老後の住まいの決め方は? 賃貸と持ち家、一戸建てとマンションを比較

人生100年時代と言われるようになりました。退職、リタイアした後の生活は、現役時代より長くなることも考えられます。それだけに老後の住まい選びは慎重にしなければなりません。賃貸住宅か持ち家か、一戸建てかマンションか、選択肢が多数ある中でご自身に合った住まいを探すためのポイントについて解説します。

1.老後の住まいは賃貸と持ち家どちらが良い?


老後の住まいを選ぶとき、賃貸住宅にするか持ち家にするか悩むところです。この章では両方を比較して、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

1-1賃貸住宅のメリットとデメリット

賃貸住宅を住まいとする場合のメリットとデメリットには、つぎのような点があります。

メリット ①自分のライフスタイルに応じて比較的簡単に住み替えができる
② 固定資産税などの保有コストが不要
③ 分譲住宅と比較して賃貸物件の数が多いので探しやすい
④ 建物のメンテナンス費用や設備の修理費がかからない
デメリット ① 自由にリフォームや改装ができない(退去時に原状に回復する必要がある)
② 住んでいる間、賃料を払い続けなければならない
③ 敷金・礼金・仲介手数料・更新手数料などのコストがかかることがある
④ 比較的面積が狭い物件が多い
⑤ 分譲住宅と同程度の品質・性能の物件が少ない
⑥ 間取りのバリエーションが少ない

将来介護施設に入ることを予定しているかた、実家に帰って暮らす予定のかた、お子様が独立して自宅を持つと見込まれるかたなど、家族構成の変化で住み替えが予想されるかたには、引越ししやすい賃貸住宅が向いていると言えるでしょう。

1-2.老後の住まいとしての賃貸住宅

賃貸住宅を老後の住まいにするためには、上記のデメリットの他に高齢者の入居が制限される傾向がある点に注意が必要です。

法律では、高齢者であることを理由として入居を断ることは認められていませんが、現実には入居が難しいと言われています。また入居できたとしても、契約更新時に高齢者になっていたために更新できなかったという事例も見られます。

この問題を解消するために、民間業者やUR都市機構などが運営し都道府県が認定する賃貸住宅で、高齢者の入居を断らない「高齢者向け優良賃貸住宅」という制度がありますが、物件数はそれほど多くはありません。

1-3.持ち家のメリット・デメリット

分譲マンションを含めた持ち家のメリット・デメリットには、つぎのような点があります。

メリット ① 自分でリフォーム・改装ができる
② 住宅ローンの返済がなければ家賃などの住居コストがかからない
③ 売却や、物件を担保として融資を受けることができれば現金化できる
④ 賃貸住宅と比較して品質・性能が高い
⑤ 賃貸住宅と比較して広い間取りとなりやすい
デメリット ① 簡単に買い替えすることができない
② 固定資産税などの保有コストがかかる(マンションの場合は管理費・修繕積立金・駐車場代なども必要)
③ 建物のメンテナンス費や設備の修繕費がかかる
④ 相続対策(住宅の継承者)を考えておく必要がある

できれば一生涯決まった自宅で暮らしたいとお考えのかた、お一人が施設などに入所しても、残りのご家族が自宅に残るかた、お子様が将来も同居する可能性が高いかたなどは、持ち家に向いていると考えられます。

またバリアフリー仕様の住宅へのリフォームをお考えのかたは、ご自身の判断でできるので持ち家が向いているでしょう。

1-4.コストで考える賃貸か持ち家か

ここまで賃貸住宅と持ち家の一般的なメリット・デメリットを説明しましたが、定年後は一般に年金収入以外の収入がなくなるので、どちらを選択するにしても住宅にかかるコストをまかなうだけの資金が準備できるかどうかを確認しておく必要があります。

>>併せて読みたい 

持ち家と賃貸のメリット・デメリット|共働き夫婦のコストを比較

2.老後の住まいは一戸建てとマンションどちらが良い?


老後の住まいを一戸建てにするかマンションにするかも迷うところです。それぞれのメリット・デメリットをご紹介しますので参考にしてください。

2-1一戸建て住宅のメリット・デメリット

一戸建て住宅に住む場合のメリット・デメリットには、つぎのような点があげられます。

メリット ① 庭づくりを楽しむことができる
② 駐車場代が不要
③ 住宅の独立性が高い(プライバシーが確保される)
④ 室内の上下左右の音を気にしなくて済む
⑤ 管理規約がないので比較的自由に使うことができる
⑥ 土地が資産として残る
デメリット ① 出かけるときの戸締りに手間がかかる
② 庭を含めたメンテナンスに手間がかかり、まとまった費用が一時的に必要になる
③ マンションと比較して防犯性能が劣る
④ マンションにあるような共用施設がない
⑤ マンションの高層階のような眺望がない

お子様が同居する可能性が高いかた、地域のつながりが強いかた、複数階となってもバリアフリー仕様をそれほど気にされないかたなどは、一戸建てに向いていると考えられます。

2-2.  マンションのメリット・デメリット

マンションに住む場合のメリット・デメリットには、次のような点があります。

メリット ① 戸締りが簡単、オートロックなどで一戸建てと比較して防犯性能に優れる
② 専有部分以外は自分でメンテンンスする必要がない
③ 共用施設を利用できる場合がある
④ 室内は段差が少なくバリアフリーに近い
⑤ 管理規約があり、秩序が保たれやすい
デメリット ① 分譲マンションの場合、管理組合に参加する義務がある
② 上下左右の音が気になりやすい
③ 自家用車を持つ場合、駐車場代が必要
④ 高階層でエレベーターが無い場合、上り下りの負担が大きい
⑤ 土地を財産とすることができない

一個建てと比較して、室内が比較的バリアフリー仕様に近いマンションは、老後の住まいに向いていると考えられます。また、防犯性能が一戸建てより優れている点も、老後の生活に向いているといえるでしょう。

3.老後の住まいを決めるポイント


老後の住まいを決めるポイントはいくつか考えられますが、この章では「費用面」と「立地や間取り・設備」の2つのポイントをご紹介します。

3-1費用から考える老後の住まい

老後の住まいを決める一番のポイントは、ご自身をはじめ一緒に生活されるご家族のライフスタイルに合っているかどうかでしょう。

ただ、全てを理想的にすることは難しく、1-4でも取り上げたとおり、老後の暮らしを楽しむためには、住まいの費用面の不安も解消しておくことが必要です。

先ほどの費用の比較表では考慮しませんでしたが、介護が必要になって施設に移り住むこともあるでしょうし、おひとりで暮らすために転居することもあります。どのような状態になったとしても安心して暮らすことができるように、十分な備えをしておくことが必要です。

また、住宅ローンの返済が残っているケースでは完済に必要な資金を別に用意しておかなければなりません。

以上のことを考慮したうえで老後の住まいを選択する必要があります。

このような老後資金に関することは、FP(ファイナンシャルプランナー)が将来の家計状況をシミュレーションしてくれるので一度相談されてはいかがでしょう。

3-2 立地や間取り・設備の条件

老後の住まいは、ご自身の日常生活を安心安全に過ごすことができるかという視点で探すことも大切です。

① 立地

買い物や病院・娯楽施設などが利用し易い立地かどうか。丘陵地で坂道が多い場合や、公共交通機関の最寄り駅まで遠い場合などは毎日の生活に影響します。

また前面道路から室内に至るまでに段差がないかも確認しましょう。

② 間取り・設備

住宅内での高齢者の転倒事故が大変多いと言われています。最近は段差をなくしたバリアフリー住宅も増えていますが、それほど多くはないようです。

また、ご自身でリフォームをしてバリアフリー化する場合は、希望の工事ができるかどうか、費用はどれほどかかるかを確認する必要があります。

室内の温度差がもたらすヒートショックによる死亡事故も多いようです。断熱性能や空調設備にも配慮されることをおすすめします。

間取りの面では、トイレが寝室に近いことや、車いすの生活が必要になった場合は廊下の幅を確保する必要がありますし、トイレや浴室内で回転ができるかなど注意する必要があります。

③ コミュニティー

老後の生活を楽しむためには、家族の他に近隣住民や友人などと接触できる環境が必要になります。コミュニティーがある地域かどうか。迎えてくれるコミュニティーかどうかなども重要なポイントになります。

4.まとめ


賃貸住宅と持ち家、一戸建てとマンション、双方にメリット・デメリットがあるため、一概に「こちらが良い」と言い切ることはできません。

理想のライフスタイルや老後の暮らし方、コスト等によって、どちらに向いているかは異なります。

何を重視するかを明確にして、ご自身やご家族が満足できるかという点がなにより大切ではないでしょうか。

タイトル

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  • 吉田 貴彦

    ㈱住宅相談センター 代表取締役

    立教大学法学部法学科卒。アメリカの不動産業界では一般的である、FPやモーゲージブローカー(住宅ローンコンサルタント)、ホームインスペクター(住宅診断士)などが用いる手法を15年以上前から取り入れて、お客さま側に立った住宅・不動産アドバイスを行っている。
    【保有資格】CFP®/宅地建物取引士/神社検定1級


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