住宅購入時の「諸費用」とは?費用の相場と内訳を解説

住宅を購入する際には土地代や建物代だけでなく、入居までに様々な費用が必要になります。そういった費用は住宅本体の価格と比べて金額的に低いのでつい見逃しがちですが、全てを合計すると無視できない金額になることもあるので注意しておく必要があります。

また諸費用の支払時期は、住宅を購入する時点で必要なものから、購入後も毎年支払うものまで様々ですので、必要なタイミングで支払うことができるように準備しておくことが大切です。

今回は、公認不動産コンサルティングマスターの資格を持つ、株式会社住宅相談センターの吉田貴彦社長に、実際に必要な諸費用や相場について、お話を伺ってみました。

1.住宅購入時における「諸費用」


住宅購入時における「諸費用」といっても、住宅ローンの対象となるものとならないものがあります。

1-1.諸費用の意味

ここでは住宅ローンの対象となるものもならないものも含め、土地代や建物代以外に住宅購入に必要となる費用全般を「諸費用」として説明します。主な諸費用をあげてみましょう。

① 売買契約書等の印紙税(印紙代)

② 仲介手数料

③ 登記費用

④ 住宅ローン借入れのための費用

  (事務取扱手数料、保証料、団体信用生命保険の保険料など)

⑤ 火災保険料・地震保険料

⑥ 固定資産税等精算金

⑦ 不動産取得税

その他にも新居での生活を始めるのに必要となる費用も広い意味で諸費用と言えるでしょう。例えば、引越費用、家具や家電、インテリアなどの購入費用もあらかじめ計算しておくよいでしょう。

2.諸費用の目安はいくら?


諸費用の目安は、購入する住宅が「新築か中古か」、「戸建てかマンションか」、「分譲か注文か」などの条件によって異なります。購入される住宅の条件に合わせて、諸費用がいくらかかるのか確認しましょう。

2-1.諸費用の目安

私がご相談を受けているお客さまのケースでは、新築のマンションを購入する場合、購入価格の4%程度、中古のマンションでは7%程度の諸費用が必要になるケースが多いです。新築一戸建てでは4%程度、中古の一戸建ては8~10%程度となるのが平均的です。これに加えて、家具・家電・インテリアなどの購入費が人によって大きく変わってきます。

中古住宅のほうが諸費用が高くなりやすいのは、不動産会社に支払う仲介手数料として「(物件価格の3%+6万円)×消費税」が必要になるケースが多いことが理由のひとつです。新築住宅では売主と買主との間で不動産業者が仲介する、いわゆる「仲介物件」が中古住宅よりも少ないため、仲介手数料がかからないケースが多いようです。

また、中古住宅はリフォーム工事費用が必要になることもあるためです。中古住宅を購入する場合は、諸費用を多めに用意しておくとよいでしょう。

分譲住宅は注文住宅を比べると、必要な諸費用の一部が本体価格に含まれている場合があり、別途支払う諸費用は少ない傾向があります。

ただし、ここにあげた例は私個人の経験則ですので、実際の費用が異なることは十分にあり得ますので、ご注意ください。

2-2.原則として諸費用は自己資金で用意する

諸費用の中には住宅ローンの借入額に含むことができる費用もありますが、引越代や不動産取得税など住宅ローンに含むことが難しい費用もあるので、基本的には自己資金で用意するようにしましょう。事前に諸費用を見積もりしたうえで、必要なタイミングで現金や振込みで支払うことができるようにしておくことが必要です。

自己資金で用意することが難しい場合は、住宅ローンの借入額にどこまで含むことができるか金融機関に相談してみるとよいでしょう。

3.諸費用の項目ごとの費用


ここでは諸費用の項目ごとの内訳や計算方法を説明します。計算方法は購入される物件によって違いますので、正確な金額は必ず担当の不動産業者や税理士などに確認するようにしましょう。

3-1.売買契約書等の印紙税(印紙代)

住宅購入には売買契約書などの多くの契約書が登場しますが、これらの契約書は「課税文書」とされていますので、契約書に書かれている金額に応じた印紙税を納める必要があります。印紙税は印紙を購入して契約書に貼付し割印することで納税します。

印紙税は契約書に書かれた金額によって決まります。

【印紙税の例・不動産売買契約の場合 】

1,000万円超5,000万円以下の場合  10,000円

5,000万円超1億円以下の場合     30,000円

1億円超5億円以下の場合       60,000円

※2020年4月現在

契約書に印紙の貼付を忘れた場合は過怠税が課せられることがあり、本来の印紙税額の3倍の金額を納めることになりますのでご注意ください。

3-2.仲介手数料

物件の購入にあたって不動産会社に仲介業務を依頼した場合は仲介手数料が必要になります。仲介手数料は法律で不動産会社が受取る上限額が 、下記の表の通りに定められています。

少し複雑ですので、売買価格が400万円以上の場合には、下記の計算式を使うと簡単に計算できます。

【対象物件の売買価格が400万円以上の場合の簡易計算】

(売買価格×3%+6万円)×消費税

例えば、売買価格が3,000万円の場合、仲介手数料の上限は105.6万円となります。

仲介手数料:売買価格3,000万円 × 3% + 6万円 = 96万円

消費税  :96万円 × 消費税率10% = 9.6万円

合計   :96万円 + 9.6万円 =105.6万円

3-3.登記費用

住宅を購入したり新しく建てたりしてその住宅の所有者になると、これを証明するために法務局に権利の登記申請が必要です。この登記申請時に必要な費用が登記費用です。住宅に関する登記には表示登記、所有権保存登記、所有権移転登記、抵当権設定登記などがあります。

登記費用の内訳は、つぎの3つです。

  • 登録免許税等税金
  • 司法書士報酬(司法書士に登記申請を依頼した場合)
  • その他雑費(登記完了後の証明書等の発行手数料など)

3-4.住宅ローン借入のための費用

住宅ローンを利用する場合に必要になる費用は、つぎのような費用があります。

  • 事務取扱手数料
  • 団体信用生命保険料(※)
  • 住宅ローンの契約書にかかる印紙税
  • 住宅ローン保証料(詳細は次の3-5をご確認ください。)

(※)団体信用生命保険は、住宅ローンの金利に保険料が含まれている場合と、無料で付帯できる場合があります。

3-5.住宅ローン保証料

万一、住宅ローンを利用した人が返済できないとき、本人に代わって保証会社が金融機関に一括で返済します。住宅ローン保証料はこの保証会社に保証を依頼するための費用のことで、保証料の金額は借入額や借入期間によって異なります。

また、金融機関によっては住宅ローン保証料が不要な場合もあります。

なお、保証会社が本人に代わって一括返済した場合、金融機関への返済は終了しますが、保証会社への返済義務が新たに発生します。

3-6.火災保険料・地震保険料

住宅購入時には火災や地震などに備えるために、火災保険や地震保険に加入することが一般的です。加入した保険会社に対し、これらの保険料を支払う必要があります。

保険料は建物の種類、構造、延床面積、補償内容、保険金額、保険期間などによって異なります。また支払方法は毎年払いのほか、まとめて10年一括前払いなどの方法もあります。

3-7.引越代・家具などの購入費用

新居への引越代や家具・家電・インテリアなどの購入費は、一般的には住宅ローンの借入額に含めることができないので、自己資金に余裕を持って準備しておく必要があります。

3-8.固定資産税等精算金

固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点の固定資産(土地や建物)の所有者に対して課される税金です。

固定資産税等清算金とは、売主が買主に未経過分の固定資産税と都市計画税の負担を求めた場合の未清算金で、商慣行として定着しています。例えば7月1日に物件を購入する場合は、7月1日から12月31日までの184日分の固定資産税と都市計画税を、売主が買主に請求することが一般的です。

固定資産税と都市計画税についての説明は、次の章(4-1、4-2)もあわせてご確認ください。

3-9.不動産取得税

売買によって不動産を取得した場合に課税されるのが不動産取得税です。原則は土地・建物の固定資産税評価額の3%ですが、土地と建物それぞれに軽減措置があり、計算方法が異なります。

※2020年3月現在

なお不動産取得税は住宅取得後に納付書が送られてきますが、遅い場合1年以上経ってから郵送されてくることもあるので注意が必要です。

4.マイホーム購入後に毎年かかる税金


マイホームを購入した場合には、購入以後毎年納めなければならない税金があります。入居後期間が経ってから請求されるものもあるので準備しておかなければなりません。

4-1.固定資産税

固定資産税は毎年1月1日現在の不動産の所有者に対して課税される税金で、4月~6月頃にその不動産がある市区町村役場から1年分の納付書が届きます。

4-2.都市計画税

都市計画税は都市計画法によって市街化区域内にある土地と建物に課税される税金で、毎年固定資産税と一緒に納付書が郵送されます。

5.諸費用まで考えた購入計画を


住宅購入費用全体で大きな割合を占める費用は土地代と建物代ですが、上記のようにそれ以外にも様々な諸費用が必要になります。住宅購入を決めた後に諸費用の負担が増えることは避けるようにしましょう。

諸費用の支払い時期を住宅購入の段階ごとに並べたのが下の表です。それぞれの段階でさまざまな諸費用が必要となりますので、途中で資金不足とならないように住宅購入の計画段階で諸費用の確認をするようにしましょう。

【住宅の売買契約の段階別の諸費用の一般的な例】

タイトル

タイトル
  • 吉田 貴彦

    ㈱住宅相談センター 代表取締役

    立教大学法学部法学科卒。アメリカの不動産業界では一般的である、FPやモーゲージブローカー(住宅ローンコンサルタント)、ホームインスペクター(住宅診断士)などが用いる手法を15年以上前から取り入れて、お客さま側に立った住宅・不動産アドバイスを行っている。
    【保有資格】CFP®/宅地建物取引士/神社検定1級


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