生命保険選びの3つの前提知識 第1回「目的を整理しよう」

万が一の死亡や病気、介護など、さまざまなリスクをカバーする生命保険。保険の新規加入や見直し際、実際に商品を目にすると「どういった時に給付が受けられるか?」や「毎月の支払いはどの程度なのか?」などさまざまな比較ポイントがあり、頭を悩ませてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は保障内容や保険料などを比較する前に、大切な3つのポイントを押さえるだけで自分に合う生命保険が選びやすくなります。今回から、どんな種類の生命保険を選ぶ際にも役に立つ「保険選びの前提知識」を3回に分けてご紹介します。

前提知識1)生命保険に加入する「目的」を整理する


生命保険を検討する際に最初に考えたいのが、「何に備えたいか」という生命保険に加入する「目的」です。これだけ聞くと当たり前のように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、それが曖昧なまま具体的な商品の検討に入る方も少なくありません。何に備えることを「目的」とするか、まずは考えましょう。

そもそもご自身やご家族がなぜ生命保険に加入するのか、何に備えたいのか?をクリアにするのが最初の一歩です。特にさまざまな特約(オプション)が付加できる保険商品の場合、どこまで特約を付加するべきか?悩む方は少なくないでしょう。もちろん保障の幅が広い商品は魅力的ですが、その分支払う保険料がかかるのも事実です。目的をはっきりさせておくと、「この保険でカバーしたい範囲はここまで」とご自身で判断できるようになり、商品選びがしやすくなります。

それでは、本編に入ります。

生命保険をその目的から以下の3種類に分類してみます。

① 万一の際に家族を守る保険

② 医療・介護を必要とする際に備える保険

③ 理想的な生活を送るための保険

これらを一つずつ細かく見ていきましょう。

① 万一の際に家族を守る保険 

ご自身に万一があった際、どのような資金が保障されると良いでしょうか。

1)ご家族の生活費
2)ご家族の住宅費
3)死亡の際にかかる葬儀費用・墓地費用といった一時金
4)お子様の教育費
5)乗用車購入等のまとまった資金
6)ご家族の思い出のための資金(旅行など)

ご家族の今後の生活を思い描くと、どの資金が特に重要になるか、その優先順位が見えてくると思います。それはご家族それぞれの現在の生活、特にお仕事や貯蓄の状況と、将来への思いなどによって大いに異なるものです。この中には、ご自身に万一が生じた際は不要となる資金 があるかもしれません。一方で、自分たち家族にとって大切な何かのために、これは必要なんだという特別な資金があるかもしれません。

② 医療・介護を必要とする際に備える保険

ご自身やご家族の病気やケガ、そして老後を考える際、以下のような資金を保険で備えることが役立つかもしれません。

1)入院・手術にかかる医療費
2)通院治療を受ける際の療養費
3)三大疾病などの重病にかかった際の一時金
4)先進医療による健康保険適用外の医療費
5)重病や大きなケガで働けなくなった際の生活費
6)老後に介護が必要となった際の費用

病気やケガの際も、一日も早く元気になってまた日常生活に復帰されることが望まれるでしょう。ただ、その際に係る医療費、それまでに必要なご家族の生活費などを何らかの形で用意する必要があるでしょう。

貯蓄や配偶者の収入で賄うという考え方ももちろんありますが、保険で備えることも選択肢となります。また、三大疾病などの重病の際や、保険適用外の先進医療を受ける際は、まとまった資金が備えられていることが大きな助けとなるかもしれません。

また、残念ながら回復が困難な重症を負った際でも、ご自身とご家族の生活を守ることは必要であり、その備えとしての保険もあります。①万一の際に家族を守る保険、と同様に、このような事態となっても、ご家族の生活に役立てられるでしょう。

そして老後です。長生きは素晴らしいことですが、身体の衰えなどにより介護が必要となることは誰にしもあるでしょう。年金制度だけでは老後資金が不足する可能性があるともいわれる中、貯蓄に加えて保険も加入することで、配偶者や次の世代の負担を減らすという考え方もあります。

もちろん、将来の社会環境はわかりませんので、必ずしも今備えた保険がそのまま役立つとは限りません。そのため、やはり優先順位を意識して無駄なく備えることが大切となると考えられます。

③ 理想的な生活を送るための保険

保険は、必ずしも良くないことが起こった時のためにのみあるものではありません。保障をかけながら、以下のような資金作りを目的とした貯蓄を行うことにも役立てられます。

1)お子様の教育資金
2)特定の時期に必要と考える一時金
3)ご自身の退職金
4)老後のための年金

お子様の教育資金作りとしては、「学資保険」がよく知られているでしょう。お子様が進学される時期に合わせて計画的に貯蓄ができ、万一の際もその学資は保障される仕組みとなっている保険商品が一般的です。

それ以外にも、いわゆる「満期」を迎えると当初設定された給付金を受け取ることのできる保険を活用することで、ライフイベントに合わせた貯蓄を、保険による保障もかけながら行うことが可能です。退職金作りや、老後の年金作りでの保険の活用は、その中でも比較的一般的と言えるでしょう。

このように考えていくことで、ご自身とご家族の人生をまずいかにして豊かにするかのイメージが描かれていくことでしょう。これまでに挙げた例以外にも、ご家族ならではの「この資金が大切だ」というものが見つかるかもしれません。そのような皆様の人生にとって大切なことを、たとえ万一があったとしても実現していくために、適切で無駄のない保険を選びたいものです。

ここまでが、「保険選びの前提知識」の一つ目である「生命保険に加入する「目的」を整理する」の説明となります。 この機会に、ご家族で将来について語り合う機会を持たれてはいかがでしょうか。

次回は、「保険選びの前提知識」の2つ目である、「いつまで?いくら?を考える」についてお話しします。

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