会社員なら押さえておきたい! 労働保険の仕組み 〜雇用保険編〜

病気やケガで働けなくなることや失業すること…皆さんはそのような不測の事態をイメージしたことはありますか? こういった状況に陥ると、定期的な収入が途絶えたり、治療費がかさんで貯蓄を取り崩したりなど、家計の面から見てもそのダメージは決して小さくないはずです。

会社員のかたにとって、そんな状況でまず頼りになるのが「労災保険」と「雇用保険」です。ただ、その名前は聞いたことがあっても、「制度を利用したことがなく、仕組みをよく知らない」というかたも多いのではないでしょうか。これらの知識を予め得ておくことが、より備えになるはずです。今回は「雇用保険」にスポットを当て、基本的な仕組みや保障内容をご紹介します。

1.労働者の不測の事態に備える「労災保険と雇用保険」


労災保険と雇用保険は労働者にとって大変問題となる「働けない状態」に備える保険制度で、これらの総称が「労働保険」です。労働保険の仕組みおよびそれぞれの制度の概要は下記の通りです。

労働保険
 1)労災保険
・労働者が業務や通勤中に負傷、病気、死亡した際に、労働者やその遺族に保険給付を行う制度。
・保険料は事業主(会社)が全額負担

 2)雇用保険
・労働者の生活や雇用の安定と就職の促進のために、失業されたかたや、就職のための所定の教育訓練を受けられるかた等に対して失業給付が支給される制度。育児休業給付金や介護休業給付金も雇用保険制度の一つ。
・保険料は事業主(会社)と労働者(社員)の双方が負担して支払う。

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2.労働者を守るセーフティネット「雇用保険」


「雇用保険」と一口に言っても実に様々な種類があり、会社を退職した際に給付される「失業手当(求職者給付の基本手当)」や育児休暇中に給付される「育児休業給付金」もその一つです。

今回は、その中から代表的なものをピックアップしてご紹介します。

①失業手当(求職者給付の基本手当)

会社を離職後、次の仕事が見つかるまでの生活を安定させるために給付される手当です。

<受給要件>

・積極的に就職しようとする意思があること

・いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること

・積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと

原則として4週間に一度、指定された日にハローワークに出向いて失業の認定(失業状態であることの確認)が行われます。ここでは、求職活動を継続しているかなども確認されます。

 →以下の場合は受給要件に該当しないため、失業手当を受給できません。

1)病気やけがのため、すぐには就職できないとき

2)妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき

3)定年などで退職して、しばらく就職するつもりがないとき

4)結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき

・離職の日から遡って過去2年間に、雇用保険の被保険者であった期間が通算して12ヶ月以上あること

<受給期間>

特定受給資格者(会社都合の退職である倒産や解雇などで離職したかた)及び特定理由求職者(自己都合でも正当と認められる理由で離職したかた)

※受給資格に係る離職日が2017年3月31日以前の場合の日数

一般受給資格者(上記に該当しない理由で離職したかた。自己都合の離職などが該当)

定年退職や倒産・解雇、自己都合での退職など離職の理由は人それぞれですが、特に再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされたかた(特定受給資格者・特定理由求職者)は、そのほかの離職理由に比べて手厚い保障を受けることができます。また、雇用保険の被保険者である期間が長ければ長いほど、失業手当の受給期間は長くなります。

新型コロナウイルス感染などにより自己都合退職した場合や、同居の家族が感染したために看護や介護が必要で自己都合退職する場合も「特定理由離職者」とする特例が認められています。新型コロナウイルスに関連する特例措置については、厚生労働省のHPなどで最新の情報を確認してください。

失業手当は、ハローワークに申請した日から7日間の待機期間があり、その後雇用保険受給説明会に出席→失業認定→失業手当受給、という流れになります。

このほか、自己都合で退職した場合には別途2ヶ月間の待機期間があるため注意が必要です(2020年10月以降、待機期間は3ヶ月間から2ヶ月間に変更されました。ただし過去5年間のうち2回の離職までと制限がついています)。

また受給期間については、新型コロナウイルスの影響による求職活動の長期化に対応するため、給付日数を60日(一部30日)延長できる特例も施行されています。

<給付金額>

給付金額は、原則として離職した日の直前6か月の月収(賞与等は除く)の合計を180で割って算出した金額(賃金日額)のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)が基本手当日額です。ただし、年齢区分ごとにその上限額が以下のように定められています。

(令和2年8月1日現在)

給付を受けるには、ご自身でハローワークにて手続きが必要です。

また、待機期間は、ハローワークに申請した日から、となるため、離職した会社から離職票を受け取ったら速やかに手続きするのをお勧めします。

②再就職手当

再就職が決定した場合、基本手当の給付残日数があれば以下の金額が再就職手当として給付されます。

・給付残日数を2/3以上残して早期に就職した場合:

基本手当の残日数の70%×基本手当日額

・給付残日数を1/3以上残して早期に就職した場合:

基本手当の残日数の60%×基本手当日額

上記の通り、早く再就職した方が給付率は高くなる仕組みです。ただし、再就職先が1年以上の雇用を見込んでいることや、7日間の待機期間を終えていることなど一定の受給要件がありますので注意してください。

③教育訓練給付金

中長期的なキャリア形成を支援するため、厚生労働省が認めた教育訓練を受けた際に支払った費用の一部を給付する制度です。本制度は教育訓練により「一般教育訓練給付」「特定一般教育訓練給付」「専門実践教育訓練給付」の3つに分けられており、給付内容も受講費用の20%(上限10万円)〜50%(上限年間40万円)と異なります。ご自身が希望する資格取得などの教育訓練がどの給付に該当するかは、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で調べることができます。

以上、主に離職した際に頼りになる雇用保険の給付についてご紹介しました。ご自身で手続きしない限り給付の対象とはならないものもありますので、最新の情報も含めてハローワーク等で確認するのがおすすめです。

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