住宅ローン控除の基礎知識(2/2)~実際に控除を受けるには?~

この記事は住宅ローン控除に関する改正が閣議決定された2021年12月以前の情報を基に執筆されたコンテンツです。最新の情報は国税庁HPや、税理士、税務署等でご確認ください。

住宅ローン控除の対象は?

本制度は、どんな住宅にでも適用されているわけではありません。主な要件としては、⑴床面積が50平方メートル以上、⑵借入金の返済期間が10年以上で、新築住宅だけでなくても対象となります(投資用物件は対象外です)。さらに中古物件については、耐震性を有していることなども要件に加わります(木造など築年数20年以内、鉄筋コンクリート造などは築年数25年以内、このほか現行の耐震基準を満たしていれば対象となります)。

また、住宅ローン控除が受けられるのは「ローンを組んでいる本人」が対象です。共働きのご夫婦の場合でも、ローンを組んでいるのが夫だけの場合は夫のみが減税の対象となります。住宅ローンの借入金額が大きく控除される金額も大きいのであれば、夫本人だけの所得税・住民税で引ききれないこともありますので、その場合には、税制メリットを考慮すると夫婦でローンを組むという選択肢もあります。ただ、万が一どちらかが死亡した場合の保証や諸費用など、夫だけで組む場合とは異なりますので、ご家族のライフプランに合わせて検討するのがおすすめです。

このほか、リフォームや省エネ・バリアフリー改修なども100万円以上工事費がかかった場合に、住宅ローン控除の対象となります(リフォーム減税も別途制度がありますが、重複して控除を受けることができませんのでご注意ください)。

<住宅ローン控除の主な対象>

  • 新築住宅
  • 中古住宅
    (要件あり)
  • 増築リフォーム
    (要件あり)

※住宅ローン控除対象の範囲全てを記述してはおりませんのでご了承ください。

住宅ローン控除を受けるには?

住宅ローン控除は「居住を開始した年」から還付が受けられます。最初の年は税務署に申告が必要で、申請は翌年1月以降に必要書類を提出します。つまり、居住を開始した年の年末調整では手続きができず、確定申告時の手続きが必要であると覚えておいてください。
※税務の確定申告は、一般的には2月中旬から3月15日に行う必要がありますが、ローンの控除の場合、税務署は混んでいない1月から申告(申請)可能です。
必要書類には、住民票の写しや住宅ローンの残高証明書(借り入れ金融機関から発行されます)、登記事項証明書、源泉徴収票などがあり、中古物件の場合は耐震基準適合証明書などの書面も必要です。書面を揃えるのに時間を要するケースもありますので早めに準備をして、確定申告に備えておくと良いでしょう。
2年目以降は、勤務先の年末調整で控除を受けることができますので確定申告は不要です。生命保険料控除などと同様に、住宅ローンの残高証明書を提出する必要がありますので、大切に保管してください。

<主な要件と添付書類>
<添付書類> <入手・依頼先> <確認事項>
◯住民票の写し 市区町村 自ら居住(6ヶ月以内)
◯残高証明書 金融機関等 住宅ローン残高
◯登記事項証明書
◯請負(売買)契約書等
法務局
本人
取得年月日
住宅取得の対価の額
床面積(50㎡以上)
◯給与等の源泉徴収票等 職場 所得税額等
(中古住宅の場合)
下記のいずれか
◯耐震基準適合証明書
◯既存住宅性能評価書
◯既存住宅売買瑕疵保険
の付保証明書
建築士等
登録住宅性能評価機関
住宅瑕疵担保責任保険法人
耐震性を有すること

※この他、土地の取得に関わる借入れがある場合は土地の登記事項証明書や契約書が必要となります。
※長期優良住宅や、低炭素住宅の優遇措置を申請する場合はその証明書が必要となります。
詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。
http://www.nta.go.jp
出典:国土交通省 すまい給付金
http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/

残債を減らす?繰り上げ返済の考え方

住宅ローンをお持ちのかたは、毎月の返済額や返済期間を減らす効果がある「繰上返済」を検討しているかたも少なくありません。ただ「残債を減らすと住宅ローン控除の効果が薄まるのでは?繰上返済はするべきか…」と悩まれるかたも多いのではないでしょうか。

このお悩みは、借入金利や金利プラン(固定・変動など)によって考え方が異なります。通常、繰上返済をする場合にはどれだけメリットが出るのかのシミュレーションを行いますので、その金額と繰上返済により残債を減らした場合の住宅ローン控除への影響なども比較し、有利な方を選択するのが良いでしょう。

借入金利が比較的高い場合、控除期間中であっても繰り上げ返済を行うことでメリットが出る可能性がありますが、低い金利で借入を行なっている場合には控除期間中は繰上返済をしないほうが結果的に支出を抑える可能性もあります。超低金利時代と呼ばれる昨今では、控除期間中はあえて繰上返済を行わずにその資金は貯蓄をしておき、控除期間終了後に繰上返済をまとめて行うかたもいらっしゃいます。

ただし変動金利で借入れを行なっている場合、将来の住宅ローン金利の予想は簡単ではありませんので、金利が上昇する場合を考慮して選択する必要があります。
一般的には、残債が住宅ローン控除の上限(4,000万円、要件により異なります)を超える部分があれば繰上返済は効果が見込めます。その上限を下回る部分については慎重に検討を行いましょう。

※本Webサイトに記載の情報はあくまで概要であり、税控除額をお約束するものではございません。実際の控除の対象・控除額については、所轄の税務署等にご相談のうえ、ご確認ください。

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