35年ローンで借入れることのメリット・デメリット 返済期間の目安

全期間固定金利型の住宅ローンの代表商品「フラット35」を利用したかたの返済期間は平均32.5年で、多くのかたが35年に近い返済期間から住宅ローンの返済をスタートしています(※)。

フラット35に限らず、住宅ローンの返済は「とりあえず35年」と考えているかたもいらっしゃるかもしれませんが、返済期間を考える際にはご自身のライフプランを考慮し、無理のない返済計画を立てることが大切です。

ここでは、住宅ローンの返済期間が短期か長期かで、住宅ローンの条件はどのように変化するのかを解説し、住宅ローンの返済期間を考える際のポイントをお伝えします。

※出所:住宅金融支援機構「貸付債権担保第154 回住宅金融支援機構債券に係る信託債権関連データ」より

1.35年ローンで借入れることのメリット・デメリット


住宅ローンの返済期間を長期にすること、短期にすることは、どちらの場合もメリットとデメリットがあります。メリットとデメリットの両方を理解してご自身に合った返済期間で借りましょう。

1-1.35年ローンで借入れることのメリット

35年ローンで借入れることのメリットは主に2つあります。

1-1-1.返済期間が長期になるほど、月々の返済の負担は小さくなる

住宅ローンの月々の返済額は、借入額や金利、返済方法が同じ場合、返済期間が長くなるほど少なくなります。例えば5,000万円を年率1.2%、元利均等返済方式、ボーナス割合0%で借りた場合で、返済期間ごとの毎月の返済額の違いを、住宅金融支援機構のシミュレーションツールを使って比較してみましょう。

(手数料等のその他の条件は計算に含めていません)

上記の通り、同じ金額を借入れても返済期間が長いほど、1回あたりの返済額が少なくなることがわかります。

1-1-2.返済期間が長期になるほど、借入可能額が増える

住宅ローンの借入可能額を決める要因の一つに、年収に対する年間返済額の割合(返済負担率)があります。長期で住宅ローンを借入れたほうが月々の返済額が少なくなり年収に対する年間返済額の割合も小さくなりますので、借入可能額も増えるということになります。

今度は住宅金融支援機構の別のシミュレーションツールを使って、年収600万円の人が年率1.2%、元利均等返済、ボーナス割合0%で借入れることができる額を、返済期間ごとに比較してみましょう。

※年収に対する年間返済額の割合が35%以下の場合

(手数料等のその他の条件は計算に含めていません)

以上のように、ご自身の収入だけで住宅ローンの借入可能額を増やしたいと考える場合は、返済期間を長くするという選択肢もあります。

1-1-3.住宅ローン控除の効果を高められる可能性がある

住宅ローン控除とは、条件を満たした場合に入居の年から10年間にわたって、住宅ローンの年末残高(12月31日時点の住宅ローンの残高)の1%相当額が最大50万円、その年に納めた所得税(一部住民税も)から還付される制度です。

また2019年10月1日から2020年12月31日までに入居した場合で、消費税率10%の住宅を取得した人は控除期間が13年になります。この場合11~13年目は建物の取得価格(消費税額を除く)の2%÷3で算出した額と、従来どおりの計算で算出した額のどちらか小さい方が控除額になります。

住宅ローンの返済期間が長いほど、住宅ローンの残高の減り方はゆるやかになります。つまり、住宅ローン控除の計算の基準となる年末残高が大きくなりやすいので、住宅ローン控除の効果を高められる可能性があります。

ただし後述の1-2-1でも説明しますが、返済期間が長いほど総返済額が増えますので、住宅ローン控除を利用して得られる効果と総返済額の増加分を比較しておくとよいでしょう。

住宅ローン控除についての詳しい説明は、こちらの記事もご覧ください。

1-2.35年ローンで借入れることのデメリット

35年ローンで借入れることのデメリットは主に2つあります。

1-2-1.返済期間が長期になるほど、総返済額が増える

住宅ローンの返済は借入額や金利、返済方法が同じなら、返済期間が長くなるほど総返済額は増えることになります。

返済期間が長くなるほど、借入期間中に発生する利息が多くなることをイメージするとわかりやすいかもしれません。

5,000万円を年率1.2%、元利均等返済、ボーナス割合0%で借入れる条件で総返済額を比較してみましょう。

(手数料等のその他の条件は計算に含めていません)

このように返済期間が長いほど総返済額は増えるので、総返済額をなるべく抑えたいかたは、毎月の返済額が無理のない範囲で、返済期間を短くするとよいでしょう。

1-2-2.退職後も住宅ローンの返済が残る可能性がある

住宅ローンの返済期間を考える際には、完済時点でご自身が何歳になっていて、そのときに働いているのかどうか、ということが重要な要素になるでしょう。

例えば、25歳のかた、35歳のかたが返済期間35年の住宅ローンを借りると返済が終わるのは、それぞれ60歳と70歳になります。定年延長を検討する企業が増えているとはいえ、定年後も住宅ローンの返済が残る可能性が高いのは35歳のかたです。定年退職後の返済額をまかなえるだけの退職金や預貯金などの準備があれば問題ありませんが、退職年齢もあらかじめ考慮して借入期間を考えることが大切です。

1-3.特徴のまとめ

返済期間が長い場合と短い場合を比較したときの、それぞれの特徴をまとめると以下のようになります。

ご自身に合った返済期間を考えるポイントについて次の章で説明します。

2.無理のない返済計画を立てることが重要


住宅ローンの毎月の返済で家計を圧迫するような借り方は避けることが望ましいでしょう。借入れ当初から完済までを見据えた無理のない返済計画を立てることが大切です。

2-1.将来の収入・支出の変動を考慮する

長期の住宅ローンの返済計画を立てる際に重要なことは、将来の収入の見通しを考えることです。住宅ローン借入時の収入を前提に返済計画を立てると、将来収入が減少した際に毎月の住宅ローンの返済が大きな負担となる恐れがあります。

特に定年退職後は年金収入があったとしても、現役時代と比較して収入は減少する場合が一般的と考えられます。

また現役時代でも転職によって収入が変動したり、お子様の教育費の負担が増えたりする場合もあります。こうしたライフスタイルの変動によって住宅ローンの返済で家計を圧迫することのないよう、返済期間を「とりあえず35年」と考えるのではなく、ご自身のライフプランにあった返済計画を立てたうえで、借入期間を決めることが大切です。

また、住宅ローンの返済と生活費の支払いの両立ができるかどうか、住宅購入計画の早い段階でシミュレーションしておくとよいでしょう。上記で参考にした住宅金融支援機構のホームページでは、将来の教育費や年金額の見込みも計算できるシミュレーションツールが提供されています。

住宅金融支援機構のシミュレーションツールはこちら

3.定年退職を迎えるまでに完済している状態が望ましい


現役時代には特に問題なく支払っていた住宅ローンも、定年退職した後に急に負担に感じることがあります。老後も安心して暮らせるように返済期間を考えておきましょう。

3-1.ゆとりある老後の生活を送るために

定年退職後も住宅ローンの返済が残っている場合、一般的には現役時代より収入が減少することから収入に対する住宅ローンの返済負担割合が増すことが考えられます。また老後の生活資金にするつもりだった預貯金や退職金を返済に充てなくてはならない、という事も起こりかねません。

ゆとりある老後のために、できるだけ定年退職時には住宅ローンが完済できるよう返済期間を決めることが望ましいでしょう。

3-2.繰上返済によって老後の負担を減らす

繰上返済とは、住宅ローンの返済期間中に借入金の全額または一部を前倒しして返済することで、総返済額を減らす効果があります。

借入金の一部を繰上返済する場合には2つの方法があり、繰上返済のたびにどちらかを選ぶことができます。

3-2-1.期間短縮型

毎月(ボーナス返済時含む)の返済額は変更せず返済期間を短縮することで支払利息を軽減する方法です。例えば、当初70歳までとした返済期間を60歳まで短縮することです。

3-2-2.返済額軽減型

返済期間は変更せず毎月(ボーナス返済時含む)の返済額を減らすことで支払利息を軽減する方法です。収入が減少したことで毎月返済が厳しくなったというかたなどに向いています。

2つの返済方法を比較すると、同じタイミングで同じ金額を一部繰上返済するのであれば期間短縮型の方が利息の軽減効果が高くなります。目的に応じて2つの方法を上手に使い分けて利用しましょう。

(出所:住宅金融支援機構HPをもとにSBIマネープラザが作成)

4.ライフプランを考慮して返済期間を決める


住宅ローンの借入額や毎月の返済額を決めるときには、将来の家計のシミュレーションを考慮して決めることが大切ですが、返済期間も同様にシミュレーションを作成して考えるとよいでしょう。

「とりあえず35年」と返済期間を決めるかたもいらっしゃるかもしれませんが、ご自身の定年退職の年齢から逆算すると32年のほうが適切だった、という場合も考えられます。

いずれにしても住宅ローンは長く将来にわたって返済を続けることになるので、ご自身のライフプランを踏まえて家族や、金融機関とも相談しながら返済期間を決めるとよいでしょう。

タイトル

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  • 吉田 貴彦

    ㈱住宅相談センター 代表取締役

    立教大学法学部法学科卒。アメリカの不動産業界では一般的である、FPやモーゲージブローカー(住宅ローンコンサルタント)、ホームインスペクター(住宅診断士)などが用いる手法を15年以上前から取り入れて、お客さま側に立った住宅・不動産アドバイスを行っている。
    【保有資格】CFP®/宅地建物取引士/神社検定1級


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