子供二人を育てている世帯の平均年収は? 費用の目安と資金の作り方

子供の教育資金は、人生の3大資金の1つとされています。老後資金、住宅取得資金と並び大きなお金が必要ですが、具体的な金額がわからず、漠然とした不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

教育費は子供の人数やどのような進路を選ぶかで大きく変わってきます。それらの目安を知ることは、ライフプランを立てる際にとても有効です。マイホーム取得の考え方、共働きや収入に対する方針、生活費や貯蓄などのルールや考え方を決めていく上でも関わってくる重要事項だからです。

今回は、子供二人を育てるためにかかる費用や、子供のいる世帯の平均年収と理想的な資金作りの方法を社会保険労務士の川部紀子さんにご説明いただきます。

1.子育て家庭の平均的な年収や貯蓄額はいくら?


まずは、子育て家庭の年収や貯蓄額、ここ数年の傾向を紹介します。なお、ご紹介するデータの「所得」とは手取り年収ではなく税金や社会保険料を含む金額「額面年収」を指します。

1-1.子育て家庭の世帯年収は増えている

調査によると、「「児童のいる世帯」の平均所得金額は約 745 万円(※1)です。同じ大規模調査が行われた6年前には約673万円(※2)ですので、子育て家庭の世帯年収は約72万円増加していることがわかります。

年収が増えている理由の1つとして共働き世帯の増加が考えられます。2013年には専業主婦世帯の約1.43倍だった共働き世帯が、6年後の2019年には約2.14倍(※3)となりました。

1-2.子育て家庭の貯蓄額も増加

「児童のいる世帯」の平均貯蓄額は 約723 万円(※1)です。同じ大規模調査が行われた6年前には約706万円(※2)ですので、子育て家庭の世帯年収は約17万円増加していることがわかります。

一方、同じ期間で貯蓄がないと回答した「児童のいる世帯」は15.3%から11.6%に減っています。

1-3.約6割の子育て家庭が「苦しい」と回答

収入も貯蓄も増加傾向にあるものの、生活意識をみると、「苦しい」と回答した「児童のいる世帯」の割合は 60.4%となっており、うち、25.5%は「大変苦しい」と回答しています。(※1)過半数が苦しいと回答していることから、子育て世帯の負担が小さくないことが感じられます。

※1 出典:厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」

※2 出典:厚生労働省「2013年国民生活基礎調査」

※3 出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構 「専業主婦世帯と共働き世帯 1980年~2020年」より筆者試算

2.子供二人を育てるためにかかる費用


高校卒業後の大学などへの進学率は83.5%で過去最高となりました。子を大学まで進学させる場合にかかる教育費のデータを確認していきましょう。

【公立・私立別教育資金の総額】

国公立費用

私立費用

幼稚園3年間

約67万円 約158万円
小学校6年間

約193万円 約959万円
中学校3年間 約147万円 約291万円
高校3年間 約137万円 約291万円
大学4年間 約242万円 約389万円
合計 約786万円 約2,220万円

出典:文部科学省 平成30年度子供の学習費調査 

出典:日本政策金融公庫 令和2年度「教育費負担の実態調査結果」より試算

2-1.幼稚園から大学(4年間)までの費用

費用がもっとも小さくなるすべて国公立の場合と、最も大きくなる全て私立の場合の合計は以下になりました。

公立・国立:786万円 私立:2,220万円

さまざまな組み合わせが考えられますし、6年制の大学・学部もありますので確認が必要ですが、データから見ると大学卒業までの費用が1,000万円を切るならば、平均よりも抑えられたと考えられます。

なお、令和元年から幼児教育・保育の無償化、令和2年から私立高等学校授業料の実質無償化もありましたので、今後は学習費総額のうち「学校外活動費」にも着目してみるとよいでしょう。

3.子供二人を育てるために理想的な年収は?


ここまでご紹介してきたデータから、子供二人を育てるために必要な年収を考えてみたいと思います。

3-1.子供二人のために年間100万円ずつは貯めたい!

子供1人につき公立・国立で大学卒業まで進んだとしても約786万円かかることがわかります。

私立の学校であればもっと高くなるので、一人につき約1,000万円、二人で約2,000万円と考えてみたいと思います。

子供の年齢差などは考慮せず、単純に2,000万円を20年間で作るには、年間100万円ずつ貯金できる必要があります。

つまり、子供のための目的で年間100万円を貯蓄できるか否かが鍵になりそうです。

3-2.子供のために年間100万円ずつ貯められる年収は?

先述の「児童のいる世帯」の平均所得金額は約 745 万円より、世帯年収約750万円と仮定して、子供のために年間100万円貯められるかを考えてみたいと思います。

年収約750万円の手取りを約563万円(税金と社会保険料の割合を合計で25%とする)としますと、この額から年100万円貯めるには、手取りの約18%を貯蓄に回す必要があります。

手取りからの貯蓄割合のデータ(※)では、20代、30代は13%、40代は11%となっており、手取りの18%を貯蓄に回すことが難しいことが読み取れます。

先に紹介した約6割の子育て家庭が「苦しい」と回答したデータにも納得がいきます。しかし、計画に解消していくべき課題です。

年収750万円の場合、努力や工夫をして子供二人のために貯めていく必要がありそうです。祖父母からの支援があれば助けとなると思われますし、国の教育費に関する制度や施策にも期待したいところです。また、奨学金制度などの活用、公立・国立の学校を意識するなどの工夫も有効でしょう。ただ、まずは自分たちでできることを考えることが大切ではないでしょうか。

※出典:金融広報中央委員会「令和2年家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査])」

4.子供二人を育てるための資金作りの方法


どんな状況の家計であっても、子供を育てていくからには多かれ少なかれお金はかかります。そのための費用を貯める方法を考えていきましょう。

4-1.収入を増やすことを考える

収入を増やす方法を考えるのは基本事項です。もしも共働きでないならば検討に値するでしょう。通常のイメージの会社勤めが難しい状況だとしても、フリーランスや在宅勤務など新しい働き方も広がっています。

可能な副業はありませんか? かつてよりも残業が減っているので、余暇に自分の特技を活かして収入を得る人もいらっしゃいます。

祖父母からの支援はどうでしょうか? 日本の金融資産の多くは高齢者の元にあると言われています。セカンドライフはもちろん大切ですが、お孫さんのことも大切でしょうから、力を合わせられるとより良いかもしれません。

4-2.支出を減らすことを考える

家計支出の見直しをしてみましょう。まずは、固定費である生命保険、携帯電話などの通信費を下げることができないか検討しましょう。

生命保険はリスクを細分化し必要なものだけに加入することで保険料の合理化が考えられます。携帯電話の通信費は格安スマホや、大手キャリアでも新しいプランが次々登場していますので、より効率の良い選択肢があるかもしれません。今は複数のサブスクリプションのサービスなども固定費として意識する必要があるかたもいるかもしれませんね。

4-3.貯めることを実践しながら増やすことにも目を向ける

給料が振り込まれる預金口座のお金のみを自分の貯蓄としている人もいらっしゃいます。金利が低いとはいえ、消費のための自分の口座と混ぜてしまわずに、子供のための資金口座としてあえて分けておくことがやる気に繋がるかもしれません。そのもっとも手のかからない方法として、会社員であれば給与天引きで積み立てできる仕組みの活用が挙げられます。

学資保険は貯蓄の要素と保険の要素の両方が含まれています。いくら支払って、いくらが戻ってくるのか、という貯蓄としての効果を確認しましょう。保険としての要素は、既に加入している生命保険があれば不要と考えることもできるので、敢えて使わない選択をすることで節約に繋がるかもしれません。

子供にお金がかかるとはいえ、人生100年とも言われる自分の将来も考えていかなければなりません。そこで、少しの金額からの積み立ても可能な資産運用にも目を向けましょう。

短期の投機的なの投資は、子育て世帯にはおすすめできませんが、確定拠出年金(iDeCoや企業型DC)、つみたてNISAなど長く付き合っていける仕組みを通じて増やすことも意識できるとベターだと考えられます。

5.お金が理由で子供を諦めることはない


今回はいくつもの平均データを用いて子供にかかる費用を考えていきました。

目標を立てる、動機づけをする、などにも活かせますので、こうしたデータや目安を知っておくことには大きな意味があるでしょう。

データや情報を取り入れ活かしつつ、必要以上に悲観をせず子供が育って生きていく力を信じていくことも大事だと思います。

タイトル

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  • 川部 紀子

    FP・社労士事務所 川部商店 代表

    大手生命保険会社で勤務した後にFP事務所を開業。現在はファイナンシャルプランナー、社会保険労務士として相談業務はもとより、講演・セミナー講師、大学の非常勤講師、各種執筆、テレビ・ラジオ出演、YouTubeでの動画配信などを通じて身近なお金に関する気付きを提供するさまざまな活動も行っている。

    近著に『得する会社員 損する会社員』(中央公論新社)がある。

    【保有資格】社会保険労務士/CFP®


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