるのに大切な目標をかなえられないということがあっては、ある意味で本末転倒と言えます。これを防ぐためにも、保険での貯蓄を行うことが計画的に目標を達成していくことの助けとなることがあります。
また、老後資金については、退職金制度や企業年金制度を持たない企業が増え、ご自身での備えがより重要となっていくと言われています。長期的な資金作りにおいては、保険の強みがより発揮される面がありますので、一度ご検討する価値があるでしょう。
以上となります。具体的な金額をお考えの際は、そのための個別のコンテンツもご用意していきますので、ぜひご参考としていただけますと幸いです。
ただ、「何のために備えるのか」という目的は同じであっても、必要とされる期間と金額はご自身、ご家族、そして社会や制度によって変わることは確かです。将来は確かにわかりません。ただ、自信の持てる道筋を見つけるためには、まず今のご自身、ご家族の想いをしっかりと確認し、現在の制度をよく学ばれることが、きっと重要なカギとなるでしょう。
次回は「保険の3つの基本の形を知る」と題し、生命保険の仕組みをご紹介します。難しいと言われがちな保険の仕組みを、簡単にわかりやすくご説明し、これまでのコンテンツでご検討いただいた目的、期間、金額と上手に組み合わせられるようお手伝いしたいと思います。