学資保険とは?基本からわかる仕組みと必要性

学資保険は、お子さまの将来の教育資金を計画的に準備するための保険です。満期時に受け取る給付金だけでなく、契約者に万が一のことがあった場合でも残りの保険料の払込が免除されるなど、保障面でもメリットがあります。この記事では、学資保険の基本的な仕組みや必要性について解説し、加入を検討する際のポイントを解説します。

1.学資保険で準備する教育資金の目安


子どもの教育資金は、進学段階によって大きく変わります。学資保険を活用する場合、どのくらいの金額を目安に準備すればよいのでしょうか。

学資保険を利用すれば、計画的な積み立てと保険による保障を両立しながら、これらのステージ別に求められる資金を準備することが可能です。

●幼稚園から大学までにかかる費用

公立幼稚園や公立学校を選択する場合でも、制服代や給食代、習い事などで一定の費用が必要です。私立になると学費が大きく上昇し、幼稚園から大学まで一貫して私立へ進学するケースでは、トータルで数百万円以上の差が生まれることもあります。こうした大きな支出を見越して、早めに学資保険などで資金を準備しておくと、急な出費にも落ち着いて対処できます。

2.学資保険の仕組みと特徴


学資保険は主に子どもの学費を確保するための保険ですが、さまざまな特徴があります。契約内容をよく理解したうえで加入しましょう。

●契約者に万が一のときの保障

契約者である親が死亡または高度障害状態となった場合、保険会社によっては残りの保険料の払込が免除され、将来受け取れる給付金は予定通り支払われるという特約が一般的です。これにより、万が一のときでも家計に負担をかけずに、一定額の教育資金を確保することができるといったメリットがあります。万が一に備える安心感が得られる点は、学資保険ならではの大きな特徴と言えるでしょう。

●払い込み期間と満期の受取タイミング

学資保険では、保険料を払い込む期間と給付金を受け取るタイミングを設定できます。子どもの入学や進学の時期に合わせ、一部を祝い金として受け取るか、それとも満期時にまとめて受け取るかなど、柔軟にカスタマイズが可能です。家庭の家計状況や子どもの進路に合わせて、ベストな受取方法を検討することが大切です。

●返戻率の基本と仕組み

返戻率とは、保険料の総支払い額に対して受け取れる給付金や満期保険金の総額がどれほどかを示すものです。返戻率が高いほど、支払った保険料に対して多くの給付が受け取れる可能性があるため、学資保険を比較する際には重要な指標となります。ただし、返戻率だけに囚われず、特約や保険会社の信頼度など総合的に判断することが大切です。

3.学資保険のメリットとデメリット


学資保険には魅力的な面もあれば、注意すべきデメリットも存在します。両面を把握してから判断することが大切です。

●メリット:計画的に教育資金を積み立てられる

学資保険のメリットのひとつに、保険という仕組みによって教育資金の積み立てを続けられる点です。自分で貯蓄をするよりも管理が簡単で、保険料を定期的に支払うだけで指定の時期に「祝い金」や「満期保険金」を受け取れます。さらに、契約者に万が一のことがあった場合でも、家計に負担をかけずに一定額の教育資金を確保できる安心感も大きな魅力のひとつです。

●デメリット:途中解約リスクやインフレへの弱さ

学資保険は保険料の払込み期間中に解約すると、受け取れる返戻金がそれまでに支払った保険料総額を下回るケースが多いです。例えば学資保険の払込み期間中に急な資金需要が起こり、学資保険の解約を余儀なくされると、元本割れのリスクを負うことになります。また、保険による積立はインフレに対応しきれない可能性があるため、資金の実質価値が目減りする点も考慮しておくことも大切です。

4.学資保険が必要な人・不要な人


学資保険に入ったほうがいいかどうかは家庭によって異なります。

家族の経済状況や教育に対する考え方、また投資や別の貯蓄手段の有無によって、学資保険が良い選択となるかどうかは変わってきます。自分たちに合った方法で教育資金を準備するために、学資保険以外の選択肢も含めて見比べることが大切です。

●学資保険が必要な人

自分で貯蓄を続けるのが難しいと感じる人や、保険の保障機能を重視する人にとっては、学資保険が強い味方になり得ます。保険料を定期的に支払えば、計画的に資金が積み立てられ、契約者に万が一のことがあっても保険料の払込みが免除となるので、子どもの未来を守りやすくなります。強制的に貯蓄を継続できる点は、貯蓄習慣がまだ定着していない家庭にも大きなメリットです。

●学資保険が不要な人

すでに投資信託や預貯金で十分な教育資金を確保している人や、別の生命保険で万が一の保障を備えている人の場合、学資保険を契約する必要は薄いかもしれません。より高い運用利回りを狙う投資手段があるなら、インフレリスクに備えながら資金を増やす可能性も広がります。保険を増やすよりも、自分で資産運用する方が効率的に資産を増やせるかたには、学資保険は不要といえるでしょう。

5.返戻率を上げるための工夫


学資保険を使って、教育資金をできるだけ有利に確保するためには、返戻率を高めることが大切です。具体的にどのような工夫ができるでしょうか。

保険料の払込期間や給付金の受取タイミングによっても最終的な受取額が変わります。特約を付加する場合は、その分だけ保険料が高くなる傾向があるため、実質的な返戻率も総合的に検討しましょう。

●早期払い込みと受取回数の設定

保険料の支払いを早期に完了させると、途中で支払いを継続するよりも返戻率が高くなる商品が多く、また、給付金を細かく分けて受け取るより、まとめて受け取る方が保険会社によっては返戻率が高い場合があります。そのため「祝い金」は受け取らず、満期保険金をお子様の大学進学時にまとめて受け取るように設定することで、学資保険の返戻率を高められる場合があります。

●保険料の支払い方法と特約の見直し

学資保険の保険料を月払いではなく年払いにすると、保険料の割引が適用されて返戻率が向上する場合があります。さらに、特約を多く付帯すると保障は手厚くなりますが、その分返戻率が下がる可能性があります。必要な特約を精査し、無理のない範囲で保障と返戻率を両立させることが大切です。

6.学資保険と税制のポイント


学資保険を契約することで、所得税や住民税の軽減につながる場合があります。

税制面でのメリットを十分に活用することで、家計全体の負担を減らすことも可能です。

●生命保険料控除を受けるための注意点

学資保険が生命保険料控除の対象となるかどうかは、契約内容によって異なります。契約者や被保険者の設定をプラン通りに行っておかないと、控除が適用されない場合があるため注意が必要です。申告時には、保険会社が発行する控除証明書をきちんと提出し、不備のないように手続きを行いましょう。

●児童手当を学資保険に活用する方法

児童手当は子どものために支給される公的な給付金ですが、これを学資保険の保険料にあてる方法もあります。こうすることで、家計に大きな負担をかけずに保険料を賄うことができ、効率的に教育資金を確保することが期待できます。家計全体の収支バランスを考慮し、無理のない範囲で活用しましょう。

7.学資保険を選ぶ際のチェックポイント


学資保険へ加入を検討する際には、いくつか比較・検討すべき基準があります。

学資保険は商品ごとに特徴や返戻率、保険料の払込期間が異なるため、商品ごとの違いを理解して、契約前にじっくり検討を進めることが大切です。子どもの年齢や将来の進路、家庭の収入状況や貯蓄ペースなど以下のポイントを踏まえて選びましょう。

●払込期間や満期時期の設定

学資保険では、払込期間を短く設定すると月々の負担が大きくなりますが、総支払額が抑えられて返戻率が高くなる場合があります。一方、払い込みを長期にわたって行う場合は、月々の負担は少なくなるものの、返戻率が下がるケースもあります。子どもの進路や家計のバランスを考えながら、最適な払込期間や満期時期を設定しましょう。

●保険会社の信頼度・サポート体制

長期契約となる学資保険では、保険会社が安定した経営状況であるかどうかも安心材料として重要です。万が一の際に迅速かつ丁寧なサポートが受けられるかどうか、保険会社の評判も含めてよく確認しておくとよいでしょう。長期にわたる契約だからこそ、安心して継続できるパートナーであることが大切です。

8.まとめ


これまで学資保険の概要やメリット・デメリット、選び方のポイントについて解説しました。

学資保険はお子さまの教育資金を計画的に準備するとともに、契約者の万が一に備える保障機能がある便利な保険商品です。しかし、途中解約リスクやインフレ耐性といった課題も存在するため、自身の家庭の状況や資産形成の方針に照らし合わせて検討する必要があります。ほかの資産運用方法や保険商品とも比較し、返戻率や保険会社の信頼性などを総合的に見極めることで、より安心かつ効果的な教育資金対策が得られるでしょう。

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