マイホームを検討するなかで、「気に入った土地を先に押さえたいが、住宅ローンは土地購入に使えるのか」と疑問に感じるかたも多いのではないでしょうか。
先に結論からいうと、住宅ローンは基本的に土地のみの購入には使えません。住宅ローンは「住宅を建てる」「住宅を取得する」ことを目的とした融資であり、土地単体の購入は原則として対象外です。
一方、土地を先に取得したいかた向けの資金調達方法として、つなぎ融資や土地先行融資といった代替案があります。
土地は高額な買い物であり、取得費用をどのように用意するかは、多くのかたにとって大きな不安要素のひとつです。これらの制度を正しく理解すれば、住宅ローンが使えない場面でも現実的な選択肢を検討できます。
本記事では、住宅ローンを土地購入に使えるかどうかを整理したうえで、状況に応じた資金調達方法をわかりやすく解説します。土地購入と住宅ローンで迷っているかたは、ぜひ参考にしてください。
住宅ローンとは、ご自身(または家族)が住むための住宅を取得または建築することを目的とした融資です。
マイホームを購入する際には、建物だけでなく、その住宅を建てるための土地も必要になりますが、「住宅に関係する支出であれば土地の購入にも住宅ローンが使えるのではないか」と考えるかたも少なくありません。
しかし、土地の購入には原則として住宅ローンを使うことができません。その理由は、主に次のとおりです。
土地購入に住宅ローンが使えない理由
マイホームを建てるには、土地購入と住宅ローンの関係を正しく理解したうえで、資金計画を立てることが大切です。これらの理由について、次の見出しでそれぞれ詳しく解説します。
住宅ローンの最大の特徴は、「ご自身(または家族)が住む住宅を取得または建築するための資金」に用途が限定されている点にあります。
そのため、金融機関は融資の際に「居住用の住宅であるかどうか」を重視して審査を行います。
一般的に、住宅ローンの融資目的として認められているのは、次のような資金です。
住宅ローンの融資目的と認められる資金の一例
住宅ローンを利用した際に条件を満たすと適用される「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」を例に挙げると、控除の適用を受けるための要件として「借入の目的」を定めています。一部抜粋して紹介します。
借入の目的
出典:国税庁「No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」(2026年2月時点)
住宅の新築、取得または増改築等(以下「住宅の取得等」といいます。)をするためのもので、かつ、住宅の取得等のために直接必要な借入金等であること。
一方、土地のみを購入する段階では、住宅がまだ建っておらず、将来的に本当に住宅を建築するかどうかが確定していない状態と判断されます。
この状態では、「居住用の住宅を取得するための資金」という住宅ローン本来の融資目的と一致しないため、たとえ将来住宅を建てる予定があったとしても、土地購入のみの段階では住宅ローンの対象外となります。
住宅ローンは、土地と建物を一体として担保評価する仕組みになっています。
金融機関は、万一返済が滞った場合に備え、融資対象となる不動産全体の担保価値を基に融資判断を行います。
しかし、土地のみの状態では、次のような課題があります。
住宅ローンは建物が完成した後に融資実行となるのが原則のため、結果として土地購入時の支払いタイミングと、住宅ローンの融資実行時期との間にズレが生じます。
土地の代金は先に支払う必要がある一方、住宅ローンは建物完成後でなければ利用できないため、土地購入資金については別の資金調達方法を検討する必要があります。
マイホームを建てるためには、建物の建築費用だけでなく、土地の購入にも多くの資金が必要になります。
しかし、土地の購入には住宅ローンをそのまま使うことができないため、自己資金だけでの対応が難しく困ってしまうかたも多いのが実情です。
そこで、土地を購入する際の資金を用意する方法として、主に次の2つがあります。
土地購入の資金を用意する方法
いずれも、住宅ローンが実行されるまでの資金不足を補うための仕組みですが、内容や使い方には明確な違いがあります。両者の違いを比較表でまとめました。
つなぎ融資と土地先行融資の比較表
| 項目 | つなぎ融資 | 土地先行融資 |
|---|---|---|
| 融資の目的 | 土地購入資金の支払いのため | 土地と建物を前提に土地購入資金を借りるため |
| 融資のタイミング | 土地決済時 等 | 土地決済時点 |
| 担保 | 原則なし | 土地と将来建つ建物 |
| 返済方法 | 住宅ローン実行時に一括返済 | 住宅ローンに組み込んで返済 |
| 金利水準 | 住宅ローンより高め | 住宅ローンと同程度 |
それぞれの特徴を理解したうえで、自身の資金計画に合った方法を選ぶことが重要です。次に、つなぎ融資と土地先行融資について、それぞれ詳しく解説します。
つなぎ融資とは、住宅ローンが実行されるまでの間に必要となる資金を、一時的に借り入れる融資です。
つなぎ融資で借りた資金は、住宅ローンが実行された時点で一括返済する仕組みで、主に土地代金や建物の着工金、中間金など、建物完成前に発生する支払いに充てられます。
住宅ローンは建物完成後に実行されるのが原則であるため、それまでの支払いを自己資金だけで賄うことが難しい場合につなぎ融資を利用します。
つなぎ融資は無担保で利用できるケースが多いですが、その一方で、金利は一般的な住宅ローンよりも高めに設定される傾向があります。
また、利息分は自己資金で支払う必要があり、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の対象外であるなどの注意点もあるため、つなぎ融資を利用する場合は、窓口で注意点についてよく確認しておきましょう。
土地先行融資とは、土地と建物の取得を一体として審査し、土地購入の段階から住宅ローンを実行する融資です。
一般的に、住宅ローンは建物完成後から融資が実行されますが、土地先行融資を利用すると土地購入時点から融資が実行されるため、自己資金を大きく減らさずに土地を取得できます。
土地先行融資では、将来建築する住宅も含めて担保評価が行われるため、金利水準は通常の住宅ローンと同程度になるケースが一般的です。
一方、対応している金融機関が限られる点や、金融機関ごとに建物の完成期限が明確に決められているなど、建築計画の内容が厳密に定められている点には注意する必要があります。
土地と建物の契約内容をあらかじめ明確にしたうえで、金融機関と相談することが重要です。
つなぎ融資や土地先行融資を利用する際は、以下の注意点に気をつけましょう。
つなぎ融資・土地先行融資の注意点
それぞれの注意点について解説するので、マイホームの購入を検討中のかたは事前に確認しておきましょう。
つなぎ融資は、通常の住宅ローンと比べて金利が高く設定されやすい点に注意が必要です。
住宅ローンは、完成した土地と建物に抵当権(担保)を設定できるため、金融機関にとって貸倒れリスクが低く、金利が低く抑えられています。
一方、つなぎ融資は建物が完成していない状態で資金を貸し出すため、金融機関にとっての回収リスクが高くなり、金利も高めに設定されるのが一般的です。
土地先行融資についても、土地購入時点で建物が完成していないことから、住宅ローンと同条件にならない場合があります。
金利差が小さく見えても、融資期間や金額によっては支払う利息が増えるため、事前に総返済額を確認したうえで判断することが大切です。
つなぎ融資や土地先行融資を利用する場合、融資事務手数料や印紙税など、金利以外の諸費用や手数料が別途発生する点に注意が必要です。
特に、つなぎ融資は住宅ローンとは別契約となるため、住宅ローンとつなぎ融資の両方で手数料が発生するケースもあります。
また、土地先行融資の場合も、土地と建物で住宅ローンの契約を2回に分けることが多く、印紙税や登記費用などがそれぞれ発生する点に注意が必要です。
これらの費用は借入金額に含められず、自己資金で支払う必要があるケースも多いため、諸費用を十分に把握しないまま進めると、「想定よりも自己資金が減ってしまった」という事態になりかねません。
つなぎ融資や土地先行融資を利用する際は、必要な費用をあらかじめ洗い出しておき、資金計画に組み込んだうえで検討するようにしましょう。
つなぎ融資や土地先行融資を利用する場合、返済が始まるタイミングによっては家計の負担が一時的に増える可能性があります。
これは、住宅ローンの返済が始まる前から、利息や返済が発生するケースがあるためです。
つなぎ融資では、住宅ローンが実行されるまでの間、利息の支払いが必要になるのが一般的です。一方、土地先行融資は土地を取得した時点から住宅ローンの返済が始まります。
そのため、現在の住居の居住費に加え、つなぎ融資や土地先行融資の返済分が発生するなど、複数の支払いが同時に発生する期間が生じることがあります。
この点を見落とすと、想定よりも家計が圧迫されるおそれがあるため、返済開始時期と支払額を事前に確認したうえで資金計画を立てることが重要です。
つなぎ融資は住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の対象外です。また、土地先行融資は住宅ローン控除の対象外になる場合があります。
住宅ローン控除は、居住用の住宅を取得し、一定の要件を満たした住宅ローンを利用している場合に適用される制度です。
しかし、つなぎ融資は住宅ローンとは別の融資契約であるため、住宅ローン控除の対象になりません。
土地先行融資についても、「土地の取得から2年以内にその土地に住宅を新築すること」や「建物部分も住宅ローン控除の要件を満たすこと」など、制度上の適用要件を満たさなければ控除の対象外となることがあります。
住宅ローン控除を前提に資金計画を立てているかたにとって、控除対象外となる影響は大きいため、どの融資が住宅ローン控除の対象になるのかを、あらかじめ金融機関や税務署で確認しておくと安心です。
つなぎ融資や土地先行融資は、すべての金融機関で取り扱われているわけではない点に注意が必要です。
住宅ローンは多くの銀行や信用金庫で提供されていますが、つなぎ融資や土地先行融資は、対応できる体制や審査ノウハウが必要となるため、取扱金融機関が限られます。
そのため、希望する金融機関ではこれらの融資を利用できず、住宅ローンとあわせて金融機関を選び直す必要が生じるケースもあります。
また、対応している金融機関自体が限られているため、金利や手数料などを比較検討し、「自分に合った金融機関を選ぶ選択肢」が狭まってしまう点もデメリットと考えられます。
土地購入と住宅ローンを同時に進める場合は、早い段階で取扱金融機関を確認したうえで、資金計画を立てることを心がけましょう。
つなぎ融資や土地先行融資は、将来その土地に住宅を建築することを前提とした融資であるため、建築計画がある程度固まっていなければ利用できません。
具体的には、建築会社や建物の仕様、建築費用、建築スケジュールなどが明確になっていることが求められます。
建築計画が曖昧な状態では、金融機関が将来の担保価値や返済計画を適切に判断できず、審査に通らない可能性が高くなります。
計画内容によっては、融資金額や条件に影響が出る場合もあるため、土地購入を急ぐあまり建築計画を後回しにすると、結果的に利用できる融資が限られてしまう可能性がある点には注意が必要です。
通常の住宅ローンを利用して家を建てる場合と同様に、つなぎ融資や土地先行融資においても、当初に提出した建築計画を前提として審査・融資が行われます。
つなぎ融資や土地先行融資では、建物が完成する前からすでに借り入れが始まっています。そのため、融資実行後に建築会社の変更や建物仕様の大幅な見直しを行うことは、原則として難しくなります。
仮に途中で建築計画を変更した場合、金融機関から再審査を求められたり、融資条件の見直しが行われたりする可能性があります。
場合によっては、住宅ローンへの切り替えができず、借入金の一括返済を求められるリスクも存在するため、土地購入後に建築計画を柔軟に見直したいと考えているかたは注意しましょう。
つなぎ融資や土地先行融資を利用する場合、土地購入から建築契約、着工や住宅ローン実行といった各工程のスケジュール管理が非常に重要です。
これらのタイミングに誤差が発生すると、想定していなかった利息の支払いが発生するおそれがあります。
特につなぎ融資では、住宅ローンの実行が遅れるほど、利息の支払期間が長くなります。土地先行融資でも、建物完成が遅れた場合には、家計負担が増える可能性も考えられます。
スケジュール管理が不十分だと、資金計画全体に影響を及ぼしかねないため、土地購入から入居までの流れを把握し、金融機関や建築会社と密に連携したうえで進めることが大切です。
つなぎ融資と土地先行融資は、いずれも土地購入時に不足する資金を補う手段ですが、役割や性質には明確な違いがあります。
つなぎ融資は、住宅ローンが実行されるまでの支払いを一時的に立て替えるための融資です。
建物が完成していない無担保の状態で融資を行うため金融機関のリスクが高く、金利は住宅ローンより高めに設定されるのが一般的です。なお、借入金は住宅ローンの実行時に一括で返済する仕組みとなります。
一方、土地先行融資は土地と建物の取得を前提に、土地購入時点から住宅ローンとして融資が行われる仕組みです。返済方法や金利水準は住宅ローンに近く、長期返済が可能な点が特徴です。
ただし、つなぎ融資や土地先行融資は対応している金融機関が少なく、利用できるかどうかは事前の確認が欠かせません。それぞれの違いを理解したうえで、自己資金や建築スケジュールに合った方法を選ぶことを意識しましょう。
最後に、住宅ローンの土地購入に関するよくある質問に回答します。
A. 土地購入のみでは住宅ローン控除は使えません。
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)は、居住用の住宅を取得し、実際に入居した場合に適用される制度です。
建物が完成し、入居した年から住宅ローン控除の適用が始まるのが一般的で、土地だけを購入した段階では控除の対象になりません。
しかし、建物完成後に実行される住宅ローン(つなぎ融資の精算分を含む)や、要件を満たした土地先行融資と建物ローンの2本立ての場合、最終的には「土地と建物のローン残高を合算」して控除を受けることができます。
事前に金融機関や税務署で確認しておくと安心です。
A. 利用する金融機関によって「土地購入から〇年以内(多くは1〜2年程度)」と明確な期限が決められています。
金融機関は、土地購入後に確実に住宅が建築されることを前提に融資を行います。
そのため、土地購入から建物完成までの期間が長くなると、再審査や条件見直しを求められる可能性があります。
特に、つなぎ融資や土地先行融資では、建物の完成期限が明確に決められているケースも多いため、事前に確認しておきましょう。
また、つなぎ融資を利用している場合は、期間が延びるほど利息負担が増える点にも注意が必要です。
A. 土地先行融資や一体型ローンであれば、まとめて借りられる場合があります。
建売住宅や中古住宅の場合は、土地と建物が同時に引き渡されるため、通常の住宅ローンで土地代も含めて一括で借りられます。
しかし、注文住宅のように「土地を先に購入して家を建てる場合」は、原則として建物完成後に融資が実行されるため、通常の住宅ローンでは土地代を先に借りることができません。
しかし、土地先行融資や土地と建物を一体で審査するローンを利用すれば、まとめて借りられるケースがあります。
ただし、利用可能な金融機関が限られており、建築計画が明確であることが条件になります。利用可否は事前に金融機関へ確認しておきましょう。
A. 一般的には、諸費用分(土地価格の5〜10%程度)を含めた土地価格の10~20%程度が自己資金の目安です。
しかし、近年では頭金なしの「フルローン」や、諸費用も含めて全額借り入れできる金融機関も増えているため、自己資金が少ない場合でも購入できるケースが多くなっています。
土地購入時には、土地代金以外にも仲介手数料や印紙税などの諸費用がかかります。これらの費用はローンに含められず、自己資金で支払うケースが一般的です。
また、つなぎ融資の利息や手数料も自己資金が必要になる場合があります。資金不足を避けるため、余裕をもった自己資金を準備しておくことが重要です。
A. 建築計画を固めたうえで、土地購入と住宅ローンの相談を同時に進めるのが理想です。
土地代を先に借り入れる場合、すべての金融機関がつなぎ融資や先行融資に対応しているわけではないため、ローン選びの選択肢が限られてしまう場合があります。
そのため、建築会社や建物の内容をある程度決めたうえで、金融機関に相談することが重要です。
土地購入、融資の種類選択、住宅ローンの仮審査を並行して進めることで、資金計画のズレを防ぎやすくなります。
土地を購入してマイホームを建てる場合、住宅ローンは建物完成後に実行されるのが原則のため、土地購入の段階では住宅ローンを利用することはできません。
そのため、つなぎ融資や土地先行融資といった仕組みを理解し、ご自身の状況に合った資金調達方法を選ぶことが大切です。
つなぎ融資や土地先行融資は便利な一方で、金利が高くなりやすい・諸費用がかかる・スケジュール管理が重要になるなどの注意点もあります。
また、取扱金融機関や利用条件が限られるため、土地購入を決めてから慌てて検討するのではなく、建築計画とあわせて早めの情報収集が欠かせません。
土地と建物、住宅ローンは切り離して考えるのではなく、全体をひとつの計画として整理することで、資金面の不安や想定外の負担を減らしやすくなります。
まずは金融機関や建築会社に相談し、ご自身に合った進め方を確認したうえで、無理のないマイホーム計画を立てていきましょう。
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