住宅ローンの借入可能額は、金融機関が年収や借入状況、家族構成などに基づいて審査を行い、決定します。例えば、借入可能額を試算方法には、年収を5~7倍して算出する方法や、年収に対する年間のローン返済額の割合で算出する方法があります。
今回は、年収別の住宅ローンの借入可能額早見表と住宅ローンの借入可能額の計算方法について詳しく解説します。マイホームを検討していて、自分の年収の場合いくら借りられるのかを知りたい方は参考にしてみてください。
住宅ローンの借入可能額は、年収倍率や返済負担率、融資率、借入限度額といわれる基準をもとに試算されます。
これらの基準のほかにも、年収や勤務年数、借入希望額などの資金計画、住宅ローン以外の借入状況なども考慮して、実際の借入金額を決めることが大切です。ここでは、住宅ローンの借入可能額を決める基準について詳しく解説します。
年収倍率とは、住宅ローンで借入れる金額が、年収の何倍かを表す数値のことです。一般的な倍率は、年収の5~7倍程度ですが、借入希望額、建物種別、借入年数、職業によって変動します。
住宅金融支援機構の「2022年度 フラット35利用者調査」によると、土地付注文住宅で7.7倍、マンションで7.2倍、建売住宅と注文住宅で6.9倍との結果が出ており、中古マンションでは5.9倍、中古戸建てでは5.7倍となっています。年々、物件価格が上昇していることもあり、年収倍率は増加傾向にあります。
返済負担率とは、年収に対して年間ローン返済額が占める割合を指し、年間の返済額÷額面年収×100の計算式で算出可能です。住宅ローンの場合、返済負担率を25〜30%に抑えると無理なく返済できるといわれています。
また、フラット35の申し込み条件は、返済負担率が年収400万円未満の場合は30%、年収400万円以上の場合は35%までです。
返済負担率は、携帯電話の分割払いや車のローンといった住宅ローン以外の借入れも含めて算出される点に注意が必要です。借入れが多い方は、現在支払い中のローンを完済し、返済負担率を減らすことを推奨します。
融資率とは、物件の購入に対する住宅ローンの借入額の割合を指します。住宅ローンの審査では、物件に対する融資率が高くなるほど適用金利が上がるケースが多いです。
例えば、フラット35の場合、融資率が90%を超えると金利が上がります。また、民間銀行の一般的なフルローンでは、融資率100%以上の頭金を入れない資金計画に対しては、適用金利がさらに上がったり、審査が厳しくなったりといった傾向にあります。
借入限度額は、金融機関やローン商品の借入金額の上限であり、年収や返済負担率に関係なく定められています。フラット35は8,000万円、財形住宅融資は4,000万円、民間銀行は各銀行によりばらつきがありますが2億円~4億円を借入限度額としている銀行が多いです。
例えば、1億1,000万円の物件を購入する場合、フラット35では借入限度額が8,000万円までのため超過した部分は自己資金、民間銀行で2億円~4億円を借入限度額としている場合、審査結果によってはフルローンも可能です。
ここまで、住宅ローンの借入金額を決める基準について解説してきました。ここでは、年収倍率を基準とした、住宅ローンの借入可能額早見表について詳しく紹介します。
図表1
年収 | 借入可能額 ※年収倍率5~7倍を元に計算 |
400万円 | 2,000~2,800万円 |
500万円 | 2,500~3,500万円 |
600万円 | 3,000~4,200万円 |
700万円 | 3,500~4,900万円 |
800万円 | 4,000~5,600万円 |
900万円 | 4,500~6,300万円 |
1,000万円 | 5,000~7,000万円 |
年収倍率を5~7倍で計算した借入可能金額の目安は、上記の表の通りになります。年収倍率はあくまでも借入可能額を示す数値なので、適用金利や住宅ローン以外の借入れについては考慮されていません。
さらに、資金計画上、年収に対して7倍以上の希望借入金額の場合や頭金なしのフルローンの場合は、審査が厳しくなります。
住宅ローンは長期間返済を続けるものなので、無理のない返済額を設定することが重要です。
年収倍率で求められる借入可能額は、適用金利やほかの借入れ状況等を考慮していないので、適切な借入金額とはいえません。適切な借入金額は、返済負担率を基準に算出すると良いでしょう。
さらに、無理のない返済を行うためには、返済負担率を25%に設定して借入金額を決めることも重要です。ここでは、返済負担率を基準にした住宅ローンの借入適正額早見表について詳しく解説します。
下記は、返済負担率を基準に住宅ローンの月々の返済額と適正借入額を算出した表です。額面年収の70%にあたる手取り額を基準に、返済負担率を25%として月々の返済額を算出しました。
また、マネープラザオンラインの「住宅ローンシミュレーション」を利用し、毎月の返済額を基準に借入額の目安を求めています。
図表2 返済負担率25%を基準にした月々の返済額と借入適正額の目安
年収 (手取り額) |
月々の返済額 | 借入可能額 |
400万円 (280万円) |
約5.83万円 | 約1,783万円 |
500万円 (350万円) |
約7.29万円 | 約2,245万円 |
600万円 (420万円) |
約8.75万円 | 約2,706万円 |
700万円 (490万円) |
約10.21万円 | 約3,137万円 |
800万円 (560万円) |
約11.67万円 | 約3,598万円 |
900万円 (630万円) |
約13.13万円 | 約4,029万円 |
1,000万円 (700万円) |
約14.58万円 | 約4,490万円 |
月々の返済額=年収(手取り額)×25%(返済負担率)÷12ヵ月
住宅ローンの申し込み時に返済負担率は、住宅ローン以外の借入れも含めた年間の返済額を額面年収で割り、100を乗じて算出します。
しかし、額面年収から所得税や住民税、年金、社会保険料が天引きされることを忘れてはいけません。手取り年収を基準にした返済負担率を求め、家計に負担のない返済額を決めるのが重要です。
年収倍率や返済負担率を基準にした年収別の借入可能金額を紹介しましたが、早見表の通りの金額を融資されるとは限りません。
返済計画を立てる際には、完済時の年齢や収入について考慮することも重要です。ここでは、住宅ローンの借入可能額を決める際の注意点について解説します。
住宅ローンの借入可能額は、必ずしも希望する金額が算出されるとは限りません。
借入可能額は、金融機関や住宅支援機構の審査によって決定されますが、一般的には、年収、職業、勤務年数、家族構成などの属性、返済負担率、融資率、借入限度額などの要因に基づいて判断されます。
希望する金額で住宅ローンを借りたい場合は、ほかの金融機関と比較する、夫婦で収入合算をして申し込むなど方法があるので、ローン担当者に相談することをおすすめします。
住宅ローンの借入可能額が高いと物件購入の選択肢は広がりますが、高ければ良いという訳ではありません。一番大切なのは、家計に負担がかからない、無理のない返済金額とすることです。
住宅ローンの失敗に多いのが、多めの資金を借りて、貯蓄や生活資金が確保できなくなるケースです。特にお子さまがいる方は教育資金の確保も必要なので、ライフプランに沿った返済計画を立てることが重要です。
住宅ローンの返済計画を立てる際は、完済時の年齢制限も考える必要があります。特に、返済期間が30年以上ある方は、定年退職後の収入や住宅の維持管理費などの支出を見込んで早めに完済することが望ましいです。
また、住宅ローンに限らず、ローンの返済期間が長いほど、金利変動リスクがあります。ライフスタイルの変化に応じて金利タイプの変更を行うなど、常に見直しを心がけましょう。
病気で収入が減ったり失業したりした場合を考えて、疾病保障が付いた団信の住宅ローン商品を選ぶことや、医療保険、就業不能保障保険への加入も検討しましょう。
年収別の住宅ローンの借入可能額早見表や借入可能額の計算方法、借入適正額の決め方について解説しました。
年収倍率5~7倍で算出することで借入可能額がわかりますが、この結果は適用金利や年間の返済額を考慮していないので、あくまで参考値として認識しておきましょう。
一方、適正な借入金額を決めるためには、返済負担率を手取り年収の25%程度に抑え、無理のない返済額を算出するのがおすすめです。住宅ローンでは、大きなお金を借りて、長期間かけて返済をしていきます。
家探しに迷っている方や理想の物件を見つけた方は、知識が豊富な専門家に住宅ローンの相談をすることをおすすめします。
SBIマネープラザでは、住宅ローンに関する無料相談を承っております。住宅ローンでお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。