賃貸物件を契約する際、火災保険への加入が必要ですが、火災保険と家財保険の違いや、そもそも保険が本当に必要なのか疑問に感じたことはありませんか?
賃貸における保険選びでは、自分の荷物を守る家財保険と、大家への賠償のバランスが重要で、わからないままだと無駄な保険料を払ったり、万が一の時に補償が出なかったりするリスクがあります。
家財保険は火災保険の一部で、家財(家の中身)を補償の対象とするものです。
大きな違いは何を守るかという点で、建物と家財を守るものに分かれます。この違いを理解していないと、補償されると思っていたのに保険金が出なかったというトラブルになりかねません。
まずは、それぞれの補償範囲を正しく理解しましょう。
●火災保険は建物、家財保険は家具・家電・衣服など動かせる物を守る
火災保険と家財保険で補償範囲について、最もシンプルな見分け方は引越時に持っていけるかどうかです。
| 保険の種類 | 火災保険 | 家財保険 |
|---|---|---|
| 対象 | 動かせないもの | 動かせるもの |
| 具体例 | 建物本体、門、塀、車庫、浴槽、調理台など | 家具、家電、衣服、食器、自転車など |
| 契約者 | 大家 | 入居者 |
<火災保険>
建物そのものや、建物に固定されていて動かせない設備が対象です。賃貸物件の場合、建物は大家の所有物であるため、大家が加入します。入居者が個別に契約する必要はありません。
<家財保険>
生活に必要な家の中にある道具が対象です。テレビや冷蔵庫などの家電、タンスやソファなどの家具、洋服などが含まれます。これらは入居者自身の持ち物であるため、賃貸であっても自分で加入して守る必要があります。
※注意
エアコンは建物と家財のどちらに含まれるか迷いやすい家電ですが、誰が所有しているかで判断します。
一般的に備え付けのエアコンは大家の持ち物なので建物扱い、自分で買ったエアコンは自分の持ち物なので家財扱いとなります。
詳しくは契約内容を確認しましょう。
●賃貸契約における火災保険はセット加入が一般的
賃貸物件を探していると、不動産会社から「火災保険への加入が必要」と案内されることが一般的です。
建物は大家の持ち物なのに、なぜ自分が火災保険に入るのか疑問に思うかもしれませんが、賃貸契約の火災保険は以下がセットになった保険商品を指します。
つまり賃貸で入居者が加入する火災保険は、自分の家財と大家への賠償責任の補償がメインになります。
火災保険・家財保険は火災の時しか使えないと思われがちですが、自然災害から日常の事故まで幅広いトラブルをカバーしています。
補償内容は大きく分けて、自分の物を守る家財の損害と、他人の物を弁償する賠償責任の2つがあります。
ここでは、自分の家具・家電などがどのようなリスクから守れるのか、具体的なケースを見ていきましょう。
●火災・落雷・風災などの自然災害による損害
火災:料理中の不注意で、換気扇や近くの食器棚が焦げてしまった場合
落雷:雷でパソコンやテレビなどの家電がショートして壊れた場合
風災・ひょう災・雪災:台風で窓ガラスが割れ、吹き込んだ雨風でソファやベッドが損傷した場合など
水災:大雨による床上浸水で、家財が使えなくなった場合
●水漏れ・盗難・破損などの突発的な事故
自然災害だけでなく、人災や突発的な事故も補償の対象になります。特に集合住宅では、水漏れトラブルが多く非常に重要です。
水濡れ・水漏れ:上の階の住人が原因で、天井から水が漏れ、家具・家電などへ被害が出た場合など
盗難:空き巣に入られ、現金やバッグ、貴金属が盗まれた場合や、侵入時に壊された窓や土足で荒らされたカーペットの被害など
破損・汚損:模様替え中に家具をぶつけて壊したなど日常生活の事故など
自分の家には高いものはないから保険なんて必要ない、貯金があるから何かあっても買い直せばいい、と考えて家財保険への加入は不要と思うかもしれません。しかし、賃貸における保険の役割は、単に自分の荷物を守ることだけではありません。
1. もらい火でも補償されない失火責任法に備える
隣の住人が火事を起こして、あなたの部屋に燃え移り、家具や家電に被害がでた場合、火元である隣人が弁償してくれると思いますよね。しかし、日本では失火責任法という法律により、重大な過失がない限り火元は損害賠償責任を負いません。被害を受けても、相手からは一切補償されないため、自分の荷物は自分で買い直す必要があり、自分の生活を守るには自分自身で家財保険に入っておくしか方法がありません。
2. 大家への原状回復費用や損害賠償に備える(借家人賠償責任保険)
入居者には、退去時に借りた部屋を元通りにして返す原状回復義務があります。寝タバコでボヤを起こし壁紙やフローリングを焦がした、水漏れで床材の交換が必要など、大家から多額の原状回復費用や損害賠償を請求される可能性があります。
大家が入居時に火災保険加入を強く求めるのは、入居者が賠償金を払える状態にしてほしいためです。
3. 自転車事故など日常のトラブルに備える(個人賠償責任保険)
多くの家財保険には個人賠償責任保険という特約が付帯または付帯可能で、部屋の中だけでなく、日常生活のリスクもカバーできます。
水漏れ事故:洗濯機のホースが外れ、下の住人の部屋が水浸しとなり、家財に損害を与えてしまった
自転車事故:通勤・通学中に自転車で歩行者にぶつかり、怪我をさせてしまった
買い物中の事故:お店で高価な商品をうっかり落として壊してしまった
損害内容によって賠償請求金額は異なりますが、大きな安心材料になります。
家財保険を選ぶ際、重要なのが補償の上限額です。上限額を高くすれば安心ですが、その分保険料も上がりますし、逆に安くしすぎると、いざという時に買い直すお金が足りません。ここでは、設定基準と相場について解説します。
●保険金額の設定
保険金額を決める際の評価基準には、新価(再調達価額)と時価の2種類がありますが、新価で設定するのがおすすめです。
新価:被害に遭ったものと同等の新品を買い直すのに必要な金額
時価:新品の価格から、使用年数に応じて差し引いた金額
万一の際は生活をすぐ立て直すためにも、新品を買い直せる金額が補償される金額に設定しておきましょう。
●補償される金額の相場
自分の持ち物が合計いくらになるかを正確に把握している人は少ないでしょう。一般的な保険金額の相場は、世帯人数や年齢、子どもの有無によってある程度決まっています。
以下は、保険会社が推奨する一般的な目安(簡易評価表)です。
| 家族構成 | 2名 大人のみ |
3名 大人2名 子ども1名 |
4名 大人2名 子ども2名 |
5名 大人2名 子ども3名 |
独身世帯 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 世帯主の年齢 | 25歳前後 | 490万円 | 580万円 | 670万円 | 760万円 | 300万円 |
| 30歳前後 | 700万円 | 790万円 | 880万円 | 970万円 | ||
| 35歳前後 | 920万円 | 1,000万円 | 1,090万円 | 1,180万円 | ||
| 40歳前後 | 1,130万円 | 1,220万円 | 1,310万円 | 1,390万円 | ||
| 45歳前後 | 1,340万円 | 1,430万円 | 1,520万円 | 1,610万円 | ||
| 50歳前後 (含以上) |
1,550万円 | 1,640万円 | 1,730万円 | 1,820万円 | ||
| 専有面積 | 33m2未満 | 33m2~66m2未満 | 66m2~99m2未満 | 99m2~132m2未満 | 132m2以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 保険金額 | 450万円 | 880万円 | 1,050万円 | 1,490万円 | 1,980万円 |
出典: 火災保険に家財の補償は必要?賃貸の家財保険は?|SBI運営 火災保険の見積もり・比較ならインズウェブ!
●不動産会社が紹介する火災保険に加入必須?
賃貸契約の際、不動産会社からこの火災保険に入ってくださいと特定の保険商品を提示されることがありますが、指定された保険に入る義務はありません。進められる保険への加入は手続きがスムーズに進むメリットがありますが、補償内容が手厚く設定されていることが多く、保険料が割高になる傾向があります。大家が求めている条件さえ満たしていれば、自分で選んだ保険会社で加入しても問題なく、必要な補償のまま、節約につながることもあります。
家財保険は、単に家具を守るだけでなく、大家や日常生活のトラブルを回避するお守りです。言われるまま加入するのではなく、補償内容と金額をしっかり理解した上で契約することで、無駄な出費を抑えつつ、安心して新生活をスタートさせることができます。
ぜひこの記事を参考に、自分にあった保険を選んでください。