「住宅ローンの残高はどうやったら確認できるの?」、「最近、金利が低くなっていると聞くけれど、どのくらい違うの?」「住宅ローンの借換相談に必要な書類ってなに?」このような疑問やお悩みをお持ちのかたも多いのではないでしょうか。
住宅ローンの残高情報は、契約中の住宅ローンの借換えを検討する場合や、毎年の住宅ローン控除を申請する場合などに必要になります。
そこで今回は、大手信託銀行を経て現在ファイナンシャルプランナーとして活躍されているBridge of Dreams代表 戸崎さんに、住宅ローンの残高確認方法と残高情報の利用方法について説明いただきます。
契約中の住宅ローンの残高の確認方法は、住宅ローンの契約をしている金融機関によって異なります。今回は一般的な確認方法を1章、2章で紹介します。
パソコンやスマートフォンで24時間いつでも、住宅ローンの残高の確認が可能な金融機関があります。このサービスを利用するためには、インターネットバンキングやインターネットサービスへの登録が必要です。登録が完了すると、預金残高や住宅ローンを含めた取引明細の照会ができることが一般的です。
インターネット専業銀行であればWebサイトでの残高照会ができますが、インターネットバンキングやインターネットサービスに対応していない金融機関もありますので、対応しているかどうかの確認が必要です。
金融機関の店頭で住宅ローンの申込みをする場合はインターネットサービスの取扱いの有無を確認して、取扱いがある場合は事前にインターネットバンキングやインターネットサービスへの申込方法を聞いておきましょう。
住宅ローンの残高は、金融機関のWeb サイト以外には、住宅ローンを借入れた金融機関から年に一度郵送される残高証明書でも確認できるほか、借入後などに発行される返済予定表などの書面でも確認することができます。
住宅ローンの残高証明書(住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書)は、住宅ローンを借入れした金融機関から利用者のお届け先住所に郵送で届きます(※1)。
住宅ローンの残高証明書には、返済中の住宅ローンの借入条件や年末時点の残高が記載されており、住宅ローン控除の年末調整や確定申告に必要となります。
住宅ローンを借入れた最初の年は、お借入れ日の翌年1 月中旬頃までに残高証明書が郵送されますが、金融機関ごとに郵送時期が異なるため確認しましょう(※2)。
お借入れされた年の翌年以降は、金融機関によって時期は前後しますが、毎年10 月~11 月頃郵送されます(※2)。
残高証明書は再発行できることが一般的ですので、希望される方は住宅ローンを借入れた金融機関にご連絡ください。受付後に後日郵送で対応してくれるケースが多いようです。なお、再発行の期間は金融機関や借入時期によって異なり、一週間から一ヵ月程度かかることもあります。再発行時に手数料がかかる金融機関もありますので、確認が必要です。
住宅ローンの残高証明書は、住宅ローン控除の申請に必要な書類ですので、届いた書類は大切に保管しておきましょう。
※1 借入期間が10 年未満の場合など、住宅ローン控除の対象外となる場合には、残高証明書が自動発行されない場合があります。
※2 ここで説明した残高証明書の郵送時期は借入れ・借換えの時期や、金融機関によって異なる場合があります。
返済予定表(償還予定表)とは、返済中の住宅ローンの借入条件や返済額の予定が記載されている書類です。住宅ローンの返済について、返済の初回から最終回までの返済期間と、毎月の返済額とその内訳(元金と利息の割合)が確認できます。このため、返済予定表は将来の返済計画を見直したり借換えを検討する際に参考になります。
返済予定表の発行時期は、借入後や借入金利が変更された後などに郵送またはWeb サイト上でお届けされることが一般的です(※)。
また、変動金利など、現時点で照会できない内容については、返済金額が決定するまで詳細が記載され ていない場合もあります。
一般的な返済予定表の項目は下記の通りです(※)。
・借入条件(契約した住宅ローンの借入額や金利などが記載されています。)
・返済予定日(毎月の返済日の日付です。)
・返済方式(契約した住宅ローンが元利均等方式か元金均等方式のどちらかを確認できます。)
・返済期限(最終的な住宅ローンの返済日のことです。)
・元金や利息(返済額の内訳について、元金と利息の割合を確認できます。)
※ ここで説明した返済予定表の郵送時期や発行方法、項目などは金融機関によって異なる場合があります。
これまで、住宅ローンの残高の確認方法を説明しました。住宅ローンの残高がわかると、住宅ローンの借換えのシミュレーションや住宅ローン控除の試算などに活用できます。
住宅ローンをはじめて借入れたときから一度も見直しや、借換えをしたことがないかたは、住宅ローンの内容を今一度確認してみてもよいでしょう。
もし、現在の金利水準よりも高い金利で返済をしていて、返済期限が10 年以上残っており、住宅ローンの残高が1,000 万円以上残っている状況でしたら、借換えによって総返済額を抑えられる可能性があります。
住宅ローンの借換えを検討する際には、金利だけではなく、借換え時の手数料も含めてメリットがあるかどうか、また以前からの家計の状況の変化などもシミュレーションして検討することが大切です。
金融機関の窓口で住宅ローンの借換えの相談をする場合は、持ち物に返済予定表が必要なことが多いようです。またインターネット上で借換えのシミュレーションをする場合も、手元に返済予定表があるとわかりやすいでしょう。
借換えについての詳細はこちらの記事もご覧ください。
一定の条件を満たした場合には住宅ローン控除を受けられます。住宅ローン控除を利用すると、住宅ローンの年末残高の合計額をもとに算出する金額を一定期間にわたって所得税額から控除することができます。住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」といい、住宅ローン減税と呼ばれることもあります。
住宅ローン控除を利用できる条件は、制度の変更により変わりますので、最新の制度を確認しましょう。現状(2020 年4 月現在)では、利用者の年収に関する条件、住宅に関する条件(延床面積等)、住宅ローンの条件に加え、一定の期間内に「居住用財産の軽減税率の特例」などの適用を受けていないことが求められています(※1)。
住宅ローン控除を利用できる場合には、住宅ローンの年末残高の1%(1 年あたり最大40 万円※認定長期優良住宅等の場合は最大50 万円)が所得税から税額控除されます。所得税から控除しきれない部分があった場合は住民税からも控除することができます(※1)。
住宅ローン控除を受けるためには、借入先の金融機関から届く住宅ローンの残高証明書が必要です。返済予定表をもとに住宅ローンの借換え相談をする住宅ローンを借入れて最初の年は確定申告(※2)で、2 年目以降で会社員のかたは年末調整で申請します。
※1 住宅ローン控除の利用条件と計算方法について詳しくはこちらの記事もご覧ください。
※2 住宅ローン控除の確定申告手続きについて詳しくはこちらの記事もご覧ください。
繰上返済とは、住宅ローンの返済期間中に、毎月の返済とは別に住宅ローンの一部または全部を返済することをいいます。繰上返済の時期は早ければ早いほど総返済額を減らす効果が大きくなります。
住宅ローンの残高がわかれば、シミュレーションツールを使っていくら総返済額が軽減されるのか分かるので、一度試算されてみてはいかがでしょうか。
なお、金融機関によって、一度に繰上返済できる金額や手続き手数料は異なりますので確認が必要です。また、同じ金融機関でも店頭での繰上返済よりも、インターネットサービスでの繰上返済の方が手数料を抑えられるケースもあります(※)。
※インターネット専業銀行など、店頭での繰上返済を受付けていない金融機関もあります。
今回は、住宅ローンの残高確認方法と、住宅ローンの借換えや住宅ローン控除の申請などについて説明しました。
住宅ローンの借入期間中において、申込みをしたときと現在のライフスタイルが変わってしまったというかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
家計に余裕があるときは繰上返済をすることによって、住宅ローンの総返済額を抑えることもできますし、借換えを検討することで返済総額が抑えられるなどメリットが見つかることもあります。
住宅ローンを借入れてから一度も見直しを行っていないなどの場合は、ぜひ一度住宅ローン残高を確認してみましょう。