小学校でかかる費用の目安 学費以外にも考慮すべき費用はある?

お子さまの成長とともに教育費の負担はふえていきます。お子様が小学校に通っている間にはどのくらいお金がかかるのでしょうか。お子さまが小学生の内は、ご家庭での教育方針を話し合い、将来の教育資金を準備する最適な時期ともいえます。

一般的に、教育費の負担が少ない公立の小学校に通っている場合は、教育資金の貯め時と言われています。いつまでにいくら貯めたらよいのか検討し、お金のかかる大学時代などに向けて着実に準備することが大事です。また、子育てをサポートしてくれる補助金等の制度もありますので、今回はその点もご紹介いたします。

今回はお子様が小学校に通っている間にかかる費用や考慮すべき費用と子育てに活用できる制度について株式会社 家計の総合相談センターの小泉朱希さんに解説いただきました。

1.小学校の入学~卒業までにかかる費用の目安と内訳


小学校の6年間でかかる費用はどのくらいでしょうか。また、小学生にかかる費用にはどのようなものがあるのでしょうか。

1-1.小学校でかかる費用はどのくらい?

文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」によると、公立小学校に通う子供一人あたりにかかる教育費は年間で約32万円ですが、私立小学校に通う場合は年間で約160万円となっています。6年間でかかる費用の目安は、公立で約193万円、私立で約959万円となります。

この学習費総額というのは学校教育費、学校給食費及び学校外活動費の合計となります。

学校教育費には授業料、修学旅行・遠足・見学費、PTA会費、学用品・実験実習材費、通学費、制服、通学用品費(ランドセル等)などが含まれています。

出典:文部科学省 「平成30年度子供の学習費調査」より保護者が支出した1年間・子供一人当たりの学習費総額より金額を万単位で四捨五入して作成

2.小学校の学費以外で考慮したい費用


小学校の学校教育費以外にかかるお金にはどのようなものがあるでしょうか。塾や習い事の費用と将来の教育資金のための積立とのバランスを考えましょう。

2-1.塾や習い事の費用はどのくらい?

入学時にはランドセルや学用品の購入などの入学準備が必要となりますが、学校に通っている間にも子供の成長とともに学習費用総額はふえていきます。その中で、大きなウエイトを占めるのが学校外活動費です。

学校外活動費は家庭教師費や学習塾費などの補助学習費と、習い事の月謝などのその他の学校外活動費の合計です。

その中でも補助学習費は高学年になるにつれてふえていき、6年生になると公立、私立ともにその他の学校外活動費より上回っています。小学生の頃から塾に通う子どもが増加していると読み取れます。

補助学習費は、公立の6年生で年間約13万円、私立の6年生で同約64万円、その他の学校外活動費は、公立の6年生で年間約11万円、私立の6年生で同約22万円となっています。

出典:文部科学省 「平成30年度子供の学習費調査」より金額は万単位で四捨五入し作成

2-2.放課後児童クラブの費用はどのくらい?

両親が働いている場合、下校後は、学童保育を利用するという選択肢があります。費用は利用する児童クラブによって異なりますが、およそ月額4,000~8,000円程度かかります。

月額利用料は、4,000円~6,000円未満(※)が利用料の徴収を行っているクラブ数の28%と最多で、次に6,000~8,000円未満が19.8%となっています。

※出典:厚生労働省:「令和2年(2020年)放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況 (令和2年(2020年)7月1日現在)

2-3.中学受験をする?しない?

文部科学省の「学校基本調査」によると、中学校生徒数は約321万人、私立中学校に通う生徒は約24万人で、私立中学校に通う割合は約7.5%です。

東京都では、東京都教育委員会の「令和2年度公立学校統計調査報告書 公立学校卒業者(令和元年度)の進路状況調査編」(※1)によると、令和2年3月の公立小学校卒業生のうち、都内の私立中学への進学率は18.4%と、前年度より0.5%増加しています。

我が家の教育方針について低学年のうちからご家族で話し合うことがとても大切です。中学受験をするしないにかかわらず、進学する中学校について、また中学受験のメリットとデメリットについて情報収集し十分に検討しましょう。

中学受験するなら、4年生から本格的な塾通いをするケースが多いようです。塾代は通う塾によって異なりますが、前述の補助学習費は公立小学校6年生では1年間で約13万円、私立小学校6年生では、約64万円となっています。毎月の塾代のほか、長期の休みの講習などの追加費用もかかりますので、家計に無理の無い頻度で塾に通えるようにしましょう。

私立中高一貫校へ進学した場合は、高校受験をしなくてもよく、高校受験のための費用がかからないので、中学受験するほうがお金がかからないという考えもあるようです。しかし、文部科学省の子供の学習費調査によると私立中学校の学習費総額は年間で約140万円(※2)となり、公立のおよそ3倍の費用となります。私立中学校の学習費を家計から毎年だせるのかどうかの検討が必要です。私立中学校には奨学金制度がある学校もありますので調べてみましょう。

ここまで解説した通り、進学する学校や選択する塾や習い事などによって、かかる費用は大きく異なる可能性があります。お子さまが小さいうちはイメージしにくいかもしれませんが、高校、大学への進学を見据えた教育資金プランを立てることが大切です。

※1 出典:東京都教育委員会「令和2年度公立学校統計調査報告書 公立学校卒業者(令和元年度)の進路状況調査編」

※2)出典:文部科学省 「平成30年度子供の学習費調査」より保護者が支出した1年間・子供一人当たりの学習費総額

公立中学校 約48.8万円 私立中学校 約140.6万円

3.小学校でかかる費用をサポートしてくれる制度


小学校でかかる費用をサポートしてくれる制度にはどのようなものがあるのでしょうか。以下に代表的な制度を紹介します。お住まいの自治体によっては他にも補助制度がありますので、お住まいの自治体に確認してみましょう。

3-1児童手当

0~3歳未満は月額1万5,000円、3歳~小学生1万円(第3子以降は1万5,000円)、中学生は1万円支給されます。所得制限限度額以上の場合は、月額5,000円が支給されます。

児童手当には手当を受け取る人の扶養親族等の人数に応じて所得制限が設けられていますのでお住まいの市町村に確認しましょう。

3-2就学援助制度

低所得世帯に学用品費や給食費などが支給されます。対象や内容は自治体により異なります。

学校教育法第19条において、「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。」とされています。

※出典:文部科学省「就学援助制度について

3-3学校給食費の無償化

自治体によっては学校給食費が無償化されています。文部科学省によると、平成29年度に小学校・中学校とも無償化を実施しているのは76 自治体で全体の4.4%(※)となっています。

※出典:文部科学省 平成29年度の「学校給食実施状況等調査」

4.教育資金の積み立てプランを立てましょう


東京私大教連の私立大学新入生の家計負担調査2020年によると、入学費用を「重い」と感じている家庭が92.2%という調査結果があります。この負担感を軽くするための方法の一つに、長い期間をかけた毎月の積み立てがあげられます。

例えば、児童手当を0歳からすべて積み立てると中学卒業までに約200万円となります。今後どのくらいお金がかかるのかを見通し、お子さまが小さなうちから準備することで時間を味方につけた積立や運用も可能になります。

ファイナンシャルプランナーと相談して計画を立てるのも一つの方法です。将来の収入や支出の予定を専門的な見地から計算し、必要な積立や運用プランを提案してもらえるでしょう。お子さまのために、ファイナンシャルプランナーと一緒に家計と向き合ってみてはいかがでしょうか。

タイトル

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  • 小泉 朱希

    株式会社 家計の総合相談センター

    法政大学社会学部卒業。大手リース会社を経て、(株)家計の総合相談センターに入社。東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・福岡・札幌で税理士・社会保険労務士・CFPと共に個別相談、セミナー講師、執筆業に携わる。夫と子ども2人の4人暮らし。ライフワークは、自然な暮らしを目指したお金との付き合い方を考え、伝えること。
    【保有資格】1級FP技能士/CFP®


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