子育て世帯は押さえておきたい! 国や地方自治体からの支援制度

子供の教育費、住宅購入費、老後の生活費は「人生の3大資金」と呼ばれるほど、まとまった費用がかかると言われています。その一角を担う子供の教育費、中でも特に高校や大学などの入学金や授業料は、一度にまとまった金額がかかるケースがあるため、お子さまが小さいうちからコツコツ貯蓄を継続しているといったご家庭も多いのではないでしょうか。

そんな子育て世帯に必ず押さえていただきたいのが「国からの子育て支援制度」です。例えば児童手当や子ども医療費助成制度、幼児教育・保育の無償化など、子を持つ世帯に対して国や地方自治体が金銭的に支援する仕組みがあります。今回はこれらにスポットを当てて、制度の仕組みを解説します。

1.子育て世帯に支給される「児童手当」の仕組み


児童手当とは、地方自治体から支給される子育てを支援するための手当てのことです。

児童手当は国の制度ですので、金額は全国一律です。ただし、申請はお住まいの市区町村(公務員の方は勤務先)に行います。

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<給付対象>

原則として日本国内に住所があり、中学校3年生 (15歳に達する日以後の最初の3月31日)までの児童を養育している父母等

<手当額> 

※子供一人あたりの月額/所得限度額内の場合

出典:東京都港区公式Webサイト 「児童手当 支給について」令和3年1月3日時点

<所得限度額表>

以下の所得額を超えると、手当額は一律5,000円になります。

<支給時期>

10月(6~9月分)・2月(10~1月分)・6月(2~5月分)の年3回

<注意点>

・毎年6月に「現況届」の提出が必要です。現況届は、受給者・配偶者の所得状況や子どもの養育状況などを確認し、その年の6月分以降の手当の受給要件を確認するためのものです。

・公務員の方は勤務先から支給されるため、市区町村ではなく勤務先へ申請してください。

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児童手当は、上記のようにお子さまの人数や年齢により手当額が異なります。 例えば、お子さまが一人の場合は、0〜2歳までが15,000円(3年間、合計54万円)、それ以降は中学3年生まで10,000円(12年間、合計144万円)で、その合計は198万円です。

つまり、所得制限などの条件はありますが、お子さま一人当たり約200万円が国から児童手当として支給されることになります。これくらいの金額があれば、例えば公立の高等学校(全日制)の3年分の学費(約150万円、学校教育費+学校外活動費)を賄うことができます。

また、受け取った児童手当はすぐに使うのではなく、学資保険や積立定期預金、つみたてNISAなど、長期で積み立てる仕組みをうまく活用して貯めていくと良いでしょう。

なお、児童手当を受け取るには、出生または自治体に転入した日の翌日から15日以内に申請が必要で、申請が遅れてしまった場合でも、遡って児童手当を受け取ることはできませんので注意が必要です。詳しくは各自治体のHPをご確認ください。

2.子供の医療費は支援される!? 「子ども医療費助成制度」


公的健康保険に加入していれば、医療費の自己負担は原則3割です。子どもの医療費に関しては、助成制度を設けている地方自治体があります。制度内容は各自治体によって異なりますが、例えば東京都港区の場合、以下のように子供が中学校3年生(15歳に達した日以後の最初の3月31日)までは、通院・入院医療費(入院時の食事療養費を含む)を区が助成します。

※出典 東京都港区公式Webサイト「子供医療費助成 子供医療費助成とは?」

<給付対象>

保護者と子どもが港区に住民登録があり、日本の公的な健康保険に加入していること。

<手続き方法>

医療費の助成を受けるには、乳幼児・子供医療証の交付申請手続きを行います。

  • 乳幼児医療証(マル乳医療証)・・・小学校就学前までの子ども
  • 子ども医療証(マル子医療証)・・・小中学生

医療機関の窓口では、この医療証と健康保険証を提示することで、自己負担分を支払わずに診療・調剤を受けることができます。ただし、医療証を取り扱っていない医療機関で診察を受けた場合や窓口精算の対象ではないもの(入院時の食事代など)が含まれる場合は、一旦健康保険証を提示して自己負担分(3割)を窓口で支払ったあと、別途給付申請を行います。申請の有効期限は、受診日から6ヶ月以内です。詳しくは各自治体のHPをご確認ください。

3.令和元年10月からスタート!「幼児教育・保育の無償化」


幼児教育・保育の無償化は令和元年10月からスタートした制度で、3~5歳児クラスの幼稚園、保育所、認定こども園等の利用料が無償になります 。これは国立・公立・私立の区別を問いません。

幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する場合、原則、満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までの3年間は、利用料が無料になります。ただし、子ども・子育て支援新制度の対象とならない幼稚園は、上限が月額2.57万円までとなります。通園送迎費、食材料費、行事費等は保護者の自己負担です。

また、保育所の預かり保育を利用する場合には、最大月額1.13万円までが無償、認可外保育施設等を利用する場合には月額3.7万円までが無償となります(3~5歳児クラスの場合)。

なお0〜2歳児クラスに関しては住民税非課税世帯が無償化の対象となります(保育所等を利用する最年長の子供を第1子とカウントし、第2子は半額、第3子以降は無料。ただし、年収360万円未満相当世帯は、第1子の年齢は不問)。

以上、国や地方自治体の子育て支援制度について、代表的なものをご紹介しました。お住まいの地域によって違いがありますので、お子さまの将来のために金銭的にどこまでサポートするかなどは、ご家庭それぞれでお考えがあると思います。ですが、国や地方自治体から受けられるサポートはしっかり受けることが望ましいでしょう。この機会に制度について改めてご理解を深めていただけたら幸いです。

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