【2022年】住宅ローン控除の改正でどう変わる? ポイントと注意点を解説

住宅を新たに購入するかたの背中を押す税制優遇制度として「住宅ローン控除」は広く知られているのではないでしょうか。

2021年末に、入居期限が4年間延長されることが決定し、2022年以降も引き続き住宅ローン控除が受けられることとなりました。しかし、2021年までの制度と比較すると主な変更点として「控除期間」や「控除率」などがあげられます。

                  
控除期間 控除率
2021年まで 原則10年
(特例では13年)
1.0%
2022年・2023年 原則13年 0.7%
2024年・2025年 10年 0.7%

既に2021年までに住宅ローン控除の適用を受けられているかたは、従来通りの条件で利用できますので、改正の影響はありません。

この記事では、2022年の住宅ローン控除の改正ポイントと、今後見込まれる改正点、住宅ローン控除を利用する際の注意点について解説しています。

1.住宅ローン控除の主な制度改正の概要


まず2022年度の税制改正によって、住宅ローン控除がどのように変更されたのか確認してみましょう。

1-1.控除期間が再延長された

今回の制度改正により、住宅ローン控除が受けられる期間は「原則10年(2019年の消費税引き上げに伴い、特例的に13年)」から「原則13年」に変更されています。

                                      
住宅の種類 控除期間
新築住宅・買取再販(※1) 13年
(長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH(※2)水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅に該当しない場合は、2024年以降の入居の場合、10年)
既存住宅 10年

※1 買取再販とは不動産会社などが中古住宅を買取り、一定のリフォームの後に販売している物件を指します。

※2 ZEH(ゼッチ)は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略語です。「家庭で使用するエネルギーと、太陽光発電などで創るエネルギーをバランスして、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする家」を意味するとされています。

1-2.控除率が縮小された

控除率は「住宅ローンの年末残高の1.0%」から「住宅ローンの年末残高の0.7%」に変更されています。例えば、新築住宅の長期優良住宅で、年末の住宅ローン残高が4,000万円の場合、4,000万円×0.7%=28万円の所得税の控除(控除しきれない場合は住民税の一部から控除可能)が受けられる計算です。

1-3. 控除の対象となる借入金額の限度額が変更された

住宅ローン控除の対象となる、住宅ローンの年末残高の限度額(借入限度額)は以下の通りです。

【住宅の種類別 借入限度額(2022年・2023年)】

住宅の種類 借入限度額
新築住宅
買取再販
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円
その他の住宅 3,000万円
既存住宅 長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円
その他の住宅 2,000万円

なお、新築住宅・買取再販の借入金額の限度額は2024年(令和6年)以降に引き下げられる予定ですので注意が必要です。

【住宅の種類別 借入限度額(2024年・2025年)】

住宅の種類 借入限度額
新築住宅
買取再販
長期優良住宅・低炭素住宅 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 3,500万円
省エネ基準適合住宅 3,000万円
その他の住宅 0円
(ただし、一定の場合は適用対象外)
既存住宅 長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円
その他の住宅 2,000万円

1-4.利用者の所得上限が引き下げられた

住宅ローン控除を受ける条件の一つに「所得(収入)要件」があります。こちらは「所得3,000万円以下」から「所得2,000万円以下」に変更されました。

【2022年 住宅ローン控除 新旧対照表】

                   
旧(2021年) 新(2022年・2023年)
控除期間 原則10年
(特例で13年)
原則13年
控除率 1.0% 0.7%
借入限度額 長期優良住宅・低炭素住宅は5,000万円
それ以外は4,000万円
長期優良住宅・低炭素住宅に加え、ZEH水準省エネ住宅や省エネ基準適合住宅など環境基準が新設・細分化され、 新築住宅・買取再販は3,000〜5,000万円、既存住宅は2,000〜3,000万円
所得上限 3,000万円以下 2,000万円以下

参考:国税庁「No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」

   国土交通省「住宅ローン減税制度の概要」

2.住宅ローン控除額のシミュレーション


続いて、2022年12月末までに新築の住宅に入居を開始した場合の、住宅ローン控除額のシミュレーションをみてみましょう。

【前提】

金利:年0.5%

借入金額:2,000万円~8,000万円

借入期間:35年

借入年月:2022年1月

返済方法:元利均等返済・ボーナス返済なし

【13年間で受けられる控除の上限額】

                                                                 
借入金額控除額の上限
(13年間の合計)
長期優良住宅
低炭素住宅
ZEH水準
省エネ住宅
省エネ基準
適合住宅
その他の住宅
2,000万円 147.2万円 147.2万円 147.2万円 147.2万円
3,000万円 221.2万円 221.2万円 221.2万円 221.2万円
4,000万円 295.1万円 295.1万円 295.1万円 266.1万円
5,000万円 369.2万円 364.4万円 346.5万円 273.0万円
6,000万円 424.7万円 399.3万円 363.2万円 273.0万円
7,000万円 449.3万円 409.5万円 364.0万円 273.0万円
8,000万円 455.0万円 409.5万円 364.0万円 273.0万円

住宅金融支援機構の住宅ローンシミュレーションを使用してSBIマネープラザが計算)

なお、上記の表で計算された控除額は上限を記載したものです。住宅ローン控除を利用するかたの所得によって控除額は上限額未満となることがあるので、注意が必要です。

3.住宅ローン控除を利用する際に気を付けるポイント


住宅ローン控除を利用するためには条件を満たしたうえで、適正に手続きする必要があります。

3-1.入居日や住宅の環境性能を確認する

住宅ローン控除によって受けられる控除額は、入居を開始する日や住宅の環境性能によって異なる場合があります。これから住宅の購入を検討される場合は、販売しているハウスメーカーや不動産会社などの担当者に、これらをよく確認しておくとよいでしょう。

3-2.確定申告や年末調整を忘れずに

住宅ローン控除を利用するためには、原則、入居1年目では確定申告が必要で、2年目以降では会社員の場合、年末調整で可能となります。確定申告は毎年2月15日~3月15日の期間内に管轄の税務署で、年末調整は毎年11月頃に勤務先の会社に、それぞれ必要書類を提出して行います。

年収2,000万円以上の会社員(※)や、副業収入などがあり確定申告をしているかたの場合は、2年目以降も確定申告によって適用を受けなければならないので、ご注意ください。 

詳しくは下記の記事で解説していますので、ご参照ください。

◆確定申告(入居1年目)

「住宅ローン控除を受けるために必要な確定申告の書類と手続きの流れ」

◆年末調整(入居2年目以降)

「住宅ローン控除は年末調整が必要?」2年目以降の手続きと必要書類

※所得が2,000万円を超えるかたは、2022年以降に住宅ローンを利用して新たに住宅を取得しても、住宅ローン控除の適用は受けられません。

4.他にも利用できる税制優遇制度を確認


ここまで、住宅ローン控除の2022年度の改正内容や今後の改正の行方について説明しました。住宅ローン控除は、住宅購入を国が後押しする制度として設けられた、税制優遇制度です。

この他に、個人が利用できる税制優遇制度としては、

・老後資金の形成を後押しするiDeCo

・ご自身やご家族の安心を支える生命保険料控除

などが挙げられます。このような機会に、住宅ローン控除以外の税制優遇制度の活用も検討されてはいかがでしょうか。

※本Webサイトに記載の情報はあくまで概要であり、税控除額をお約束するものではございません。実際の控除の対象・控除額については、所轄の税務署等にご相談のうえ、ご確認ください。

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