「住宅ローン控除は借換後も受けられる?」適用条件と利用時の注意点

より低金利の住宅ローンがある場合、その住宅ローンに借換えを行うことで利息を圧縮でき、月々の返済額軽減や、返済期間の短縮といった、家計への負担を軽減する効果が期待できます。借換えは早い時期に行うほど利息軽減効果が高まりますが、住宅ローン控除の適用を受けている場合には注意も必要です。

今回は、借換後も引続き住宅ローン控除の適用を受けるための条件と注意点について、ファイナンシャルプランナーとして活躍されるラポール・コンサルティング・オフィス 代表の竹国さんに、ご説明いただきました。

1.借換えをしても住宅ローン控除は受けられる?


住宅借入金等特別控除(以下、住宅ローン控除)の対象となるのは、「住宅の新築、取得または増改築等のために直接必要な借入金または債務」であるという条件があります。

この条件を前提とすると、借換後の新しい住宅ローンは、現在利用中の住宅ローンを消滅させるための新たな借入金なので、原則としては住宅ローン控除の対象とはならないということになります。ただし、次の2つの要件をすべて満たす場合に限り、借換後も引続き、住宅ローン控除を利用できます。

(要件1)

新しい住宅ローンが当初の住宅ローン返済のためであることが明らかであること(新しい住宅ローンにより借入れた資金を当初の住宅ローンの返済に充てる)

(要件2)

新しい住宅ローンが住宅ローン控除の対象となる要件に当てはまること

※住宅ローン控除の対象となる要件
・住宅ローン控除を受ける人の合計所得が年間3,000万円以下であること
・借入期間が10年以上であること
・住宅の床面積が50平方メートル以上であること など

住宅ローン控除の要件について詳細は、こちらの記事(住宅ローン控除とは?所得税・住民税の負担を抑える減税制度)をご覧ください。

これらの要件をひとつでも満たしていなければ、住宅ローン控除を受けられなくなります。逆に当初の借入れが住宅ローン控除の適用要件を満たしていなくても、借換後の住宅ローンが要件を満たせば住宅ローン控除を利用できます。

2.借換後に住宅ローン控除の適用を受ける流れ


借換後に住宅ローン控除の適用を受ける手続きは、借換前と基本的に同じです。1年目は確定申告を管轄税務署に提出することになりますが、年末調整の対象となる会社員など給与所得者は、2年目以降の申告は年末調整の際に勤務先に、申告書類を提出すれば控除を受けることができます。

ここでは、年末調整の必要書類と手続き方法について説明します。

※確定申告によって住宅ローン控除の適用を受ける場合の手続方法は、こちらの記事(住宅ローン控除を受けるために必要な確定申告の書類と手続きの流れ)をご覧ください。

2-1.必要書類

既に住宅ローン控除を利用している給与所得者の場合、次の書類を年末調整の際に勤務先へ提出します。

・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金特別控除申告書

「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金特別控除申告書」(以下、控除申告書)は、住宅ローン控除をはじめて申請した年に税務署から適用年数分がまとめて送付されます。控除申告書の下部は「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」(以下、控除証明書)を兼ねており、住宅ローン控除をはじめて申請した年に確定申告した内容をもとに、家屋・土地の取得対価や延べ床面積、居住開始年月日などが記載されています。

受け取った申告書を紛失した場合は、再交付申請書を作成して所轄の税務署に郵送するか、税務署の窓口で手続きをして再交付を受ける必要があります。

【控除申告書と控除証明書のイメージ】

(出所:国税庁ホームページより)

・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

「住宅取得資金に係る借入金の残高証明書」(以下、残高証明書)は、毎年10月~11月頃に金融機関から送付され、9月末時点を基準として返済条件の変更や繰上返済がなかった場合の年末残高が記載されています。

【住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書のイメージ(※)】

(出所:国税庁ホームページで公開されるサンプルを基にSBIマネープラザが作成)

※書類の形式は一例であり、金融機関によって形式が異なることがあります。

2-2.手続きの流れ

住宅ローン控除を利用するための手続きとしては、1年目は管轄の税務署にて確定申告を行いますが、会社員など給与所得者で年末調整の対象となるかたは、2年目以降の利用からは年末調整の際に、それぞれ必要書類を勤務先に提出すれば控除を受けることができます。

控除申告書に記入する項目、内容は次の通りです。控除申告書の上部から順番に説明します。

(出所:国税庁ホームページより)

・給与の支払者(勤務先)の名称と所在地
・記入者の氏名・住所(居所)
※給与支払者の法人番号は給与支払者(勤務先の会社)が記入します

(出所:国税庁ホームページより)

・①新築又は購入に係る借入金等の年末残高

金融機関から送付された残高証明書に記載の住宅ローンの年末残高を転記します。住宅ローンの借入金の内訳が住宅のみであれば(A)欄、土地のみであれば(B)欄、住宅と土地両方であれば(C)欄に記入します。

・②家屋又は土地の取得対価の額、③居住用部分の割合

家屋・土地の取得額、家屋の床面積または土地の総面積に占める居住用部分の割合は、申告書下部の控除証明書の証明事項欄に記載されているため、そのまま転記します。

・④取得対価の額に係る借入金等の年末残高

「①借入金等の年末残高」または「②取得対価の額」の少ない方の金額を記入します。

・⑤居住用部分の家屋又は土地等に係る借入金等の年末残高

「④取得対価の額に係る借入金等の年末残高」に「③居住用部分の割合」をかけて計算した金額を記入します。

・⑪住宅借入金等特別控除額の計算の基礎となる借入金等の年末残高

増改築等に係る借入金等がない場合には、「⑤居住用部分の家屋又は土地等に係る借入金等の年末残高」をそのまま記入します。

・⑭住宅借入金等特別控除額

「⑪住宅借入金等特別控除額の計算の基礎となる借入金等の年末残高」に1%をかけ、100円未満の端数を切り捨てた金額を記入します。

・年間所得の見積額

その年の1月1日から12月31日までの合計所得金額の見積額を記入します。所得が給与所得のみのかたであれば、給与所得控除後の金額が合計所得金額です。

・連帯債務による住宅借入金等の年末残高

連帯債務の場合には、連帯債務全体の借入額を記入します。

・備考欄

連帯債務者の情報など、必要に応じて記載します。

控除申告書の詳細な書き方は国税庁のホームページの記載例を参照いただき、必ず税理士や管轄の税務署にご相談ください。

3.借換後に住宅ローン控除を利用するときの注意点


借換後に住宅ローン控除を利用するときには、次の点に注意しましょう。

3-1.住宅ローン控除の適用期間は延長されない

住宅ローン控除が受けられる期間は、居住を開始した年を基準に最大10年間(2009年1月1日以降に居住を開始した場合)であり、借換えによって控除期間が延長されることはありません。例えば7年目に借換えを行った場合、残りの控除期間は3年間であり、借換後に新たに10年間控除が受けられるわけではありません。

【入居して7年目に借り換えを行った場合】

消費税増税に伴う特例として、消費税率10%が適用される住宅を取得し、2019年10月1日~2020年12月31日まで(新型コロナウイルスの影響で入居が遅れたが、一定の期日までに契約している場合は2021年12月31日まで)に入居した場合は、控除期間が13年間に延長されています。

3-2.住宅ローンの借入額が増減する場合は控除対象額の再計算が必要になる

住宅ローンの諸費用などを元金に含めて借換えて住宅ローンの借入額が増えた場合、あるいは借換時に借入額を減らして借換えた場合など、住宅ローンの借入額が増減する場合は、控除対象額の再計算が必要です。

【借換えによって住宅ローンの借入額が増える場合】
調整後の控除対象額は次の計算式によって計算し、控除申告書の年末残高欄に記入します。

※1円未満の端数が出た場合には特に規定がないため、切り上げ、切り捨てどちらでも問題ありません(住宅ローン控除額は100円未満を切り捨てるため端数処理による影響はないため)。

借換えによって住宅ローン残高が減った場合は、借換後の住宅ローンの年末残高がそのまま控除対象額になります。

3-3.年末調整の時期に間に合わない場合は自身で確定申告を行うことになる

借換えを10月以降に行うと、9月末時点を基準に作成された残高証明書は実態と異なる金額のため、借換後の年末残高(予定額)が記載された残高証明書の交付を借換先の金融機関から受けなければなりません。年末調整の申請時期までに残高証明書の再交付が間に合わなければ、残高証明書を受領後に自身で確定申告を行わなければなりません。

勤務先の会社が年末調整書類を税務署に提出する最終期限は翌年1月31日です。それまでに変更後の残高証明書が交付されれば、証明書を勤務先に提出して年末調整の再計算(修正)を受けられる可能性があります。事務処理には時間もかかるため、なるべく早く勤務先の担当者に相談しましょう。期限内に再計算が間に合えば、控除を受けるための確定申告は不要です。

4.借換えは住宅ローン控除への影響や諸費用まで考慮する


住宅ローンの借換後も、新しい住宅ローンが要件を満たしていれば引続き住宅ローン控除を利用できます。住宅ローンの借換えでは利息の軽減効果に目が行きがちですが、住宅ローン控除への影響や借換えにかかる諸費用といった部分までしっかり考慮し、全体としてメリットが得られることを確認して行うようにしましょう。

タイトル

タイトル
  • 竹国 弘城

    ラポール・コンサルティング・オフィス代表

    証券会社、生損保総合代理店での勤務を経てファイナンシャルプランナー(FP)として独立。相談者の利益を第一に考え、自分のお金の問題に自分自身で対処できるようになるためのコンサルティングや執筆活動などを行う。
    【保有資格】1級FP技能士/CFP®


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